V-Lowメディア「i-dio」といってもほとんどの人が知らないだろう。
テレビがアナログからデジタルに変わった後、総務省はアナログテレビが使っていた電波帯を様々な事業に振り分けた。
既に撤退してしまった携帯でみるテジタルTV「Nottv」もその一つ。
i-dioはエフ・エム東京が主たる事業者として2016年に開始されたデジタルラジオ放送だが、知名度がないどころか専用受信機すらまともに販売されておらず、主要チャンネルの一つだったアマネクチャンネルも4月に撤退したという悲惨な状況になっている。当然損失も相当なものだろう。
そのエフ・エム東京、5月の決算を前に「会計、内部統制上の問題があった」として決算報告を延期、第三者委員会を設置して状況を調査するという。また、会長、社長をふくむ役員6人が一斉に退任してしまった。
会計、内部統制上の問題が何であるかは明らかにされていないが、「過年度決算における連結対象範囲の判断など」と、どうやらこのi-dio事業が関係しているらしい。内部統制の問題+第三者委員会という場合、一般的に会計上の不正があったことを意味する。想像できるのは子会社であるi-dio事業の損失が適切に連結処理されていなかったということではないのだろうか。
i-dioはデジタルTV放送のNOTTVが撤退するという「絶妙」なタイミングでスタート。すでにインターネットラジオのRADIKOもあり、デジタルとはいえいまさら電波をつかった放送に誰もが首をかしげた。しかも専用の受信機が必要というハードル。既存のラジオやスマホで音楽が聴けるのにわざわざ専用チューナーを買ってまで聴きたくなるコンテンツを提供できるとは誰も思わないだろう。
この、アナログテレビの跡地の活用は総務省の管轄。当時関わっていたのは櫻井パパ。テレビに続いてラジオもデジタル化、というのは世界的にはそうなんだけど、すでにネットの普及でそれは意味をなさなくなっている。2016年の段階で無理だという判断ができなかったとしたら相当問題だ。
実際にはエフ・エム東京内部では反対論が大きかったようだ。(考えすぎかもしれないが、末尾にtをつけるだけで「愚か者」になってしまうi-dioというネーミング自体、無理だと思ってた担当者の抵抗なのかもしれない)
しかし、総務省の意向をうけてラジオのデジタル化を信じて突き進んだ経営陣がいたということらしい。
今回その経営陣が退陣するわけで、これはある意味撤退への布石かもしれない。
ただし、i-dioは地域別に異なった情報を流せるという特徴から自治体の防災ラジオとして採用されており、それが足かせになってしまう恐れもあり前途は多難だ。