ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

また出てきた燃費グッズ

2021年08月19日 | インチキ・疑似科学

燃費グッズというのは周期的に現れては消えするもののようです。
科学的に効果がない、という話が一段落するとまた忘れたころに出てくるでしょうね。

大昔の話ではAPOジャパン。これはマルチ商法で多くの被害者を出しました。
最近では平成20年に公取委が19社の商品について排除命令を出しています。

この平成20年の大規模な排除命令、あの有名な貼るだけグッズ「SEV」が入っていませんが、SEVさんの広告にはすべて「体感アップ」という言葉が使われており、馬力や燃費がアップする
とは決しておっしゃってません。

さて、もう10年以上経過してほとぼりが冷めたからなのか、最近またいろいろでてきました。
具体名あげて面倒なことになると嫌なので言いませんが、燃費グッズで検索してみてください。
特にいま評判となっているのが、英語から日本語にすると「広告の力」になる商品。
自ら「広告で売ってるよ」、と宣言してるのでしょうか?
この商品は銅板とおもわれる金属板の上におなじみゲルマニウム系の被膜がついてて、それをエアクリーナーボックス内にはりつけると静電気がきえて空気がスムーズに入る、という事のようです。
相当具体的な燃費改善効果を記載してるので、かなり自信があるのでしょう。

こうした燃費グッズはオカルト商品と呼ばれていますが、いやいや実際燃費がよくなるんです。

その仕組みを説明しましょう。
まず、この商品もそうですが、装着時にはタイヤの空気圧を調整するよう指示があります。これは必ず燃費がよくなります。
次に、たいていの燃費グッズは装着によってトルクが増大するのでアクセルの踏みすぎに注意、的なことを言います。
そういわれると、ほんのちょっとアクセルを踏んだ状態での加速が今まで以上の加速に感じるものです。皆さんもぜひ試してください。僅かなアクセル操作でも車は加速するものなのです。

で結果としてアクセル開度が小さくなるので燃費が向上する。

つまり、エンジン出力が上がったという暗示によってエコランをしてしまうのです。
エコラン=余計なアクセルを踏まない運転 の燃費向上効果は極めて高い。

世界中のカーメーカーが燃費向上でしのぎを削っています。多くのエンジン技術者と設備、莫大な予算を投入して燃費向上を日夜研究しています。
世にある燃費グッズの仕掛けはとうに研究済みか、あるいは科学的に実証する意味のない物だから研究すらされていないだけで、もし実際にそれで燃費がよくなるならとっくに車に採用されているということですね。


ETC2.0に乗り換えたほうが良いのか?

2021年08月19日 | 中国生活

久しぶりにETC2.0関連の自動車雑誌記事がネットに上がっている。

ベストカーWEB「ETCはあるけど、そろそろETC2.0に乗り換えたほうが良いのか
正直何が言いたいのかよくわからない記事。ライターさんもその辺わかっててはっきりとはかけない大人の事情なのかもしれない。

先に結論を言っておけば、2.0に乗り換える必要は全くないし、何らかの事情で買い替えるとしても割高の2.0を買う必要はない。(のぞく圏央道常用者)
いまでもETC1.0車載器は販売されている。

では、記事を見てみよう。
まず、ETCの規格変更による問題に言及している。
これは2つの話があってとても分かりにくいのだが、簡単に要点だけを説明しよう。
先に承知しておいてほしいことは、この2つともETC1.0、2.0の規格とは別の問題だということ。

1.スプリアス問題
  電波法を国際規格へ合わせるため、基準に合致してない無線機器の使用を禁止するというもの。
  ETCとしての機能上は全く問題ないので物理的には使えるが違法状態になる、ということ。
  非適合のETCはごくごく初期の一部しかなく、なおかつ法規制は当面延期になっているので忘れていい。

2.セキュリティ対策
  現在ETCにセキュリティ問題が発生しているわけではないが、どうやらセキュリティホールがあったようで数年前からその対策がされている。
  これは不正利用防止関連だろう。
  で、今販売されているもの(古い在庫品はわかりませんが)はETC1.0でもETC2.0でも対策済。
  2030年以降セキュリティ未対応ETCは使えなくなる、とアナウンスされているが2030年時点では相当数の未対応ETCがあるはずで、
  ゲートが開かないことによる事故発生を考えれば絶対に実施できない。とくにその理由であるセキュリティの問題が発生していないのであればなおさら。
  いずれにしても今買い替える必要なまったくない。

ということで、規格の話は忘れていい

では、ETC2.0にはそのほかの利点があるのか?ということだけど、それはこの記事の後半部分の歯切れの悪さを見ればよく分かる。
高速道路の電波ビーコンが来年廃止され、ETC2.0に一本化されるのは事実。電波ビーコンの情報がとても貴重だと思ってる人はETC2.0にすればいいけど、
実際それほどのものではないでしょ。おおむね道路にある掲示板と同じ情報しかでないから。というか、あの高速略図を運転中に見るのは無理。

商業施設での決済利用について最後に言及されているが、この20年間実証実験ばかり。本当にニーズがあるならとっくに実用化されてるはず。
最後の一言が示唆に富んでいる。「正直、昨今はスマホがあれば何でもできてしまう」。そうなんです。

ETC2.0は圏央道での割引があり、常用する人は高い分の元が取れるけど、それ以外の人にとっては高いだけでまったく意味がない。


失敗してもまた始まるETCの商業利用 ETCXとは?

2021年08月03日 | ITS

ETCの高速道路料金支払い以外の利用、いわゆるETCの多目的利用については、もうずいぶんまえにITS事業企画という会社がチャレンジし見事玉砕している。これは当ブログで散々無理だろ、と指摘してきた結末です。
その後もこの話は出ては消えていたわけで、当ブログではETCは高速道路料金支払いに特化するべきだといってきてるのですが、まだぞろ商業利用を推進する事業体がでてきました。

昨年の今頃、中日本高速道路がケンタッキー・フライド・チキンのドライブスルーで実験を開始したETC多目的利用(一年前の当ブログ記事)がサービスにブランド名をつけ、立派なWEBページをつくり本格事業展開のようです。

その名もETCX

事業母体はETCソリューションズ。ソニー、名鉄、沖電気、三菱プレシジョン系からの出資会社。

今使っているETCでそのままキャッシュレスにはならず、指定クレカでの登録が必要。
かつ、現時点で使える施設は、伊豆半島の有料道路数か所と、鈴鹿PA内のスナック屋台、愛知県新城市のガソリンスタンド。以上。
これからどんどん増えるといってるけど、ここで明確に予言しておきます。この事業はとん挫します。実験で参加してたKFCがいなくなってることからもまあ、明らかでしょう。

その理由は過去記事で何回も説明していますが、もう一度簡単に説明しておきます。

1.キャッシュレスというだけで集客はできない。さらにいえば、この数年スマホキャッシュレスが拡大し、スマホがお財布になってきているのであえて車のETCで払う意味はほとんどない。

2.高速道路料金支払いのETCの最大のメリットはノンストップだけど、多目的利用にノンストップ対応サービスは駐車場以外存在しない。どうせ止まって商品の受け渡しがあるのなら車の機器で払う意味はさほどない。

3.ガソリンスタンドはセルフになってきており、どっちみち降りて機械で操作が必要。

4.これが最大の理由。店側の設備機器の価格が高い。ETCで支払いができるというメリットだけでは客数は増えないから投資回収できない。
駐車場はノンストップということでのユーザーメリットが比較的高いが、それでも普及しなかったということはいかに設備投資に見合うリターンがないかということの証明になってると思います。
(なお、駐車場に関しては商業施設利用割引対応が難しいことがノンストップ決済の妨げになっているという側面もあります)

投資をする小売り施設が増えなければ会員も増えない、会員がいなけりゃだれも設備投資しない。これを乗り越えるのが大変なんだけど、この事業に関してはどう贔屓目にみてもそれを超えることができるとは思えません。自分の行動範囲で月数回以上つかうような状況にならなければだれも会員登録なんてしない。そのためには加盟施設は相当数にならないとだめでしょ。
この「にわとりたまご」を打破するためには無料に近い形で決済機器を配るか、相当なインセンティブをつけて会員を募るしかないけど多分資金的に持たない。
でも、株主4社という船頭の多さが投資や撤退といった大きな経営判断を鈍らせる、というありがちなパターンになりそうです。

早めに見切りつけたほうが良いとおもいますよ。