ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

日本のサブカルチャーとアジア

2013年02月24日 | 雑記
今朝の上海、「PNM2.5汚染度5、老人子供は外に出るな」という警報が出ている。先週の月曜に雪が降って好転したけど、一昨日辺りからまた悪くなっている。
雪が降ると雪に付着して汚染物質が地面に落ちてしまうので一気に空気は綺麗になるが、それも数日しか持たない。

先週、数人の新入社員面接試験を行った。うちは社内は日本語なので日本語ができることが条件なのだが、なぜ日本語を勉強したのかと質問すると皆「子供の頃から日本のアニメが好きだったから」という答えが返ってくる。

なかでもワンピースの人気は相当なものだ。若い人でワンピースを知らない人はいない。なぜそんなにワンピースが好きなのか、と聞くと、「仲間を大切にする」「チームの力」ということらしい。
伝統的に中国人は個人主義で仕事でもなかなかチームワークを発揮しないのだが、この影響で若い人はだんだん意識が変わってくるのではないか、とすら思う。

それ以上に感じることは、少なくとも一人っ子政策以降の若い世代における日本のポジティブなイメージ構築に貢献しているのは間違いなくアニメ、オタク系サブカルチャーだろう。
実際のところ、この世代の中国の若者は日本製品について好意的だ。
10月以降車の販売が急減速したが、それは日本製品ボイコットではなく、反日に巻き込まれて壊されたりすることを恐れて買い控えされたというのが本当のところだと思う。

中国政府はテレビドラマなどで旧日本軍のネガティブなイメージをつかい、反日を執拗に植えつけようとしているが、それに対向する大きな力になっている。
こうした教育は若い世代に徹底して行われてきたので、もしアニメカルチャーがなかったらどうなっていたのだろうか?
日本のアニメがアジア各国に及ぼしたポジティブな影響は計り知れない。

だが、しかし、これらのコンテンツはすべて著作権を無視して流通しているんだよね。放映されていないはずのワンピースだが、みんな数日遅れで最新話を観ている。
それを問題とみるのか、それでも好影響があるからよしとするべきなのか。

ら抜き言葉

2013年02月18日 | 雑記
よく「最近の若者はら抜き言葉を使う、というが、そうだろうか?
中高年でも使う人は沢山いる。
私も小うるさい爺さんに片足を突っ込んでいるが、ら抜き言葉について全く違和感がない。
というか、食べられるとか観られるというほうが言いにくい。
これは、伝統や文化、マナーを破壊するのは若者、というどうしようもないステレオタイプなものの見方だね。

言葉は変化するものだから、「ら抜き言葉は美しい日本語を壊す」といった論調や、文部審議会決定に対する批判は多い。
気になって検索してみたら、少なくともネットではら抜き言葉(もしくは言葉の変化)を擁護する意見が大半であった。

日本語の伝統とか言う人は、実は伝統ではなく自分が学んだ言葉と違うことに違和感を感じているだけだろう。
私も最近の店員さんが「XXのほう」というのはかなり違和感があるが、だからやめろという筋合いのものではない。
言葉や流行なんてそんなもんだ。

今はどうかしらないけど、ら抜き言葉を打つとアラートがでるIMEがあったように思う。ATOKだっけ?
これって、むしろ時代とともに移り変わる言葉の変化をせき止めることになりはしないか?
でもまあ、せき止めて止まるなら、それはそれで良しなのかもしれない。

どっちにしても、言葉なんて自然に移り変わるものであり、それは大きな力なので政府の諮問機関みたいなものが良いだの悪いだのいってもなんの意味もないんじゃないか、ということ。
これは言葉だけの問題じゃない。自分が(多くは若い頃に)身に着けたスタイルを「正統な物」とし、それ以外のやり方を排除する人は多い。自分でそう思うのは自由だけど、それに文化とか伝統とか言う形容詞をつけて他人に強要するのはやめてほしい。

本日の佐々木俊尚さんのツイートを見て思いました。

ディスプレイオーディオ(DA)の時代はくるのか?

2013年02月17日 | ITS
久しぶりに当ブログ本業系のお話。

今、カーマルチメディア業界ではディスプレイオーディオ(DA)が話題になっている。
DAとは、7インチ程度の液晶画面を持つカーラジオで、スマートフォンとの接続機能を持ちスマートフォン側のソフトを使ってカーナビやメール、情報表示を行うというもの。
スマートフォンの普及と、それのカーナビ機能の強化に伴って「車載カーナビなんていらないのでは」ということから出現したもの。

スマートフォンの画面をそのまま液晶に表示するわけではなく、通常はDA専用ソフトが存在し、それが運転中の視認や操作に適した形で変換して表示される。

すでに一部メーカーで商品化され販売されている。
カーナビがDAに置き換わるのは時間の問題であるという見方もあるが、実は私は最近になって懐疑的になっている。

その理由は以下のとおりだ。

まず、カーナビ自体の低価格化。汎用プラットフォームの廉価メモリーナビは製造コスト2万円台の世界になっている。
仮にDAがその半額のコストで製造可能だとしても、絶対的な価格差は大したことがない。
カーナビの平均的実売価格は10万円を大きく割り込んでいるが、これはいずれ5万円前後になるだろう。そのとき、3万円のDAに魅力があるだろうか?

次に、スマートフォンのナビ性能。かなり良くなってきているものの、車載専用機にはかなわない。上記の価格差であれば、専用機のほうが商品価値は高い。

そして、果たしてDAは旦那はiPhone、奥さんはガラケー、息子はAndroidなんてケースで、シームレスにサービスを提供できるのか、ということ。
これは研究が進んでいるけど、なんかしら設定では面倒なことがあるだろう。

さらに、DAのほうがスマートフォンのアプリを使えて拡張性がある、という事を言う人もいるけど、実際ナビ以外に使うのか?
メール読み上げなど、一部で有用なアプリもあるがそれとてスマートフォン単体でクレードルにおいておけばいいようなものだ。

結局、簡易的なナビで良い人はスマートフォンをクレードルに設置して、カーオーディオはCDラジオでよしとするだろう。
ちゃんとナビが欲しい人は充分値ごろのあるカーナビを買う。
それ以前に、そこまでカーナビのコストが下がればカーメーカーはナビを標準装備にする。

いまのところ、カーメーカーがDAを標準装備にする理由はない。
ディーラーの販売現場でDAはユーザーへの説明をしきれない、売りにくい装備になってしまう。
スマートフォンと無縁、もしくはスマートフォンを持っていても電話とメールしかしないような消費者はまだたくさんいるからだ。

ということで、私は結局のところDAは中途半端な商品にしかなりえず、大きな普及はないのではないかと思う。

まねきTV完全敗訴

2013年02月16日 | 雑記
まねきTVなどとTV局で争われていたロケーションフリーTVサービスは、最高裁上告棄却となりロケフリ業者側の完全敗訴が決定した。
まねきTVのサービス終了告知ページ
海外在住者としては、これには大いに疑問を感じる。

現在のロケフリ業者は、ユーザーが所有する受信機、サーバーを預かってデータをインターネットに流す代行業者ということになっている。
これが違法であれば、ユーザーが自分でDVDに録画したテレビ番組をユーザーの代行で海外に発送する郵便会社も違法ということになるのか?

これで、海外在住者としては、合法的に日本のテレビを観る手段はなくなった。

日本のテレビ局が、こんな小規模な、しかも海外在住者が自局の放送を「観てくださる」ためのサービスに対して業界を上げて裁判を行った理由は、これが前例となってなし崩しに国内のテレビ網が崩壊することを恐れたからだ。
地方都市で首都圏の番組を普通に観る事ができるようになれば、地方局の視聴者が減る。
経営が厳しい地方局を守るために「蟻の一穴」を塞ごうとしているのだ。

これは、新聞社が新聞販売店を守るために紙に執着するのと似ている。
しかし、そんなことをしても紙から電子、放送から通信という大きな流れに抵抗することはできないだろう。それによって消滅するビジネスがあるのはしかたがないことだ。
でも、放送を通信に乗せることを拒否している以上、日本のテレビは何時まで経ってもオンデマンドにならない。ますます消費者はTVから遠ざかる。自分で自分の首を締めているようなものだ。

まあ、地方ネット局や新聞販売店というビジネスがいずれなくなるにしても、それを「出来る限り軟着陸させたい」という日本的な考えはある程度理解できる。
でもどうしても理解できないのは海外在住者の利便を全く無視していることだ。
裁判で海外向けロケフリを叩き潰すのなら、有料でいいから自社でサービスを提供してみろと言いたい。

Appleから時計?

2013年02月12日 | モバイル・ウエアラブル
アップルから時計が出るという噂があるらしい。

ポケットに入るiPhoneを使っている限りにおいて、別に時計に情報がでたり、時計から何かをしたりするニーズはない。
しかし、先回のエントリーで指摘した通りタブレットをメインの携帯通信器にした時にはより小型のデバイスが欲しくなる。

果たしてこの計画されているという新商品がそうしたものかどうかはわからないが、もしipadとの通話を含めた連携を考えているのであればかなり面白いと思う。
逆に記事にある「利用者の血圧や心拍数などを記録したり、音声アシスタント「Siri」のガイドで目的地への道順を案内するといった機能が搭載されるのではないか」といった程度のことであれば、おもしろ商品以上のものにはならないだろう。

もし時計の手首側に受話、通話機能があれば、見た目は自然な形で電話ができる。
7インチパッドと連携し、受発信、通話、メールのチェックができ、自然な通話ができる時計があれば、かなり欲しい。

問題は電池の持ち。
スマートフォンの充電状況は、結構厄介な日常懸案事項になっている。
さらに時計も充電状況を管理しなくちゃいけないとしたら、ウンザリだね。

7インチタブレットはいずれ携帯機器のスタンダードになる気がする

2013年02月05日 | モバイル・ウエアラブル
LENOVOの7インチ、デュアルSIM対応タブレットA2207(日本未発売)を使い始めて3週間近くたった。
7インチタブレットは、想像していた以上に使い勝手がいい。電子ブックを読んだりWEBを閲覧したりするには全く不満がなく、10インチより軽くて取り回しがいいので携帯性もいい。
電車や飛行機で動画などを見るにしても、10インチに対して不満は感じない。もしろ、このくらいの方が良いように感じる。
更に電話機能もあるので、もう一つスマホを持つ必要もない。今はiPhoneとの併用だけど、というか、やはりアンドロイドよりiosが使いやすいのでiPhoneを手放す気はないけど、本来は2つ持つ必要はない。

会議に持ち込むノート代わりとしても、7notes with mazekを使い慣れたら紙とペン同様に使えるよう思う。その都度EVERNOTE等のクラウドにしまっとけばノートPCからも閲覧できる。

しかし、問題もある。
一つは電話機能。A2207は外部スピーカーしかなので、イヤフォンを使わないと通話相手の声が周りに聞こえてしまう。
したがって、いつもイヤフォンを差し込んでおくかBT対応のヘッドセットを使う必要がある。
もう一つの選択肢は、BTのミニ受話器。普通のバータイプガラケーを3回り位小さくしたようなもので、中国製、韓国製で既に何種類か出ている。
ダイヤルパッドがついて、電話帳を本体からダウンロードし、本体を取り出さなくても通話ができる。SMSの表示をするものもある。
多分、電話帳の日本語表示には対応していないのが残念なところだが、春節が開けたら試しに買ってみようと思う。
でも、これの充電にも気を使わなくてはならず、結構厄介ではある。

韓国製が多いのは、5インチギャラクシーが手に持って通話するにはでかすぎるので、国内にニーズがあるからだろう。

もう一つの問題は、携帯性。
仕事で使うA5の大型手帳位の大きさなので、会社にいるときには持って歩いていれば良いが、休日にカバンを持たずに外出するような時は不便。ヒップポケットに入らないことはないが、座るとじゃまになる。今は冬だからコートのポケットに入るが、夏になったか困る。カーゴパンツか、適当なバッグを探さなくてはならない。

ということで、
 1)7インチ画面を一杯に配し、筐体をもう二回り小さくし、もしくは折り曲げ可能とか折りたたみでヒップポケットに無理なく入り
 2)取り外し可能なBTのミニハンドセット(キーパッド、電話帳、SMS表示付き)が組み込まれ
 3)300グラム以下
というようなハードウエアが出てくれば、携帯機器の新しいスタンダードになるのではないか、と思う。
 

4Kテレビについてもう少し考えてみた

2013年02月03日 | 雑記
4Kテレビについてもう少し考えてみた。

10年まえには、低い家具の上に乗った大画面フラットテレビは富の象徴だった。
数年前までは、まだそれはおしゃれなインテリアだったかもしれない。しかし、地デジ移行に伴うテレビの買い換えでそれは普通の家庭の風景になり、もはやそれはトキメキではない。

ということは、必ず次が出てくる。家電やインテリアの専門家ではないので明確なことは分からないが、多分壁面に埋め込まれた60インチ超のテレビ(というか、液晶画面)等が次の消費者がときめく「おしゃれなインテリア」になるのだろう。

テレビは誕生以来一環して画面が大きくなってきているが、一般的な日本家庭のリビングを考えるとこれ以上大きくする意味はあまりない。
しかし、壁面埋め込みとか、壁面全部がガラスでその中に大画面の液晶が組み込まれるというようことになると、大画面化はありうる。
例えば、普段は普通のガラス壁面だけど、その全部若しくは一部で環境映像や写真のスライドショーを流しておくことも、FLIPBOARDのように気になるSNSやニュースのフィードを画像でランダムに表示させることもできるし、テレビやビデオを見ることにも勿論使えるような物。そんな未来はそれほど遠くないだろう。

そこまで行けば4Kの高画質が意味を持つ。

でも、それはハードウエアだけの話ではないことは言うまでもないのだけど、どうも今の日本に作れるものはハードウエアだけ。
仮にそれが多少韓国や中国に先行した所で、いずれコスト競争に巻き込まれ結局儲からずに終わる様な気がしてならない。

4Kテレビ

2013年02月02日 | 雑記
上海の我が家では、インターネットで日本の地上波、BS,CSを見ることができる。しかも全チャンネル一週間分が業者のサーバーに保存されているので、好きなときに好きな番組を見ることが出来る。これは非常に便利。勿論著作権とか何とかは大いに問題ありなんだろうが、合法的に見ることができないんだから勘弁してほしい。

地上波ではわざわざ見ようという番組も無いのだが、CSのゴルフや歴史関係の番組は時間があれば観ている。
しかし、CSやBSの再放送の多さにはほんとうに驚く。ゴルフ番組なんか、「好評にお応えして第一回からもう一度放送します」とかいって、一年前の番組を流している。
ということで、最近はあんまり観るものがなくなってきた。

要するに制作費がないから放送時間を埋めるだけの新番組が作れない、ということ。

一方で、このインターネットテレビは圧縮画像なので、回線の状況にもよるが画質は悪い。しかし、それが気になることはあまりない。
まあ、あたりまえのことだが、観たいのは綺麗な絵ではなく、面白い番組だ。

そんな中で、政府は4Kテレビで日本の家電を再生させるべく放送開始を支援するという。

現在ビジネス的に苦しいために再放送ばかりしている放送局が、4Kになれば視聴者が増えて新番組を作れるようになるのなら、それは結構なことだ。
でも、決してそんなことはない。画質向上というハードの進化はコンテンツビジネスに大した影響を与えない。
そして、テレビというのはコンテンツを見る機械だ。

他方、消費者はこれ以上の高画質を望んでいるか?
VHSからDVDになった時点でもう消費者は画質に満足したから、ブルーレイはいらない。
テレビの画像についても、アナログからデジタルになった時点で大半の消費者はもう満足している。

4Kテレビで日本の家電産業を再生しようなんて本気で考えているなら、絶望的に想像力が欠落している。