紆余曲折の末、いよいよ甲府で英治と花子の結婚式が執り行われます。英治も花子もクリスチャンということで、式場は甲府教会…いや、徳丸家のようですね。
式のあと、宴会も予定されているため、徳丸家となったのでしょう。
この時代は、結婚式はみんな自宅で行っていたと思われます。ただ、花子の家はあの通り小作人の貧しい家ですから、宴会などできません。徳丸甚之介は甲府一の大地主、ふじちゃんのことならと片肌脱いだのでしょう。ふんとうに小作人思いの太っ腹な人じゃんね。昔から甲州商人はケチだとか、がめついと評判が悪いので、心配しちまったじゃん。
umeさんの子どもの頃もまだ結婚式は自宅で行われていました。日取りが決まると、先ず嫁入りの道具が届きます。紅白幕を張ったトラックで花嫁の荷とすぐに分かります。座敷が開け放たれて、お嫁さんの持ってきた箪笥や布団、電化製品等が並べられます。お披露目会と言って、近所の人がそれを見に集まってきます。
箪笥の中も見えるように少しづつ引きだしておきます。着物が何着入っていたとか、要するに花嫁道具の品定めをするわけですね。こういう慣習があったので、子供が肩身の狭い思いをしないよう、親としては精いっぱい頑張って豪華に持たせたわけです。
そして、結婚式が終わった次の日、新妻となったお嫁さんが、近所の子どもにお祝いのお菓子を配ります。これは、お嫁さんの顔見せという意味があります。このお菓子が楽しみで、楽しみで…結婚式は大好きでした。
これは、umeさんの生まれ育った土地の話です。いつまでこういったことがおこなわれていたのかは定かではありませんが、ホテルや料亭を利用するようになり次第に無くなっていったのでしょう。個人情報保護等と言っている今の時代には考えられんこんじゃんね。着物をいくつ持っていこうとかまわんじゃん。
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今日のこぴっと講座
かよ) おとう、おかあ、ごめんなさい。
おらが、製糸工場から逃げちまったせいで、借金背負わせしちまってごめんなさい。
ふじ) ほんなこん、気にしてただけ。
かよは、こぴっと仕送りしてくれてるじゃん。
”きちっと”という意味に使われている。こぴっとした性格等と同じ使い方。
今日は、これ1回だけでした。明日のこぴっとをお楽しみに、ごきげんよう、さようなら。