ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

新東名(第二東名)の進捗

2010年10月31日 | 高速道路
最近あまり話題にならないが、総工費7兆円をかけた超大「コンクリート」プロジェクトである第二東名の工事が着々と進行している。
御殿場―引佐は平成24年度には完成らしいが、これら静岡県内の工事がさくさくと進行するのは賛否両論が渦巻いた静岡空港が結局完成しちゃうこの県の特徴なのかもしれない。

第二東名はその要否に関する議論が尽くされた上での着工とは思えないのだが、私には詳細なデータがないので断定的なことは言わない。
ただ、この静岡県のWEB PAGEに書いてある「必要な理由」には全く説得力がない。
必要な理由は渋滞と地震だというが、東名の渋滞は静岡県内の外側(神奈川県綾瀬や愛知県岡崎)で激しいのでは?

また、東海地震については確かにその通りだろうけど、壊れた個所を補修して対応する場合とのケーススタディがされているのか?
それ以前に、代替手段としてなら中央高速があるじゃないか。
直感的には、7兆円に値する理由に感じない。

道路は老朽化するものなのだ、という意見もある。しかし、それならば補修しながら使うのであって、新しく作るというのがよくわからない。
高速道路を日本に先駆けて作ったアメリカやドイツではどうしているのか?

また、第二東名に関する広報活動はほとんどされていないように感じる。
ネットを検索しても第二東名に関する広報記事は驚くほど少ない。
上記の静岡県のほか、NEXCO中日本程度。

コンクリート系無駄使いというめんどくさい批判を招きたくないんで、気がついた時には出来あがってました、てな事にしたいという思いがあるのではないのか?

まあ、ここまで作ったものを廃棄するという選択肢はないだろうから、トラック専用のプラトーン走行車線を実現するとか、本当に意味のある道路にしてほしい。

ITSスポット

2010年10月26日 | ITS
DSRC路側機の設置場所をITSスポットと称することにしたようだ。
現在首都高速に実験的に設置されている路側機は、250億円かけ高速道路1600か所に増設される計画だが、DSRCに対応した車載器(これをITSスポット対応カーナビと呼ぶらしい)はほとんど普及していないから、全くの無駄使いになるだろう。

ITSスポット対応カーナビって言ったって、体験した人に言わせればビーコンVICSと大差ない。
こんなものは絶対に普及しない。そもそもビーコンVICSがどれだけ普及したか。というか、どれだけの人がその存在を知っているのか、というレベルのものだ。

それに類似したものが、いったいどうして普及すると思うのか?

普及なんてしない事はわかっているけど、「色々な事情で」ITSスポット1600か所(250億円)を設置したいらしい、としか思えない。

中国出張

2010年10月24日 | 雑記
先週金曜に上海から帰国。虹橋から出来たての羽田国際ターミナルに飛ぶ中国東方航空。
たしかに羽田は楽だが、早起きして帰国して午後にはオフィスで仕事というのもちょっとつらい。

火曜、水曜と青島で中国全土から集まった代理店のマネージャー達と会議、観光。
地方の人は目があうと煙草をくれる。
煙草をやめた身には非常にきつい2日間だった。

青島はドイツの租界だったことから、ちょっとヨーロッパのような建物が多く、中国国内では有名な観光地となっている。
また、それが理由で今はビールで有名。ビール工場も見学。

木曜は上海で打ち合わせ2件と取引先の工場見学をこなす。

上海の街中には中国人向けの日本料理屋が溢れかえっており、いったい反日なんてどこの話だ、と思わせる。
まあ、かつての日本でも安保反対やベトナム反戦とアメリカ文化へのあこがれは両立していたわけだが。

青島にいます

2010年10月19日 | 雑記
青島にいます。宮崎じゃなく、中国。

先週末急に言われ、上海経由で昨夜到着。

先ほど10分程度のスピーチをして、仕事はおしまい。
その後の会議は全部中国語で、起きているのがつからった。
記念写真とって、明日は青島を観光。あさって上海で打ち合わせ+取引先訪問。

うわさには聞いていたが、中国ではツイッターが使えない。
また、ネットもグーグルが時々つながらない。サイトによっては全くつながらない。

東方航空の機内で読んだ北京発の英字新聞は、尖閣問題は双方がナショナリズムを控えて冷静になるべし、というようなまともなことが書いてあったが、中文の新聞は「日本右翼大使館包囲」のような大きな見出しでなかなかの迫力でした。

スカイツリーとデジタル放送

2010年10月13日 | モバイル・ウエアラブル
我が家は六本木ヒルズによる視聴障害地域なので、森ビルの負担でケーブルTVが提供されいている。
もし東京スカイツリーが出来て森ビルがケーブルTV支援を止めてしまうと、我が家はたちまち地デジアンテナを立てなければならなくなるのでとても困るので、それだけはやめてほしいと思っている。

それはさておき、面白い話を聞いた。
六本木ヒルズが建って、視聴障害が出た場合は森ビルが対策をする。
しかし、東京タワーから東京スカイツリーに変わったために視聴障害になった場合は、ビルデベロッパーは対策をしない。それはそうだろう。
で、東京スカイツリーも補償はしないらしい。自力でケーブルTV等を契約しなければならないという。

これは当事者になったら、全く納得いかないだろう。

東京スカイツリーの主たる目的はワンセグ放送のカバー向上らしい。しかし、ワンセグってそんなに重要なメディアではない、ということが、今や証明されつつある。
どう考えても、ワンセグのために世界一の放送タワーは必要ない。

どうやらスカイツリーは下町待望の観光施設、ということらしい。

MediaFLOが撤退するらしい

2010年10月13日 | モバイル・ウエアラブル
マルチメディア放送なんて成功しないだろう、という記事を二回ほど書いたが、そうこうしているうちにアメリカのMediaFLOがどうやら事業撤退の方向だ。専用端末の販売を中止し、来春以降のサービス継続については不透明だという。

実はMediaFLOの不調はもう随分前から言われていたし、7月にはクアルコムから売却の可能性が言われていた。
MediaFLOは契約数を公開していない。こうしたビジネスで契約者数を言わないのは、十中八九不調ということだ。

一方で評論家の神尾寿氏は今年の7月時点でこんな記事を書いている。
「誤解を恐れずに言えば」この人は取材時に全くなにも感じ取れなかったのだろうか。

アメリカでは公共交通機関で通勤する人が少ないので、そもそも携帯端末で動画を観ると言うニーズが日本に比べれば小さい。でもアメリカにはワンセグがないので、携帯端末でテレビをみるならMediaFLOしかなかったわけだが、それでもやはりお金を払ってまで小さい画面でテレビを見たい人はそんなに多くなかった、ということだろう。我が国のワンセグも、思ったより朝晩の通勤電車で見ている人は少ない。

スマートフォンが無料でyoutube等の動画コンテンツにアクセスでき、また動画以外でもちょっとした空き時間をつぶせるさまざまなコンテンツがある中で、携帯端末向け有料ビジネスが今後成功するとは思えない。神尾氏がいうような、車載器への拡大なんて、もっとない。

CEATECではmmbiが派手なピンクのブースを出して大いに宣伝をしていたが、お金に困らないドコモが大手広告代理店を使ってやりたいようにやらせている、という感じだった。
多分、無理だね。

大型店舗規制

2010年10月09日 | 雑記
大畠経産相は10月7日、都内で開催された中小企業関連団体との懇談会の後、記者団の質問に答え、大規模小売店の出店で地域の商店街が衰退している問題に関して「さらなる大型店の展開によって地域社会の秩序に支障が生じる」との認識を示した。その上で「規制を強化することが必要だ」と述べた。

 経産相は懇談会の冒頭あいさつで「ひともうけしてやろうという乱暴な波に(商店街が)のみ込まれる感じがある。このまま放置すると地域社会が崩壊してしまう」と危機感を強調。「新しい地域社会づくりに再スタートする決意で進まなければならない」と訴えた。

労組出身で、かつて北朝鮮訪問団などを積極的にやっていた大畠大臣の「ひともうけしてやろうという乱暴な波」という表現には、大企業イコール悪というステレオタイプななにかを感じてしまう。

商店街の衰退は社会構造の変化であり、社会構造を変える以外にそれを阻止することは出来ない。でもいったん便利に慣れたら、後戻りなんて出来ない。いまさら大規模小売店を規制しても、シャッター街が復活するとは到底思えない。

アクセス、価格、品揃え、ワンストップショッピングというほとんどすべての面で勝る大型店に商店街が対抗することは不可能で、大規模店舗を規制することは単に消費者に不便を強いるということでしかない。
大規模店を規制すると商店街が復活するって本気で言っているとしたら、なんと言う生活感の欠如だろう。

むしろ、シャッター街を復活されるためには、その土地の伝統や建造物などを生かした観光的な手法しかないのではないか。で、それは郊外型の大規模店とはそもそも競合しないのではないか?

見るに耐えないCM

2010年10月07日 | 雑記
どうにも見るに耐えないCMがある。何故か石川遼君が絡んでくる。別に彼には全く責任がないんだけど。

まずは、「石川遼のような生命保険」。
このフレーズを始めて聞いた時には、あまりのストレートな単純さに驚いた。でも、石川遼のような生命保険とは、なんて引っ張るから、なんか次に落とし所を作るのかと思いきや、単に「風を読み、リカバリーショットをする」位の事で、なんのひねりもウイットも説得力もない。
単に石川遼と契約した大手広告代理店の言いなりになってるとしか、思えん。

次は石川遼の出てくる英会話。goo blogもここから広告もらってるみたいだけど。
あの稚拙な発音で英会話の教材のCMにする神経がわからん。英語教材のCMでなければ、「高校生の微笑ましい英会話」で許すが。少なくとも経営者が英語教育に熱意を持っているとは感じられない。テレビ広告の量と価格が比例している商品に思える。

最後は石川遼からはなれて。
新アルソック体操。
仲里依紗のアセロラ体操だってそんなに流行ってないのに、吉田沙保里に「流行るといいね」なんて言わせるのは酷なんじゃないの?
この広告はプロのクリエイターの仕事とは思えない。クライアント側の困った思い入れが反映されているように感じる。

3Dテレビ

2010年10月06日 | 雑記
先日3Dテレビなんて流行ると思わない、と書いた。
でも、昨日CEATECでパナソニックの3Dテレビのプレゼンテーションを観て「多少」考えが変わった。

まず、3Dテレビの美しさや臨場感は想像以上。ハードウェア的には完成している。
また、パナソニックが本気で普及に取り組み、その他の大手家電もみな同様にかなり力を入れているので、それなりに市場は活性化するだろう。

でも、やはり3Dはテレビの世界では白黒からカラーへ、ブラウン管からフラットパネルへというような大きなブレイクスルーにはならないと思う。

3Dで見たいコンテンツは限られる。一部のスポーツ番組や、SFXを多用した映画ぐらいで、それもたまに見ればいいな、と思う程度だろう。

3Dテレビの価格差がさして気にならないほどになり、また通常放送でコンテンツが整うまでは普及はない。ここでいう普及は、買い替え時の選択肢に入る、という意味で、わざわざ3Dへ買い替えるという需要は発生しないだろう。
もしかしたらそこまで行くまえに消えてしまうかもしれない。

新型ウォークマン等

2010年10月03日 | モバイル・ウエアラブル
SONYのウォークマンがiPodに勝っていると随分話題になっているが、実際どうなんだろうか。

iPhoneがこれだけ普及しているなか、iPhoneを持っている人はiPodを買わないだろうから、iPodの売れ行きが鈍るのは当然のことに思える。
しかし、それを考慮してもiPodとおおむね同じシェアを保っているというのは大健闘だろう。

iPodよりも音がいいことが評価されたというが、これは本当なのだろうか。いや、多分本当にSONYの方が音は良いんだろうが、それが商品選びのポイントになっているのだろうか?
むしろ、ウォークマンのノイズキャンセリング機能と値ごろ感が評価されているように思った。

今回発売のウォークマンは旧型同様デザインに見るべきものがなく、普通の人向けという感じになっている。特に一番お手頃なモデルは、ラクラクフォンとかのイメージ。
それが逆に、そこそこのシェアを確保している理由かもしれない。ちょっとさびしいけどね。

家電でもう一つ。

3Dテレビってのがこれから鉄板で普及するって言われてるけど、どうしても信じられない。
アバターが予想以上にヒットしたんでまともな判断が出来なくなったんじゃないの?

おうちのテレビを3Dで見たいと、皆さん思っている?
映画だって、たまに3Dってのも「色物」としては良いけど、その程度のものじゃないの?

ナンバープレート読み取り式の通行料徴収

2010年10月02日 | ITS
イタリアの高速道路が、ナンバープレート読み取り式の通行料徴収を始めるらしい。イタリアではすでに20年くらい前から無線式の料金徴収(テレパス)をしているが、今回ナンバー読み取り方式を検討しているのは民営化された道路会社の一つ、アナス社。この会社の名前はちょっと微妙、というか英語圏では付けない名前だろう。

ナンバープレート読み取り式なら、車両に特別な機器を装着する必要がないので、ユーザー負担は少ない。
DSRCを推進した我が国の関係者は、「ナンバープレート読み取りでの課金は絶対に無理」だと言っていたが、その後技術進歩があったのだろうか?

まあ、それ以前の問題として、イタリアのテレパスにしてもフランスのリベルテ、アメリカのEZPASSにしても、電池式の簡易な車載器を貸与し、車内に置くと言う仕組で運営している。

それに対して、専用の取付が必要で、専用のクレジットカードが必要で、かつセットアップという手間をかけなければならないような複雑、コスト高の仕組は日本のETCだけ。

その理由はセキュリティなのだが、そこまでしてセキュリティを厳重にした理由は以下の2点。
1.高速道路料金決済以外への活用
2.高速道路料金決済の不正防止

しかし、ご存知のように高速道路料金以外への活用は10年「何かある」と言い続け、結局なにもない。 もはや、この話はなかったことにした方がいい。

不正通行については、道路公団は偽造ハイカで相当痛い目にあっている。
これがトラウマなんじゃないか、と思うほど、セキュリティに対して神経質だ。しかし、根本的な問題は、日本の高速料金が、そうした大掛かりな不正をする価値がある程高い、ということなのではないか。

結局、高速道路料金は多かれ少なかれ見直しがはいるので、これも実はあまり意味がなくなるのだろう。