ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

世田谷区長と外環道

2011年04月30日 | 高速道路
昨日井の頭公園を散歩していたら、「外環道、地下でも反対」というプラカードが目に止まった。
外環道の大泉~用賀間、もしくはその先、蒲田までは、関東の高速道路網における最大の「ミッシングリンク」となっている。ここがないがために、環状8号線はそこを通らざる得ない車でキャパシティを超えて渋滞する。

大泉から蒲田方面へ南下するルートはそのほとんどが閑静な住宅地であり、今からの高速道路整備に多大の反対運動が生じるのは自明のことで、結局のところは環状8号の直下か、大深度地下化の道をとることになった。

しかし、地下でも反対、というのは何なんだろう?

これを主張する人達のウェブサイトを見ると、主たるポイントは以下のとおり。
・地下水脈に対するリスク
・災害時の地上への影響
・ミッシングリンクをつなぐことによる全体トラフック拡大とそれによる環境悪化

地下水への影響はあるのだろう。また、大深度地下道の災害時の影響は私には判断できる材料がないのでコメントしない。いずれにしてもきちんと科学的に対処するべき問題であり、それにはなんらかの解があるだろう。

問題は、ミッシングリンクのせいで本来は自動車専用道路を通行するべきトラフィックが一般道に流れざる得ないことにある。自動車専用道路は一般道に比べて安全、環境両面とも優れていて、環境悪化とは逆の効果があるはずだ。

古い話だが、中央道の高井戸インターチェンジに関してかつて大きな住民運動があり、未だに高井戸から下り方面の中央道に乗ることは出来ない。そのため、環状8号からの車は国道20号を調布インターまで10キロ弱走る必要がある。これによる35年間の国道20号線およびその抜け道の事故、環境影響、渋滞による経済損失はかなり大きなものだと思う。それに対して、インター入り口を作らないことによる高井戸の環境保全効果は果たしてどの程度あったのだろうか?

今回世田谷区長に当選した保坂展人氏は外環道に反対だそうだ。
氏は、選挙の論点に「原発反対」をあげていたようだが、原発はもとより水力も火力も区内に発電所をつくることなんか出来ないのに、なんでそれが区長選挙の論点になるのか?
砧公園を潰して巨大ソーラパネルでも設置するか?まあそれはそれで反対運動が起きるだろう。

原発はともかく、区内を縦断する環状8号を今のままにして外環道をつくらせない、ってのは本当に正しいことなのだろうか。

台北 平渓線

2011年04月25日 | 雑記
先々週は仕事で台北。週末フリーだったので郊外へと小旅行へでかけた。

台北駅から北へ特急自強号で40分、通常の電車でも50分で海と山に囲まれた小都市瑞芳につく。ここから渓谷沿いを菁桐まで走るローカル線、平渓線に乗る。
乗り換え待ちの時間に腹ごしらえ。瑞芳の駅前をまっすぐ進むと、美食街という小さなフードコートがあった。胡椒餅と蚵仔(牡蠣)麺線。麺線はかつおだしが効いていてうまい。

平渓線は1921年に炭鉱専用線として開通。終点の菁桐には今は廃坑となっている炭鉱があった。

終点の菁桐駅



途中の大華という駅で降りて、十分瀑布まで線路を歩く。
大華の駅には、「滝に行くなら隣(十分)でおりろ、線路は歩くな」と書いてあったが、気がつかずに降りてしまった。

私の他にも10人程度、線路を歩く。

最後にあるトンネル。この中で列車がきたら本当に危ないが、前後の線路が直線なので、十分確認して通り抜けることが出来る。


トンネルを抜けると、線路の脇に瀑布の入り口と入場券売り場。ここは大華駅から線路を歩いて15分、十分駅からは渓谷沿いを歩いて20分。なんでここに駅を作らないのか、大いに疑問。


滝は、台湾のナイヤガラというが、まあ1/1000サイズのナイヤガラと思えば、それなりに楽しめる。

ここから渓谷沿いを歩いて十分駅へ。食堂街の真ん中を線路が通っている。なかなか味のある景色。



十分からまた列車に乗り、終点の菁桐まで。
菁桐駅はとってもいい感じにノスタルジック。


駅の周りにはやはりレトロな炭鉱時代の遺構があちこちにあり、ゆっくり見て回り、カフェになっている旧石炭選別場でコーヒーを楽しんで、次の列車で台北に帰った。

台北からの日帰り観光では、一押しです。

高速道路週末1000円の中止

2011年04月23日 | 高速道路
震災に対する財源対策ということで、高速道路の平日2000円は取り止めになり、さらに週末の1000円上限もやめるという。
平日2000円の取りやめはいい。そもそも高速道路無料というマニフェストに対するつじつま合わせというか、妥協案のような政策であり、これに反対する人はあまりいないと思う。

しかし、一気に週末1000円も中止するという唐突な発表には多少驚いた。十分議論されてのことなのだろうか?

もともと週末1000円は2年間という期限付きだったので、ある意味約束通りなのかもしれない。
しかし、2年続けてきてすっかり慣れっこになっているため、行楽へのマイナス効果が短期的には出るだろう。特に自粛ムードで行楽需要が低迷する中でその回復をさらに遅らせることは間違いない。

観光産業にとっては結構痛い施策だろうが、今の空気の中で声高に反対を言えないだろう。
そうした業界への配慮や確認はなされた上での決定なのだろうか?

直感的には、週末1000円は継続したほうが、今後懸念される景気後退に対する歯止め効果があると思う。

東海地震と浜岡原発

2011年04月10日 | 雑記
会食の席で政治と宗教の話はするなというが、今は原発かもしれない。
なので、私もその話題には触れないが、ひとつだけ腑に落ちないことがある。

今回東北で大きく地盤が動き、関東以西では東海以外で大地震が戦時中に発生している。
おそらく、遅かれ早かれ次は150年動いていない東海だろう。

浜岡原発は想定震度がマグニチュード8であり、今回の東日本震災でそれでは不十分であることが証明されたと思う。
それに対して、「すぐに浜岡を停止せよ」という意見を持つ人が非常に多い。
東日本震災同等の震災が東海で起こることを想定しているんだろう。

でも、東日本震災で犠牲になった3万人の方は、津波と地震でなくなった。一方、福島第一の放射能漏れでは少なくとも死者は出ていない。

したがって、もし東海大地震の発生とそれによる犠牲を憂慮しているのなら、静岡沿岸の何百キロの地域を居住・立ち入り禁止にするか、城壁のような防波堤をつくらなければならない。むしろそのほうがはるかに重要だ。

現在、静岡県の地震対策も想定マグニチュードは浜岡同様の8。津波による想定犠牲者はわずか230人。
でも、これは根本的に見直さなければならなくなった。
各自治体で対応をはじめたようだが、本当に東日本震災並の津波がくるとしたらそれは簡単なことではない。

東海地震に対して、浜岡の停止「だけ」を主張する人が多い。
津波で何万人犠牲になろうがそれは所詮ひとごと、ってこと?

カーナビの生産

2011年04月10日 | 雑記
東日本大震災で車載用ICの大手ルネサスが打撃をうけたが、これによりほとんどのカーナビメーカーに影響が出ている。特に最新のチップは海外製では代替がきかないらしい。

カーメーカーのライン品、ディーラー純正品、市販品全てに影響がでる。
今は在庫品を販売したり在庫部品で生産しているが、最悪の場合6月くらいからカーナビゲーションが市場から姿を消す可能性もあるという。

今のカーナビはオーディオと一体式なので、ナビがなければラジオも聞けない。
秋口には回復するだろうが、新車を買って3ヶ月もインパネに穴をあけたままラジオも無しで乗るというのはちょっと考えられないので、これはなかなか厄介なことになるだろう。

通信と電力

2011年04月02日 | 雑記
原発の是非とか、節電とか、電気に関する議論があちこちでおきている。
温暖化などの環境問題を別にしたとしても、化石燃料が有限である以上はそれに頼らない電気化が今後の規定路線であることは間違いない。

電気はクリーンなエネルギーだ、というイメージがすっかり定着している。たしかに自然発電に関する限りはそうだろうし、原発だって少なくともそれが安全であるうちはクリーンだった。
しかし、この辺の事情がここで変わってきている。

一方で、放送から通信へという流れを既定路線だという人が多い。
しかし、これはサーバーなどへの電気需要を大きく押し上げることになる。
今の勢いで通信需要が拡大すると2025年にはIT関連機器に電力消費は全体の20%に達するという総務省レポートがあったが、これは仮に原発事故がなかったとしても発電施設の拡充が必要な数字だ。
それを受け、ITによる省エネとか省電力サーバーなどの推進が言われていた。

でも、ここで考えたいのは、本当に今以上に通信トラフィックを増大させる必要があるのか、ということ。
日本中の家庭のテレビがHD画像をダウンロードして好きなコンテンツを楽しむとしたら、それはとんでもない通信トラフィックになる。そこまでする必要が本当にあるのだろうか?

さらにいえば、ITSの「車車間通信」。全ての車に通信装置を搭載し、車同士が通信でやり取りすることで事故を防止するという考え方だが、これだって相当な通信トラフックとそれを処理するサーバーが必要だろう。専門家ではないのでどの程度の電力消費かはわからないけど、レーダ技術や伝統的な信号機・路側表示の改善のほうが事故防止という意味でははるかに現実的だ。
車車間では歩行者との事故は防げないし、国民全てに通信機を埋め込むことは出来ない。
で、我が国の交通事故の特徴でもあるが、歩行者+自転車の死亡者は交通事故死者の過半をしめるのだ。

通信で実現出来ることは限りなくある。
でも、それが今よりどれだけ便利・安全になるかということと、それによるインフラ負担の得失がきちんと評価されていない様に思う。