いろいろ話題をふりまいてくれたバルミューダフォンですが、3月初めに25%を越える値下げを発表しました。
これは何を意味するのでしょうか?
商品はその総利益が最も大きくなる価格を設定します。総利益は数量x利益で、当たり前の話ですが価格は安い方が数量は出る、ということなので総利益が最大となるようにうまいところでバランスをとって価格は設定されるものです。
おそらくバルミューダフォンの最初の定価10万円+もそうやって決められたんでしょう。一部の人はバルミューダのブランドバリューがあるから高めの価格設定をしたのだろう、といっていますが、多分違います。バルミューダは30億円の開発費をかけた、という話がありました。
それを製品コストに上乗せして回収するためには、10万台販売するとして一台あたり3万円。ハードウェアのコストよりこの開発費の割り掛けのほうが高いのではないでしょうか。
こうした開発コストの割り掛けが大きく乗っかってる商品は、販売が計画を下回ると非常に面倒なことになります。開発費を回収できず、損費を計上しなければならなくなります。
そうした事態に陥ると、まず考えることは「利益は吐き出してもいいから開発費だけは何とか回収しよう」ということでの値下げです。
今回の値下げはそうしたことかもしれません。
さて、ここで一つ考えなければならないことがあります。
バルミューダフォンはすでに27億円を売り上げており、それは実は計画を上回っている、ということです。
あれだけボロカスにいわれている商品が実は販売好調?
いや。そうではありません。この売り上げはソフトバンクへの初期分の卸売り(おそらくは3万台程度)で、消費者への実売ではありません。
もしこの初期ロットが多少計画を下回ったとしてもそれなりにさばけているとしたら値下げなんてするバカはいません。在庫を抱えて相当困っている、と見るべきでしょう。
しかし、定価10万+だったのでソフトバンクはおそらくその8掛け程度で仕入れているのではないでしょうか。スマホ業界の価格建てをしらないのでこれは想像です。
まあ、多少の差はあったとしても、25%定価がさがってしまったら赤字販売を余儀なくされます。通常そんなことは受け入れられるはずがありません。
おそらくはバルミューダからソフトバンクに対して何らかの補償が出ているのでしょう。
しかしバルミューダさんの苦労はこれで終わらないでしょう。
なぜなら、あのスマホは7万円台でもまだ値ごろを外しているからです。10万でも7万でも売れ行きはあんまりかわらないのではないかとおもいます。
おそらく売れ行きを向上させるための値ごろ感は2-3万円ってところではないでしょうか。
好みは人それぞれですが、私個人はあのスマホ、ただでくれるといっても10万円出してiPhone買うほうを選びます。
寺尾社長はバルミューダフォンが発表されて酷評をうけたことに心底驚き、しばらく落ち込んでいたらしいですが、この商品が本当に売れると思っていたとしたら絶望的にセンスがないし、センスというのは先天的なものなのでもうこの先しばらくはトースターに専念したほうが良いのでは、と思いますね。