ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

インターネットITS通り

2005年06月28日 | ITS
インターネットITS協議会は、名古屋で無線LANをつかった「インターネットITS通り」の実験をするらしい。レスポンス記事参照

で、結局なにができるかというと、広告のプッシュ配信だ。

インターネットにしても、携帯にしても、消費者は今どき広告メールを「情報提供」として有り難がる物なのか?
おそらく、多くの人は自分の興味の対象にピンポイントでフォーカスした情報だけを厳選して配信許可していると思う。

成熟した市場においては、プッシュ広告は消費者にとって情報発信、情報提供ではなく、売り手の一方的な押し売りだ。消費者はもはや情報に飢えていない。むしろ選択する賢さを身につけている。

たしかに特定情報に関して受信を許可するというやり方はあるだろう。自分の好きな小売店やレストランチェーンの特売情報を走行中に受信したいというニーズが無いとは言えない。
しかし自動車の場合は運転の妨げという要素もあり、結局走行中の車へのプッシュ配信はかなりハードルが高いと思う。

いずれにしても売り手視点の楽観的な計画だ。
それ以前に、私にはこれがITSだとは思えない。

VICSプローブ懇談会

2005年06月27日 | ITS
警察庁交通局、総務省総合通信基盤局、国土交通省道路局は6月29日にVICSプローブ懇談会を開催する。

VICS(道路交通情報通信システム)の精度を向上させることを目的に、VICS車載器を活用した自動車からの情報(プローブ情報)の収集及び活用のあり方等に関する議論を行うとのことだ。

この動きとP-DRGS(Driving Route Guidance system)コンソーシアムとの関係はわからないが、委員にコンソーシアムメンバーの名古屋大学、トヨタ、デンソーなどが入っているので、連携はされているのだろう。

6月7日の当ブログでP-DRGSについては、「不十分とはいえVICSがある我が国で、渋滞予測ってそんなに大がかりな仕掛けに値するマーケットなのかということに多少の疑問がある。」とコメントしたが、VICSの精度向上ということなら、それなりに意味があるだろう。

VICS自体もキャパシティー不足など問題はあるようだが、今あるインフラを活用して使いやすくしていくというのが現実的なアプローチだと思う。
良い方向に進むことを期待したい。

ITSへの提言:交通事故減少にフォーカスする その2

2005年06月24日 | ITS
安全、つまり交通事故の減少を推進するということであれば、原則的には公共事業で構わないと思う。
「ITSは公共事業に頼ってきたから頓挫した、これからは市場ニーズを重視し、民間事業としてのスタンスを持つべきである」という文脈はあちこちで目にするが、それが意味していることが往々にして情報提供サービスだということに問題があるのだ。
そこでスタックする位なら、むしろ公共事業としてもう一度見直した方が良い。

トヨタは最近、ことある毎に「ITSは安全」と言い始めた。
まさしくその通りだと思う。安全、交通事故減少に対しての官民の協調をきっちり考えていくべきだろう。

民間が出来ることは、ASV(先進安全)装備を早く車両標準装備にすることだ。
消費者が望む「キラーコンテンツ」になれば、自然と正のスパイラルが回る。
官は道路の改善や法整備、国民啓蒙でその促進をするべきである。

DSRCサービスでドライブスルーのキャッシュレス決済とか、商店街の特売情報をプッシュ配信するなどということはきっぱりと忘れて、関係官民のベクトルを交通事故減少にフォーカスしなくては、ITSに未来はない。

繰り返すが、車車間、路車間通信は「目的達成のためにその方が合理的」であるなら使えば良いだけのことだ。

ITSへの提言:交通事故減少にフォーカスする その1

2005年06月23日 | ITS
ITSは「交通事故減少にフォーカスする」べきだ。
商業利用によるビジネスモデルを資金的な前提としている限り、これ以上前に進めなくなる、と書いた。

今のITS政策は民需活用によるドライブを前提にしている。それはそれで正しいのだろう。
しかし、その民需の方向が間違っているのだ。

「車に通信機器を組み込むことで、ビジネスチャンスが生まれる」ということでスタートし、既に5年以上経過しているが、いまだに収益モデルは誰も構築できていない。
ここで言うビジネスチャンスというものは、様々言われてきたが主として走行中の車両に対する情報提供である。ビジネスモデルは有償情報によるものと広告情報によるものに大別されるが、いずれにしても収益モデルは未だにだれも見いだしていない。

カーメーカーのテレマティクス「G-BOOK」 「CARWINGS」は共に苦戦している。
DSRC付きETCでビジネスを立ち上げたIBAも、サイトを見ても判るとおり、今年1月20以降サイトリニューアルと臨時休業以外トピックスがない。

その阻害要因はこのブログですでに語り尽くしてきたが、簡単にいってしまえば「別にそんなもの無くたって構わない」という程度の物ばかりだ、ということである。

 ・人は車の中で生活しているわけではない
 ・第一、運転中は見てる暇ない
 ・ナビがあればとりあえずは十分
 ・ということで、まあ有用だとは思うけど、金払う価値はない

前の項目でも述べたが、情報提供は決してキラーコンテンツにはならないのだ。
情報提供ビジネスを民活の動力源としている限り、ITSはこの先一歩も前に進めない。

この先に進むためには、消費者が本当に必要としている「安全」に目を向けなければいけない。

ITSへの提言:市場の自律性を中心に据える その3

2005年06月22日 | ITS
ITSが今後発展するためには、車載機器の標準装備化が必須だと書いた。

ETCにしてもそうだが、一般に消費者はあまり使用中の車へ装備を後付することはない。次の新車の時に装備しようとする。さらに、その装備がメーカーオプションではなく、車両価格に含まれていなければ急速な普及はない。

では、どういう商品・サービスが「それがなければ買わない」(キラーコンテンツ)と市場が合意する装備になるのだろうか?

商品力、マーケットニーズが大前提であることは当然だか、それが完全に論理的に動くとは限らない。
エアバッグの例にしてもそうだ。
車両の平均速度を考えれば欧米では必需品だと思うが、殆どの場合最高速60キロ程度の走行に終始する日本で、本当にエアバックの優先順位が一番高いのか、ということには疑問もある。

しかし、結果的に「必需装備」として日本の消費者は認識したのだ。

乗員保護の先進装備の象徴として各社が宣伝し、マスコミも同調し、結果的に世論が形成されてきた。

テレマティクスが次世代のキラーコンテンツになる、と随分騒がれたが、これは完全に失敗に終わっている。トヨタも日産もかなりの宣伝を打ったが、結果的には市場に浸透していない。

私が断言できるのは、次のキラーコンテンツはやはりASV関連だということである。
安全性向上は最も消費者にわかりやすいメリットである。
例えばエアバッグは、その構造と機能からして極めてわかりやすい。機械に詳しくない女性ユーザーでも、直感的に理解できる。その辺が急速な普及につながった一因でもある。

そう考えると、追突防止か車線逸脱防止装置が次のキラーコンテンツになるだろう。

カーメーカーは自車の競争力向上という経済原則に基づき研究開発をすればいいし、国交省はそれらの実現を助け、促進することに全力を傾けるべきである。そのための法整備、税制優遇や、道路側での対応など、まだやれることはあるはずだ。

いまさらスマートプレートに意味があるのか?

2005年06月21日 | ITS
国交省(自動車交通局)はスマートプレートの導入を本気で考えているようだ。
なんと計画では2009年の装着義務化をロードマップに据えている。

一枚あたり+1000円といわれるナンバープレートのコスト、さらには電池の寿命に伴って定期交換の負担をもユーザーに強要するこの施策、本当に必要なのだろうか?

国交省が示すスマートプレートを強制装着する理由・メリットは以下の通りだ。
1.偽造防止
2.車両盗難防止
3.検査の効率化
4.環境対策

しかし、ちょっと待って欲しい。各々の項目をよく見てみると、殆どこじつけのような内容が多い。

ナンバープレートの偽造という行為は確かに存在するのだろう。不正車検や犯罪利用などだ。
しかし、その頻度やそれによる被害、抑止効果を考えた場合、高価なナンバープレートを全車に強制装着させるほどのことなのか?

また、組織的な車両盗難団は盗難車をトレーラーでは運び、海外へ輸出してしまう。
ナンバープレートをいくら細工しても抑止効果はない。

検査の合理化は、検車場での省力化と不正防止が目的だというが、はっきり言って大げさである。
これによる省力化効果なんてたかがしれている。

環境対策は路上で行われている排ガスチェックの合理化とのことだが、少なくとも乗用車は関係ない話だ。

なぜ大した使い道がないスマートプレートを無理矢理導入しようとしているのか。その答えは以下の通りである。

・ETC以前から、旧運輸省はスマートプレート構想をもっていたが、
 旧建設省のETCがDSRC活用システムとして立ち上がってしまった。
 しかし、ETCは100%全車装着には出来ない。

・全車装着されなければ、ITSへの応用は不可能、という錦の御旗
 の元で、旧建設省一派に先を越されてたスマートプレート(旧
 運輸省)もその巻き返しに勢いが付いてきた。

・加えて、実は先に上げた4つのメリット以上の狙いが、Nシステムの代替
 である。従って、警察庁がスマートプレートを強力に後押ししている。
 (Nシステム:ナンバープレート読みとりシステム)


Nシステム自体、警視庁が正式にその存在を認めていないため公式には発表されないだろうが、スマートプレートになれば路側の読みとり装置が大幅にコストダウンされることになり、設置箇所が増えるのだろう。

プライバシー保護論者が知れば大騒ぎになるだろう。
それに関して私自身は極端に過敏な意見を持っているわけでもなく、犯罪捜査に貢献するのなら100%否定するつもりはない。
気に入らないのは、ITS推進という美名に隠れながらこうした計画が進められているということである。

2009年には、100%ではないにしろETCはかなりの普及をしている筈だ。
ユーザーはETCに出費をし、さらに同じDSRC受送信機器であるスマートプレートも購入しなければならない。
こんな理不尽な話はなかろう。

我が国には6000万台の車両が稼働している。台あたり1000円として600億円。結構な無駄使いだ。
レスポンスの特集(2003年12月)にもあるとおり、国交省は「勇気ある撤退」を考えるべきだ。

ITSへの提言:市場の自律性を中心に据える その2

2005年06月18日 | ITS
カーメーカーの商品企画のもっとも重要な仕事は、目標コスト・売価と装備仕様表のにらめっこだ。
「他車に差別化できる自車の特長装備」と、「他車が装備していて、自車にも装備しないと負けてしまう装備」について優先順位をつけて、ショッピングリストを作っていく。

とくに、後者の「装備しないと市場競争力を無くしてしまう」装備が今回のテーマのキーになる。

例えばエアバッグだ。いま新車を購入する場合、エアバッグが付いていない車を選択する人はいないだろう。
事実、そんな車は既に殆ど存在しない。
従って、エアバックは車両の数を同じ数が生産され、結果大量生産と競争でコストも押さえられ、車両の売価に与えるインパクトも小さくなっている。

これが市場の自律性に基づく普及の典型的なパターンだ。

ITS関連の車両装備も、こうした過程を経なければ普及はない。
商品企画者のショッピングリストに残る装備でなければ、世の中にでていくことすら出来ないのだ。

では、どういう商品・サービスが「それがなければ買わない」と市場が合意する装備になるのだろうか?

ITSへの提言:市場の自律性を中心に据える その1

2005年06月18日 | ITS
さて、第二のキーワードとして、「市場の自律性を中心に据える」をあげた。

ここでいったん話を変えるが、ITS JapanがNGO人格を取得した。
ITS Japanは生い立ちが産学官のコンソーシアムであるが、NGOとして改めてユーザーの視点でITS推進していくとのこと。
もともと特定の官庁との結びつきがないため、役所の縦割りをこえた活動が期待される。

昨年秋の名古屋ITS世界会議以降、ITSへの関心は拡大するどこか逆に萎んできているように見える。実際、関連企業やそれに携わってきた関係者も世界会議まではがんばって、そこで一段落という意識がでているのではないかと思う。なぜなら、ETC普及の先の明確な絵が見えてこないからである。

ITSジャパンはこの状況に陥った原因を主に2つ、あげている。
ユーザー視点の欠如と、官の縦割り行政だ。

ユーザー視点の欠如、というだけでは言葉が足りないと思う。
ITSの各施策に欠落していたのは「マーケティングセンス」だ。

マーケティング、つまり物やサービスが売れる仕組みである。
よく売れている物やサービスは、必ず市場そのものに何らかのドライブがかかっている。水が高いところから低いところへと流れるように、勝手に市場が動いていく。こうした仕組みを上手に作るのがマーケティングだと言うことが出来る。

しかるに、例えばETCをとってみれば、如何にそれが出来ていなかったかがよくわかる。
マーケティング不在というよりも、逆にわざと売りにくくしているのではないか、とすら思える。

認定した店でないとセットアップ出来ない、セットアップに手数料がかかる、専用のクレジットカードが必要、専業者でないと装着が出来ない、立ち上がり時、車載器は値頃を外した3万円台、等々。
こうした様々な「販売阻害要因」はすべて「売り手都合」による物だ。

偽造、不正使用の防止、セキュリティー確保に万全を期すための負担を単純に使用者に押しつけるという、まさに役所感覚なのだ。

ETC車載器リース制度 35億の無駄使い?

2005年06月16日 | ITS
以前にETC車載器リース制度について書いたが、よくよく考えてみるにこの制度って助成金だけで35億円を使うことになる。(5千円x70万台)

しかし、この制度についてのPRは殆どされていない。

オートバックスなどの店頭では宣伝されているだろうから、それをきっかけに購入する人もいるだろうが、「ETCを買いに行ったら5000円も割引があってラッキー!」という人も多いのではないか。

前の記事で指摘しているように、一般ドライバーへの普及阻害要因は価格ではないと思う。
そもそも決して高額商品ではないのだ。補助制度なんか無くたって仮に2年ローンにすれば月額600円程度。それが400円になる程度の話である。
600円/月なら買わないが400円/月なら買う、という人が一体どの位いるのだろう。

私には35億円が無駄使いされているとしか思えない。

ITSへの提言:通信ありきでは始まらない その3

2005年06月16日 | ITS
通信を前提としていたら、ITSはスタートすら切れない。

ではどうするのか?

行政と自動車メーカーの両面から考えよう。
まず行政は通信にこだわらずに現在の交通状況の改善を進めるべきである。
見通しの悪い事故多発カーブに対しては「通信の実験」なんかしていないで、さっさとセンサー+路側表示の警告システムの設置を進める。また、交通事故死ゼロを本気で目指すなら、右左折の矢印信号化、歩道設置や自転車専用道路設置などの人車分離施策をまず第一に進めるべきだ。
「歩行者に携帯端末を持たせ、それを車が察知する」なんてことを考えるのはその後、まだ10年早い。

自動車メーカーは通信に頼らない自律型のASV装備をどんどん進めていけばいい。
特にレーダーやカメラ技術による装備を早く量産し、コストを落として出来る限り多くの車に標準化する。国は、立ち上がりに勢いをつけるための補助をすべきだろう。

安全装備として本当に有効であるとユーザーが認知すれば、市場はセルフダイナミックに動く。エアバッグが良い例である。

こうした実効ある施策を進める中で、もし通信を使った方が有利な状況がでてくるなら通信を使えばいいのだ。

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以上、16日に投稿しましたが、草稿(goo blogの機能:公開しない状態で保存のこと)の状態になってしまっていることに気が付きませんでした。maikawa

ITSへの提言:通信ありきでは始まらない その2

2005年06月14日 | ITS
昨日、「車がユビキタスに通信で接続されるということは既定路線である」「だから、それをITSに活用するのだ」という図式で考える限り、ITSはスタートでつまずいてしまう、と書いた。

しかし、いましきりに行われてるITS実験は依然として通信を前提としているものばかりだ。
最近も書いた参宮橋実証実験がその典型である。
参考:AHSRAは7月1日にその成果報告を含めたフォーラムを開催

見通しの悪いカーブの手前に、その先の渋滞、事故情報を流せば追突事故防止になる事ぐらい、子供でも判る。問題は、その情報提供手段を何故路車間通信に頼らなければならないのか、ということである。

路側表示で十分じゃないのか?

通信を使わなければITSじゃない、という思いこみがあるのではないか。
もしかしたらITSのI(インテリジェンス)という言葉が問題なのかもしれない。
インテリジェンスはベターとかオプティマイズドという言葉に置き換えた方が良い。

インテリジェンスかどうかは関係ない。方法はともかく、改善すべきは道路の安全性だ。

カーブ先の渋滞や事故を感知するセンサー技術は既にある。
電光掲示板も既にある。これらのすでにある技術なら、全国の事故多発カーブに今すぐに設置ができる。

路車間情報を全ての車が受け取れるようになるかどうかは全く不透明だ。DSRCなのか、ビーコンなのか、携帯通信なのかすら見えてこない。仮に規格が統一されたとしても、全ての車に普及するには10年以上かかる。
そんな不確実な路車間通信の実験をしている暇があったら、今できる技術ですぐに危険箇所の改善するのが先なんじゃないのか。

ITSへの提言:通信ありきでは始まらない

2005年06月13日 | ITS
ITSへの提言ということで、まずは「前提に通信技術ありき、という考え方を捨てる」と書いた。

私はそもそもユビキタスへの過度の期待に対して懐疑的だ。
ユビキタスを全面的に否定する物ではないが、既に市場はすでにそれなりの最適化を果たしているのではないか、と思っているのだ。

携帯の保有が進み、すくなくとも音声通話とショートメールは完全にユビキタス状態となっている。まずこの状況を前提としておかなけれならない。

これ以上のユビキタスというと、単純な言い方をすれば「どこでもwebの情報を入手できる」と言うことなのだろう。
それは、その気になれば出来る。ノートPC・PDA+通信カード、フルブラウザ付きケイタイでやろうと思えばすぐに出来る。ホットスポット利用という手もある。
しかし、そこまでしている人は(業務利用を除けば)きわめて限定される。

既に多くの家庭で常時接続の高速インターネットがリーズナブルな価格で実現されている。
職場を除けば最も長い時間を過ごす自宅で、すでに快適に常時接続されているのに、場合によってはそれ以上の接続料を支払って出先や移動中にインターネット情報の入手をする必要があるか?それが、モバイル接続が決して一般的という程には普及しない最大の理由だと思う。

この事情は、車内でも同じだ。接続料を払ってまで必要な情報など、言うほどはないのだ。
一般人にまで普及するようなビジネスモデルの構築は、まず不可能だとおもう。
移動体データ通信がリーズナブルな価格まで下がれば多少は状況は変わるだろうが、それにしても自宅と移動体双方で接続契約をする消費者は一部だろう。

「車がユビキタスに通信で接続されるということは既定路線である」
「だから、それをITSに活用するのだ」
という図式で考える限り、ITSはスタートでつまずいてしまう。

今後のITSのありかた

2005年06月12日 | ITS
ブログのタイトル自体そうだが、ここ最近は特にITS政策への批判記事ばかりになってきてしまった。

ITSが一種のバブルのようなものであったということが明らかになりつつある中、それをいまさら肯定できない官民共同体が断末魔のような施策を打ち出す物だから、ついつい批判に走ってしまうのだ。

しかし、批判的な記事ほど楽なものはない。野党的な意見というのは無責任で構わないし、アラを探せばいいだけだから極めて簡単である。

そんな反省にたって、しばらくは前向きに今後のITS(というか交通政策)のありかたについて考えてみたいと思う。

最初に3つ、キーワードをあげておこう。

1.「前提に通信技術ありき、という考え方を捨てる」
  →必要なら使えばいい。それだけの事である。

2.「市場の自律性を中心に据える」
  →消費者が納得して対価をはらうサービスでなければ、普及も長続き
   もしない。

3.「交通事故減少にフォーカスする」
  →商業利用によるビジネスモデルを資金的な前提としている限り
   これ以上前に進めなくなる。

702NK近況

2005年06月10日 | ITS
ちょっとITSがらみの話題もないので、ボーダフォン702NK(Nokia6630)の近況について。

先々週のバンコク出張でも、海外ローミングで重宝した。通信料は高いけど。
バンコクで気が付いたのは、自分のいる場所が画面に表示されるということ。画面の右上にSkunvit33などと表示がでる。受信しているアンテナの情報だろうが、迷子になったときはやや便利である。とくに、バンコクではタクシーに意志が伝わらず、とんでもないところに連れて行かれることが結構あるのだ。

現地でのNokia6630販売価格は2万バーツ。5万5千円くらいといったところ。現地の物価を考えると超高額商品である。ということで、結構うらやましがられた。こんな物が無料で手にはいるんだから、日本人は幸せだ。

バンコク中心部にある雑貨デパートのMBKは5階?が広大な「携帯電話フロア」になっており、電話本体やSIMカードの他にも様々な非純正アクセサリーが手に入る。日本では純正以外殆ど入手できないこのシリーズ専用のメモリーカード(RSMMCのDV仕様って奴)も売っていて、256で2300BTとかなりリーズナブルだったが、個人的にはあまりメモリー増設ニーズもないので買わなかった。

色違いのガワを2種類と専用ベルト装着ホルダーを購入。300-500円程度で入手できる。(ベルト装着ホルダーはオヤジ臭いという家人の猛反対で結局帰国後お蔵入り)

ということで、ソフト、ハードとも遊べるこの携帯は結構楽しませてもらっている。

ガードレール金属片の謎の謎

2005年06月09日 | ITS
最近騒がれているガードレール金属片、当たり前の話だが、車の外装板金片ということでやっと決着しそうだ。

マスコミの論調は「悪意ある行為」「怪現象」にしたくて仕方ない、という感じだったが、まともに考えればそんなことありえねぇだろう。

全国津々浦々で発見されたと判った時点で、作為ではないと考えるのが自然だ。
わざわざ不定形に切断した金属片を、ガードレールのボルトを一旦ゆるめて差し込み、また締め直す。これを全国全ての道路に3万カ所施工するためには、相当の工数が必要だ。
車の接触にしては不自然だ、という記事もあったが、こうした無意味な行為が秘密結社的に人知れず何年以上も続いていると考えるほうがはるかに不自然である。

おそらくはドアの前端やホイールハウスの後ろ側がガードレールの継ぎ目やボルトに対して「薄く」接触し、板金が引きちぎれたケースだ。隙間無く組み合わされているガードレールに挟むためには、大きな力で手前のガードレールを押しつける必要があり、そんなことができるのは車しかない。
稀なことだと思うが、日本には6000万台の車が走っている。3万件といわれれば多いように感じるが、決して不思議なことではない。
しかも、いままで話題にならなかったということは過去30年くらいの蓄積だ。

ガードレールの継ぎ目は、進行方向に引っかからないように重ね合わされている。
だから、車がぶつかって挟まるわけがないと主張する人もいるが、殆どのケースは追い越し中に反対のガードレールにこするように接触したケースだろう。これなら「薄く」接触するというのもうなずける。

これを謎として騒ぐ方が謎だ。