ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ヘッドアップディスプレイを本気で考えるべきなのではないか

2007年02月28日 | ITS
最近、どうも運転中の注意散漫(Driver distraction)が気になる。

今年のITSで唯一やるといっているスマートウェイ実験では、専用のITS車載器とDSRCをつかったナビ画面への走行安全情報表示が行われるらしい。
まだ実証実験ということで、試作のITS車載器をモニターに配布するようだ。

私も「走行情報のナビ画面表示」ということに関心があってビーコンVICSをつけたが、「簡易図形」といっても表示された情報を飲み込むためには数秒かかる。
この先ドライバーの高齢化がすすめば、これはもっと深刻な問題になる可能性がある。

やはり、視線を前方のトラフィックから外すことなく情報を得るためには、フロントウインドウへの透過表示がいいのではないか。
過去にヘッドアップディスプレイで速度表示などをする車があったが、すぐに廃れた。これはそうだろう。そんなのなくても困らない。速度情報はメーターで瞬時に把握できる。

しかし、ある程度複雑な情報となると話は別だ。
そろそろ日本車も真剣に検討する時期なのではないかと思う。

アメリカでもHDDナビ?

2007年02月26日 | ITS
今年に入って、アメリカで発売される車にHDDナビが装着されているケースが多くなっており、結構人気もあるようだ。ビッグスリーもHDDナビ装着のラインナップを増やしており、2007年以降大幅に増加するだろうという。

しかし、ちょっと気になる情報としては、アメリカのユーザーはナビよりもミュージックサーバー機能に魅力を感じているらしい、ということ。

そもそもアメリカは道が簡単で運転しやすく、ナビ不要論が根深く存在した。
北米市場にカーナビが登場してからもう10年以上たつ。昨年来PNDがかなり出回り始めたとはいえ、カーナビのメーカーライン装着率は決して高くなかった。

PNDがカーナビの伝道師役を果たしたとか、露払いをしているという分析もあるようだが、通常のナビよりも割高なHDDに人気がでるということは、確かにミュージックサーバーが評価されているのかもしれない。

給湯器が壊れて知った業界の真実

2007年02月24日 | 雑記
またまたITSと関係ない話。

先週、我が家の給湯器が壊れた。
壁に取り付けたリモコンに液晶画面が付いていて、フルオートで風呂が沸かせるという、良くあるタイプだが、エラーコードが出て着火しなくなった。
家庭用給湯器はほぼ大手2社独占のような状態だが、我が家のそれはそのうちの1社の製品。

メーカーのサービスに来てもらったところ、部品が生産中止になっているので買い換える必要があるという。

で、定価が税込み38万円。

これはショックでしたね。
確かに13年たっているとはいえ、部品がないから本体買換えって納得いかないでしょ。
これが車やTVなら13年で性能が段違いに向上しているからまだ納得するけど、こいつは湯を沸かすだけの機械ですよ。
責任供給年月を過ぎた時点で恣意的に部品の供給をストップしているんじゃないかと疑ってしまう。

しかし、ショックはまだ続く。

家内がインターネットで安い業者を調べてくれというので、ちょっと調べたら半額は当たり前。7割引きまである。
結局、近くの業者さんから約10万円で購入し、取り付けてもらった。
普通7割引といえば型落ちやバッタ物だが、これはまったくの正規販売品。

こうした建築関連製品は、大卸、地域問屋、施工受け会社、施工会社等、多くの中間業者が介在するために定価が高くなっていることは想像がつくが、これほどとは思わなかった。
この家を新築した時の見積もりには給湯器はおそらく定価の2割引程度で入っている。多分給湯器に限らず建築関連製品は大抵こんなもんなんだろう。
家を建ててどれだけ損をしたか、ってことだ。

家電等の一般消費財はインターネット出現以前から複数店舗を回って安い買い物をしていたが、この手のものは施工会社の言いなりになるしかない商品だった。ぬるい商売で各流通段階はみな潤う。
しかし、インターネット家庭普及率がこれだけ向上してくると、もうそんな商売は出来なくなる。

インターネットが経済にもたらす効果を痛烈に感じた出来事でした。

NEWS ZEROはあれでいいのだろうか

2007年02月22日 | 雑記
全然ITSと関係ない話。

昨日の日テレ「NEWS ZERO」で、横浜かどこかの市役所に勤める男の逮捕の瞬間というニュースが放映された。
役所のウェブサイトの市民の声ページに元上司に対して漫喫から「殺してやる」などの投稿をした、という。
動機はパワハラで、元上司のコメントは「まったく身に覚えはない」

私も会社員を長くやっており、こうしたパワハラ系のゴタゴタは山ほど見てきた。
あくまで一般論だが、大抵のケースは「どっちもどっち」だ。

今回の事件に関して「殺してやる」というのは脅迫でありそれに関して擁護する気はないが、逆に表現を柔らかくして社員相談室(が役所にあるかどうか知らないが)に投稿していれば、普通責められるのは上司のほうだろう。

番組では通勤中の容疑者をモザイク無しのアップで隠し撮りし、あくびをするシーンを何回も繰り返し放映していた。
しかし、そこまでするような凶悪犯なのか?

それよりも怖いと思ったのは、誰だって電車のなかであくびくらいする。その場面を繰り返し放映されたら、「夜も寝ないでインターネットで悪質な書き込みをする執拗な変質者」みたいなイメージが植えつけられる。
メディアにそこまでする権利があるのだろうか?
こうした演出をすれば、誰だって悪人に仕立て上げられる。

NEWS ZEROは「Think! いじめキャンペーン」という特集を昨年12月に大々的に繰り広げていたが、どうもこれをみると「い~けないんだ、いけないんだ」といってちょっと悪いことをした子を皆でいじめた子供の頃の記憶がよみがえってくる。

私は報道にこうした演出をして欲しくない。事実だけを淡々と報道して欲しい。

米サテライトラジオ2社が合併

2007年02月21日 | ITS
米サテライトラジオの2社、XMとシリウスが合併を計画しているとのこと。

サテライトラジオについてはこのブログでも何回か紹介している。

2005年の7月のエントリーでは「完全に離陸した」と書いたが、契約者は順調に拡大しているものの、XMもシリウスも未だに黒字化していないらしい。
そこへ持ってきて、年末クリスマス商戦が思ったほど伸びなかったことが合併話をより具体的にさせているようだ。

日経新聞に出ていたグラフでは、両者とも契約者、収入ともに急速に拡大しているが、収益は依然として赤字になっている。
契約者が増えれば固定費をカバーして収益はどんどん良くなるのが普通で理解しにくいグラフだか、そのカラクリはこうだ。

まず、アクイジションコストが高い。
アクイジションコストとは新規顧客を獲得する費用で、こうした月極め購読料が見込める商品の場合は初期費用を格安にして利用料で回収するビジネスモデルを採用することが多い。ゼロ円ケータイもそうだし、ディアゴスティーニの初回390円もそうだ。

サテライトラジオの場合は、カーメーカーに格安でラジオを提供する、という戦略をとっている。
ユーザーは車を買うと、最初からサテライトラジオが付いてくる。確か試聴期間があり、それ以降契約するか否かはユーザー次第というようなシステムだったと思う。

全員が契約すれば数ヶ月でラジオのハードウエア代の元は取れるが、もし契約率が10%だとすると、元をとるのに4-5年かかる。それでは商売にならない。

つぎに、コンテンツ料に金がかかる。
今まではXM/シリウスが真っ向から競合していた。両者ともサービスの内容に差はなく、差別化はコンテンツでしか出来ない。
勢い、ライバルに負けない人気コンテンツ(音楽ではなく、トークショーなど)の獲得に金がかかる。
これは合併することである程度コントロールすることが可能だろう。

サテライトラジオの契約率が最近落ちてきている理由として、iPodによるpodcastの影響が挙げられていた。これは本当なのだろうか?
確かにpodcastで好みの番組を自由に手に入れることが出来れば、サテライトラジオはいらないかもしれない。しかし、いくらプラグアンドプレイとはいえ、毎日iPodを更新するのは面倒だとおもうのだけど。

渡辺和博氏

2007年02月19日 | 雑記
2月6日に「金魂巻(まる金・まるビ)」の渡辺和博氏が亡くなったそうだ。今日まで気付かなかった。

ビンボーなクリエーターはなけなしの金をはたいて中古のアルファロメオを買い、修理に金がかかりますますビンボーになる、という話は、当時アルフェッタの故障に頭を痛めていた私はなるほどな~と思って読んだものだ。

バブル勝ち組と乗り遅れ組という、現在に比べればわかりやすい構図だが、商品企画者としては随分役にたった。というか、マーケティングってのはこうした実際の社会で起きている風俗(やらしい意味ではなくて)が根本にあって、それを実際に見ないことには何もわからない、ということを教えてくれた。

56歳。早すぎる死である。

ナビによる運転散漫に対する議論

2007年02月17日 | ITS
ポータブルナビ(PND)の増加により、アメリカではナビによる運転注意散漫に関する議論が起きているようだ。

日本ではあまり一般的な概念ではなく、したがってまだ適切な和訳がないこの「Driver Distraction=運転注意散漫」に関して、欧州ではかなり早い段階で議論がされていた。欧州では当初、地図ナビは許可されないという見方もあり電装各社は表記がより単純な矢印ナビを開発していた。しかし結局矢印ナビは商品力が劣り、現在は地図ナビが主流となっている。

当然、ナビメーカーにとってはDriving Distractionへの過剰な規制は大きな脅威となる。
PND大手のオランダTOMTOMは先日、リサーチ会社との共同調査ということで以下の発表を行った。
Satellite Navigation has a Positive Effect on Driving and Traffic Safety

要約すれば、
ナビを使うことで、知らない場所へ行くときの運転者の負担は軽減する。
ナビの使用は運転者の注意力を維持しストレスを軽減する。
ナビを使っていない人は使う人より12%事故を起こしている。
TOMTOMのナビを使うことで、走行距離は16%削減される。
知らない場所へ行く場合、TOMTOMのナビを使うことで、距離時間は18%削減される。

ということで、ナビ利用は危険ではなく、逆に安全性を向上させるということだ。

確かに助手席においた地図をめくりながら運転するよりはナビのほうがはるかに安全だというのは事実だろう。
一方で、PNDは小さい画面で操作性が良いとはいえない上に、運転中の操作制限をかけることが出来ないという問題も内在している。

こうした状況から私は、少なくともアメリカ市場では、かなり近い将来に専用インターフェースをもった車載組込みナビへのシフトが起きると予想している。

TVとPCの融合

2007年02月11日 | 雑記
冬になってコタツを出してから、TVを見ながらノートPCをひろげるケースが多い。
自然と、なんか興味があることがあると検索をするようになる。
実際、検索サイトの検索ワードはTV番組とかなり連動しているようだ。

そこで気が付くことは、PCで検索を始めてしまうとTVなんて見ていられなくなる、ということだ。
「あれ、あのタレントはいまどうしているんだろう?」
とかおもってググっているうちに、TV番組は終わっていた、なんて事が良くある。

この辺が、放送とネットの融合の限界なのかもしれない。
TV放送とネットサーフィンはどちらも最高の暇つぶしだが、同時に出来るもんじゃないのだ。しいて両方やるとなると、どうしてもTVのほうが従になる。ながらTVは出来るが、ながらインターネットは出来ない。

TV視聴の邪魔にならない程度の情報をTV画面に提供する、というような融合のアイデアもあるようだが、そんな情報はちっとも面白くないだろう。
唯一TVショッピングの衝動買いを促進するというぐらいのことしか、放送とネットの融合で消費者に受け入れられ、ビジネスにつながるモデルはないように思う。

TVとネットですらこんな状況の中で、運転中の車にインターネット経由で広告配信や情報提供をする、なんてのがいかに危険で、結果として実現性のないアイデアであるか、よく考えたほうが良い。

参考:インターネットITS協議会

欧州車にUSBコネクター標準化の動き

2007年02月10日 | ITS
昨年、VWはセンターコンソールにUSBポートを設けるというアイデアを欧州モデルに導入したが、その後の昨年のパリショーでは、VW、VOLVO、イタリア、フランス系メーカーの展示車がコンソールなどにUSBコネクタを装備していたという。

アメリカではカーステレオと連携するipodコネクタが流行しているが、カーオーディオ側にデジタルオーディオのファイル操作を可能にするインターフェースをそなえ、USB接続端子を実装すれば、メーカーを問わずどんな携帯プレーヤでもつながる。
それだけではなく、単に音楽データが入ったUSBメモリースティックでもOKだ。
どう考えてもこちらのほうが合理的だろう。

この流れは今年中に主流になるのではないか、と予測する。実際、日本でも市販のカーステレオではUSB対応が急増している。日本でも標準装備のカーステレオがUSB対応になるのは時間の問題だろう。

そして、まず間違いなく言えることはCDチェンジャーという商品は世の中からなくなってしまうだろう、ということだ。コストが高いメカを搭載し、逆に収納曲数は60-100曲程度では、まったく競争力がない。

寿司ポリス

2007年02月09日 | 雑記
農水省の海外日本食認定制度、いわゆる「寿司ポリス」が議論を呼んでいる。

松岡農水相は昨年の就任の挨拶で、中国などの低価格農産物攻勢にさらされる国内の農業について、「品質や味でブランド化していけば活路がある」という趣旨の話をした。これはその通りだろう。
しかし、その喩えで「ロールスロイス」というブランドを持ち出したのには驚いた。ロールスロイスは結局のところ外国の会社に買収された、という皮肉な事実を知っていたのかどうかはわからないが、少なくともこれが高級車の代名詞ってのは、40年前の話だ。

この奇妙な政策が果たして松岡大臣の発案なのか、その前から決まっていたのかは知らないが、こんな陳腐な喩えを平気でするのは世の中のトレンドなんかとは無縁の世界に暮らす人だ。そんな人に食文化を語って欲しくない。

実際、大臣はシカゴの日本料理屋のメニューに焼肉があったことでショックを受けたというが、そもそも牛タンやカルビを卓上で焼く焼肉はラーメンと同様に日本で独自に進化した食文化で、日本食レストランで供されることになんの不思議もない。

さて、実は私はこの認定制度自体は結構なことだと思う。
しかしそれは日本文化の保護とか、似非和食の排除ということではまったくない。
本物のエスニック料理を食べたい人はどこの国にもいるだろう。認定制度はそういう客が店を選ぶ手助けになる。

タイに行くと、スキヤキはとてもポピュラーなメニューだが、それはすき焼きとは似ても似つかない料理だ。
スキヤキそのものはいわゆるタイスキのこと、また一品料理でスキヤキといえば、甘くて辛いタイスキのつけダレをつかった春雨入りの炒め物を意味する。
これを多くのタイ人が日本料理だと信じているのは驚きだが、だからといって日本文化が誤って伝わっている、などと目くじら立ててもしょうがない。少なくともタイ人はこれが好きなのだ。

本格イタリアンは美味しいけど、ケチャップナポリタンだって美味しい。それだけのことだ。

認定制度自体は良い。だが、それがその文脈のなかに「海外ではびこる似非和食を糾す」というような意図があるとしたら、それはまったく余計なお世話だと思う。

何がうまいか、まずいか、なんていうのは極めて個人的な問題であって、ナショナリズムを持ち出す問題ではない。

日本の車検制度について2 何を取り締まるべきか

2007年02月05日 | 雑記
1995年の規制緩和当時、車検の現場は相当混乱したに違いない。昨日まで改造車だったものが、合法になってしまったのだから。

規制緩和以降は、検査場の改造車に対するチェックは保安基準に合致しない違法改造の取り締まりにフォーカスされている。前面ガラスのスモークや、タイヤのはみ出し、歩行者の足元をすくうような出っ歯などだ。

これらが危険な改造であることは間違いない。
しかし、検査官のなかには保安基準適合を極めて厳格に運用する人もいる。

たとえば、ウインカーつきドアミラー。
殆どの自動車メーカーで純正用品として販売しているが、保安基準では方向指示器は「左右対称」と規定されている。

一方、ドアミラーは実は左右対称ではない。運転席が右についているから微妙にオフセットされている。
それを理由に車検不通過にする検査員が、かつては存在したのだ。

巻尺で計らなければわからない左右非対称になんの危険があるというのだ。
逆に、方向指示器をドアミラー部に装着することは視認を向上させ、事故防止につながる安全装備だろう。

この件は業界で陳情し条文を変更してもらうことで解決したらしいが、まったく馬鹿馬鹿しい話だ。

たしかに、「ちょっとなら良い」という判断をしてしまうと判断基準に収拾がつかなくなるのも事実かもしれない。しかし本来の車検制度の意味である、「危険な車を排除する」という機能からは無意味な摘発だと言わざる得ない。

日本の車検制度について1 規制緩和

2007年02月04日 | 雑記
車検制度について思うことを、何回か書いてみたい。

昔、日本の車検制度は世界一厳しいといわれていたが、1995年の規制緩和で状況は一変した。
規制緩和については、このあたりがわかりやすい。
かいつまんで説明すれば、
・ナンバーを取得したあとで
・保安基準や道交法に抵触しないものであれば
・指定部品(オーバーフェンダーを除く殆どの部品)を溶接以外の方法(外そうと思えば外せる構造)で取り付ける限り、
・クルマの諸元(長さ、幅、高さ)が変わっても登録変更の必要がない

この規制緩和はアメリカの外圧によって唐突に実施された。
米政府が自国の自動車アフターマーケット商品が日本でほとんど売れない理由は厳しすぎる車検制度に問題がある、として問題視したことが発端。
勿論、アメリカ製自動車部品用品が売れなかったのはそんな理由ではない。商品力、品質、市場調査不足だ。
もし車検制度が理由なら、欧州製のブランド自動車用品は何故売れていたのか。

この話の裏には、アメリカの最大手ショックアブソーバ企業が絡んでいるらしい。
日本以外の市場には巨大なショックアブソーバ交換需要がある。その企業は全世界に進出しているが、日本だけは入り込めない。それを車検制度や分解整備免許制度のせいにして議会へ泣きついた。
しかし、ちょっと市場調査をしていれば日本ではショックアブソーバを定期交換する風習がないことくらい、すぐわかったはずだ。車両の生涯走行距離が10万キロそこそこのわが国では、ショックアブソーバは交換部品ではないのだ。

アメリカ議会は、この陳情をうけて自国の業界から意見を聴取し、規制緩和要望品目リストを作成し日本政府に提示した。

そもそも、日本は自動車部用品に関税をかけていない。関税がかかっていないのに売れないのは、ずるい日本人が非関税障壁を設けているからだ、という言いがかりだ。

この規制緩和であるが、「外圧だから仕方がない」という気持ちがあったためだろうか、もしくは言いがかりに対して開き直りの気持ちがあったからだろうか、アメリカの言い分を 100%認め、拙速に決定された。指定品目の例として掲示されている商品イラストは、多分アメリカから提示されたものをそのまま転載したような内容だ。わが国のアフターマーケットの特性などはほとんど検討されていない。

さらに言えば、この背景にはわが国にとっての本丸である自動車本体への影響、つまりはアメリカ製部品を生産車へ使えという圧力をかわしたいという側面もあっただろう。実際、日本側にはこんな規制緩和をしても日本市場はびくともしないという確信があったと思う。

規制緩和から10年以上経過したが、アメリカの自動車部用品が日本で売れるようになったかというと、そんなことはまったくない。
これについてはまさに溜飲がさがる。

あの規制緩和は一体なんだったんだろう。業界人としてはビジネスチャンスだったといわざる得ないが、一個人としてみればやりすぎだと思う。

参考:1995年規制緩和の日米合意(PDF)
(10ページ目のパラグラフ9に、この内容が記載されています)

安全走行支援実証実験の概要

2007年02月03日 | ITS
2007年に首都高速などで実施する安全走行支援実証実験の計画が見えてきた。
ビーコンVICSを利用した参宮橋実験の延長線のようなものだろうと思っていたが、主たる通信メディアはDSRCだという。

当然、現在車両に装着されているETCでは交通安全情報は表示できないので、専用車載器をモニターに貸与し、コメントを取るようだ。

車載器は音声ガイダンスタイプと、ナビ一体型らしい。

音声ガイダンスタイプは、「この先カーブ注意」などの情報を音声で警告するタイプ。
しかし、将来の普及を考えた時、音声ガイダンス単独機能の車載器というのはありえないだろう。まあ、通常のETC車載器に対する付加価値機能としては成立するかもしれない。だけど、そんなのうるさくてオフにしちゃう人も多そうだけど。

ナビへの一体化というのは、どうだろうか。
DSRCなら比較的多くのデータを送れるため、進行方向の渋滞状況の画像を表示、といったことも出来るらしい。
しかし、現在のビーコンVICS簡易図形ですら運転中の理解は難しいのに、これ以上複雑な情報を運転者に提供し、運転注意をそらすことが良いことなのだろうか。

そうした情報提供が消費者に対して有効な付加価値となるなら、ほうっておいてもナビはその方向に進化する。消費者が価値を感じないなら普及しない。それだけのことだろう。

しかし、ビーコンVICSがいつまでたってもナビの標準装備にならないという現実を考えると、どうも難しいのではないだろうか。

何度もいっていることだが、安全にかかわる走行情報は全運転者が運転視野から目をそらさずに認識できる路側表示機でおこなうべきだと思う。