ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国での免許取得と運転事情

2017年05月31日 | ITS
2週間前に中国運転免許の試験に合格し、以降自動車通勤をしている。
昨日(中国の祝日「端午節」)は100キロほど高速道路をつかって遠出した。
中国で免許を取って運転する人は多くないと思うが、ここまでの経緯や感想を記しておく。

前職のカーメーカーはアジア各国での運転を禁止していた。日本企業の駐在員の場合、多くはそうしたルールになっていると思うし、またそうでなくても交通事故の多い中国で自分で運転するという人は多くないと思う。

3月から中国ローカル企業に就職し、広東省佛山市順徳という地方都市で暮らしている。自宅から会社までは7-8キロ。今までは会社のドライバーさんに送迎してもらっていたが、帰り道にゴルフ練習や買い物にふらっと行きたい、休日に出かけたいと思い、自分で運転することにさせてもらった。

まず、免許取得だが、これは結構大変だった。日本の免許があれば実技は免除、筆記だけ。筆記も日本語で受験できる。
しかし、試験を受けるまでの前段階が大変。外国人の多い都市は比較的便宜が図られているようだが、ここでの手続きは面倒だった。
まず、役所もしくは役所指定の写真館で写真撮影。次に漢字表記しか無い日本の免許とアルファベット表記しか無いパスポートの同一証明を役所で作ってもらう。これは中国人の証人と宣誓書が必要。それから役所指定の病院で身体検査(とはいっても視力関係だけ)。
以上の手続きは、上海や深センなどではもう少し簡略化されているようだ。

これらを揃えて免許試験場で申請。受理されると試験日が確定。
試験勉強は日本語のテキストをネットで探す。有料でダウンロードできる民間サイトがある。しかし教本ではなく問題集なので、理由はわからないが答えを暗記する、という非常に気持ち悪い勉強をすることになる。

そして実際の試験だが、テキストになかった問題や、テキストと訳文が違う問題がでて戸惑った。日本語を選択すると日本語しか出ない。翻訳が変でも中文を確認することができない。
「安全に気をつけて運転する」的な間違いようがない問題だけで80点は取れるが、合格ラインは90点。なんとか合格できた。

実際の運転だが、このあたりは信号のある交差点は矢印信号で運転しやすい。しかし田舎なので信号のない交差点も多く、それは気を使う。
運転マナーは日欧米よりは悪いが想像していたよりは良く、危険な場面にはあまり出くわさない。また、運転が未熟な初心者の割合が多いように感じる。
ただし狭い交差点などで渋滞すると頭の突っ込みあいになり、ここで紳士的にしてるといつまでたっても進めないと言うのはある。また、危ないと感じたら躊躇せずにクラクションをならした方がいい。それを前提に後ろを気にしないで走っている自転車、バイクも多い。

中国は監視カメラがいたるところに有り、信号無視は一年に二回やると免許停止なので信号や速度はよく守られている。
高速道路もまあ運転し易い。入り口で厚いカード状のチケットをもらい、それで有人窓口で精算。通行料は1キロあたり日本円で10円程度。
車線によって最高速度が違うのが日本と違う。
違うと言えば、交差点では左折(日本で言う右折)が対向の右折(日本で言う左折)に優先する。左折車が結構突っ込んでくるので気をつける必要がある。

こちらで運転するといったら知人友人から正気か、と随分言われたがここらは想像していたよりは交通事情はまともだった。
しかし内陸部にいくとまったく状況は変わり、ちょっと外国人が運転するのは厳しいかもしれない。

高崎玉村スマートIC 「道の駅」に“途中下車”実験

2017年05月20日 | ITS
前々からアナウンスされていた高速道路から道の駅への退出社会実験が5月27日から関越道で始まる。
上毛新聞WEBサイト 高崎玉村スマートIC 「道の駅」に“途中下車”実験
対象はやはりETC2.0搭載車のみ。インターに隣接する道の駅「玉村宿」への立寄り退出、再入場を追加料金無しとする、というのが内容。
記事中に、「車と情報をやりとりできる次世代型の自動料金収受システム「ETC2.0」」と書いてあるけど、ETCはそもそも情報をやり取りできるようにできている。特に2.0でなければこの実験ができないということはない。

途中下車扱いとする条件は「(1)玉村宿に必ず立ち寄る(2)同スマートIC退出後、1時間以内に同スマートICから高速道に乗る」ということになっている。(1)の判定をどうやっているのかが興味深いところだ。道の駅の出入り口にわざわざ費用をかけて路側機を設けるのだろうか。ETC2.0装着車なら一時間以内だけを判定条件にしているのではないかと邪推してしまう。日本にいれば見に行きたいところだ。

言いたいポイントは以下の通り。
-ドライバーの疲労回復のためにSA・PAがない区間を補完するのが目的なら、すべての車両を対象にするべき。非ETC車だって道の駅でクーポン券を発行するなどの方法もある。
-そうした発券・精算処理が煩雑だというならETCに限定してもいいが2.0に限定する理由はない。2.0でなくとも路側機で立ち寄り記録は取れる。
-それ以前に、立ち寄りのエビデンスなんて不要にしてしまったらどうか。一時間ですむその他の用事が玉村ICのそばにある人がそんなにいるとも思えない。そんなのは例外として目をつぶったっていいだろう。だれも文句は言わない。
常設施策にしたらそれを当て込んで配送基地を作る業者も出てくるかもしれないが、今の仕組でもETC2.0を付けて道の駅に一瞬でも立ち寄ればいいのだから、どちらにしても防げない。

ということで、運転者の疲労防止のようなきれいなことを言っているが、この施策の狙いはETC2.0の普及促進策でしか無いことは明白だ。
利用者は馬鹿にされているのだ。