たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

続・思い出に残る山(35)苗場山

2019年03月24日 | 心に残る思い出の山
続き


登山道は雪解け水の流れるガラガラの斜面を下るが、そう長くは続かず

再び緩くなった道を大きく迂曲するとその先に雷清水が待っていた

今まで数多くの水場で喉の渇きを癒してきたが、ここの水の美味さと

冷たさは絶品だ  苗場山頂を目の前にと言った位置に在るのもいい

ここはジックリ景色をと岩に腰を下ろす事にした

お花畑の鞍部からそそり立つ苗場本峰、右奥には小松原湿原

ガスが動き始め苗場山の山肌をゆっくり這い上がっている

気分よく眺めている時に髭のシェフ(私にとって初対面)

「何でこんな大事をしてまで山に登るんだろう」とぼやいた

自然とはプラス・マイナスのない世界 そんな中に身を投じられる幸せを

初登山の彼は未だ掴められないでいるのだろう

先行したグループが鞍部に到着した 「おーい」と大声で叫ぶと

山平マスターが気が付いて大きく手を振って応えた

私達はこの展望をもう少し楽しむ事にしよう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そろそろ出発しようかと立ち上がった時「あの急坂は大変だろうな」と

シェフがまた愚痴る

「一歩一歩足を前に出していれば自然に山頂に到達できますよ」と

当たり前の言葉で励まし鞍部に駆け下った

ここで青ちゃんが又リュックを開けた、よくよくお腹のすく人である

雷清水から苗場山は目と鼻の先だが一旦、下ってからの登りは思いの他だった

さっき飲んだ水が、たちまち汗になって噴出してきた

風が有るのが慰めである  

体力とは別に口の達者な山平ママも今は一言も無い

シェフは今どんな気持ちでこの坂を上っているのだろうかと考えると

可笑しくもなったが中頃には私も段々足が言う事を利かなくなり

人の心配をする余裕など無くなってしまった


ギブアップ直前、山頂の一角に漸く到達

目の前に眩しい程の雪渓が広がりその向こうの広大な台地には

大小の池塘が日光を反射して煌いている

雪渓の白と池塘の青さと広がる緑・・・そして空はあくまで広い


苦しかった標高差200m有った最後の直登を償ってくれる様な別天地である

私達は木道の傍らに咲くイワカガミやチングルマの花を楽しみながら

のんびり歩いた  雪渓の上を雲の影ものんびり流れて行く

山平マスターが作ってきてくれた焼きおにぎりを戴き一段落している所で

全員が揃ったので奥の山頂ヒュッテに移動し小屋前の広場に

シートを敷き細やかな宴会の場所を作って登頂を祝った

小屋の管理人である親子は変な人だった  ハッキリ言うとバカなのだ

その息子(50歳位)が私達の所へフラフラと来て腰を据えて

しまったものだから堪らない

親子は上手くいっていないらしく母親の悪口を並べ立てるのだ

宿泊したら、きっと夕食・朝食の度に親子のののしり合いを

耳にしながら食べる羽目になった事だろう

我慢が限界にきた山平ママ・・・「ミサトォ、お花摘み付き合って~」

お花摘みとはトイレの事です)

長くなってしまいました、今日は此処までに致します

引き続きコメント欄はお休みにしました


登山・キャンプランキング