トヨタが新型クラウンを発表した。SUVになる、という大方のうわさはその一部でしかなく、実際はSUVを含む4車種であり最初に登場するのがクロスオーバーと称するSUV的モデルだ。
このクロスオーバーという車、私には疑問しかない。
若干背が高かったりサイドに大型のモールをつけたりしているがぱっと見はセダン。真っ先に特徴は何かといわれれば「ボンネットが何故か黒い」としか言いようがない。
ネットの記事によれば、「若手デザイナーに任せた」という。
年寄りの干渉を排除し若手に任せる、って美談のように語られているけど本当にそうなのか?
はたして若手デザイナーはEセグメントのセダンを買うのか?多分買わない。ほかにもっと選択肢がある。
記事中に『若者にとってクルマとは「乗って楽しいもの」だけでなく、海にもキャンプにも行けて、乗り降りもしやすい、荷物も積みやすいかたちであることが重要だったという。』
とある。その通りだろう。ただ残念なことにそれに適したボディ形状の車は世の中にはいくらでもあって、クラウンでそれをやる意味はまったくないということなのだ。
買わない人にデザインや商品企画をさせるって、「女性向け商品を男性がしている」ようなものだと思う。
日本においては、Eセグセダンって個人経営者や子供が独立した夫婦が主たるユーザーであり、やはりそこを見ないと商品企画ではない。
おそらく40代以降、また個人経営者で外車やレクサスではなく敢えてクラウンを買う人はどうしても保守的、もしくは取引先などの関係から華美にしたくない、という気持ちがあるだろう。
この人たちがボンネットが黒い車を買うとは到底思えない。のちに出現するというセダン型以外の選択肢はない。
つまり、クロスオーバーという類別は新しいユーザーを獲得する必要がある。
しかし、これを選ぶユーザーの顔が想像できないのだ。
いま、日本ではセダンよりSUVのほうがはるかに売れている。でもSUVを選ぶユーザーはもっとSUV的見た目や広い収納スペース、悪路走破性(それは多分にイメージだけのものだが)を求める。
この車を選ぶ必然がない。
セダンはクラウン後継、スポーツは海外市場向け、エステートはRAV4の上位、という感じで位置づけがわかるが、どうもこのクロスオーバーは蛇足のように思う。