ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

インターネットと出不精

2008年09月24日 | 雑記
明日早くからの会議なので、祭日というのに前泊で出張に来ている。
最近のビジネスホテルはブロードバンド接続が当たり前になってきていて、暇つぶしには便利だ。

このところ忙しすぎて、週末はほとんど引きこもり状態になっている。で、何をしているかといえば何を見るわけでもなくインターネットを見ている。
BSの紀行番組を見ながら気になったことを調べてみたりするのは、決して生産的とはいえないものの知的好奇心を刺激する。

インターネットがなかった頃には、家にいても暇なので大抵の週末はどこかに出かけていたように思う。

私達の若い頃には、特に用事が無くても車でとりあえず湘南のほうまで行ってみる、というような行動パターンが多かった。
しかし、今の若者にそういう行動はまったく見ることができない。まあ、地球環境にとっては好ましいことに違いないが。
若者のクルマ離れについてはこのブログでかなり早い段階から指摘してきたが、ここにきてもはやどうしようもない社会現象となっている。
カーメーカーは若者に車を売ることをあきらめているようにしか思えない。

同様のことが海外旅行にも言えるらしい。別に行きたいと思わないという。
インターネットやBSなどで情報が氾濫しているため、はじめて訪問した国でも「異国へ行って驚きの体験をする」というよりは、「予備知識の追認をしている」ような感じを覚えるのは事実だ。

一方で海外旅行に行かない理由で「言葉が通じないから面倒だ」という若者も結構多いらしい。
この先国内市場だけでは生き残れない日本企業にとって、こうした若者が増えることは極めて危険な状況なのかもしれない。

インターネットは生活の利便性を画期的に向上させ、情報へのアクセスを容易にしてくれた。
しかし、人間を「出不精」にするという、あまり予想されなかった、しかし実は社会に深刻な影響を及ぼす側面があることも事実だろう。

三洋ゴリラ CARWINGSに対応する新商品を発表

2008年09月20日 | ITS
三洋は、10月21日に日産CARWINGSに対応するポータブルナビ「ゴリラ」の新商品「NV-BD600DT」を発売する。
ポータブルといってもバッテリーを内蔵しない、車載を前提にしたナビだ。

先月パイオニアのプローブ「スマートループ」とホンダの「インターナビ」はプローブ情報の共有を発表したが、今度は一足飛びにカーメーカーのテレマティクスそのものが市販ナビに提供されることになる。

もともと三洋は日産に純正ナビのOEM供給をしており、両社の結びつき自体はさほど驚くべきことではない。
三洋は日本におけるPND大手だが、パイオニアの新エアーナビが通信対応をしてきた以上は何らかの対抗策が必要になる。しかし自社でテレマティクスを運営することは現実的ではない。
そういう意味では、CARWINGSとの提携は理想的な選択肢だとおもう。

一方で、日産にとってのメリットは何か?
本来カーメーカーの囲い込み施策であるテレマティクスを市販ナビへ提供する意味はあまりない。
会員数を増やすことでプローブの精度を上げるという説明もされているが、実際のことろは事業性を好転するべく会員数を拡大したい、ということなのではないかと思う。

そもそもカーメーカーのテレマティクスは「差別化・囲い込み」+「収益事業」という一挙両得のような企画書から始まっているのだが、実はどちらも実現できていない。
「CARWINGSがあるから日産を買った」という顧客が多いのであれば絶対に市販ナビへの提供という選択肢はないわけで、要はテレマティクス自体がブランド選択を左右するまでのキラーコンテンツではないということだろう。

今回の提携はその辺の事情をよくあらわしていると思う。

エアーナビの動向

2008年09月18日 | ITS
延期となっていたパイオニアのエアーナビAVIC-T10の専用サーバー運用が9月から始まった。
はたしてどの程度の通信契約を取れるのだろうか、と前のエントリで書いたが、メーカー発表がないのでよくわからない。

聞くところでは、通信契約をしたユーザーは10~20%程度という。
本体自体の出荷数は数万台だろうから、まあ1万人には達していないだろう。
あくまで憶測なので、情報があれば教えてほしい。

このユーザーに対して、ソフトバンク、パイオニア、インクリメントPが出資して設立した「ナビポータル」が、その名も「ナビポータル」というポータルを提供している。パイオニアのプローブである「スマートループ」はこのポータルの中の一つのコンテンツのように提供される。

ナビポータルは、前日のTVで紹介されたレストランの情報など、即時性のあるPOI情報を提供することを目玉にしている。
また、PCでWEBサーフィン中に気になったページ、情報をナビポータルに保存が可能で、それをAVIC-T10で表示させるという使い方もある。

しかし、今後どこまで通信契約会員数が伸びるかが問題だろう。
少なくとも現在の延長線では、ビジネスモデルの成立は難しそうだ。
今後は他社へのポータル提供や、携帯接続による通信の提供(今は専用モジュールのみ)など、ソフトバンクとしての活路を見出す必要があるだろう。

余談だが、上記のサイトをみると活用している事例の写真はすべて女性ドライバー。
実はこの商品、ターゲットを女性においているらしい。
男はサイバーナビ、女性にケータイ感覚のAVIC-T10、ということかもしれない。

しかし、女性をターゲットにして自動車用品が売れたことは、自動車用品の歴史の中でただの一度もない。いろいろな会社がチャレンジし、失敗している。

私は、女性ユーザーがカーナビに月々2000円の通信・情報料を支払うなんてことは、全くありえないと思う。

DSRCの駐車場利用

2008年09月14日 | ITS
最近異常に忙しい上に記事にするような話も見つからないのでなかなか更新がままなりません。

新明和はETC(DSRC)を利用した立体駐車場の自動認証システムを開発した。

近づくだけで自動的に自分の駐車台が下りてくる、というのは確かに便利だろう。
コストがネックだが、こうしたプライベート駐車場でのゲート管理システムはDSRCにのこされた可能性の一つだと思う。


電気自動車と警報装置

2008年09月01日 | ITS
先週はヨーロッパに出張に行っていた。
欧州でもプリウスを結構見るようになってきた。ジュネーブだったか、タクシーに採用されているらしい。
取引先の駐車場からプリウスが無音で発進するのをみて、取引先のドイツ人が「騒音装置が要るね」といっていた。実際これに関する懸念は欧州ではかなり大きい。

ハイブリッドの場合、低速の発進時は無音だが走り出せばエンジン音がする。しかし、今後電気自動車が出てくるとそうもいっていられないだろう。

個人的には、何か特定の静かでイヤミのないチャイムのようなものが良いと思うのだが、実は日本ではそれが許されないのだ。

警報装置の音量は決められており、音色は一定でなければならず、むやみに使用してはいけない。それが唯一わが国にある規則であり、むやみに使用したりメロディになっているものは許されないのだ。
聞いた話だが、トヨタはプリウス開発の最中に国交省に相談したらしいが、結局新しい規則は作られなかった。

無音の車が歩車混交路を走ることは極めて危険だ。視覚障害者にとってはなおさらだろう。
人為的に音を出す必要があることは明らかだ。
しかし、前例が無いからなのか、規則を拡大解釈してメロディーホーンなどが氾濫するのを懸念しているのか、認められないらしい。

新しいテクノロジーが出現すれば、それに対応してルールを変えるのは当たり前のことだろう。
そして、それが交通安全に直結しているとしたらなおさらだ。

三菱や日産、スバル等が近い将来に電気自動車を市販しようとしており、これはすぐに対応するべき問題ではないかと思う。
事故がおきて社会問題にならない限り法律は変わらない、という良くあるパターンはやめてほしい。

法規を変えると漫画の世界からヤンキーが飛び出してきて「ゴッドファーザー愛のテーマ」のファンファーレ(めちゃいけの数取り団の奴ね)を鳴り響かせながら暴走するとでも言うのだろうか?