まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

果てに・・・

2021年01月31日 22時15分55秒 | 子供時代

「果たし状」を受け取ったことがある人は、世の中にどれくらいいるのだろう。

わたしは、ある。

小学校3年か4年の時。

クラスの女王様のMから「放課後、校庭に来い」という手紙。

馬鹿らしい。

行くもんか、と思った。

その日は土曜日。

当時は土曜日も登校日で、半ドンと言って午前中で終わり。

昼ご飯は食べずに帰る。

やれやれ、わずらわしい一日だった・・・と靴箱に向かうと靴がない。

こんな漫画みたいな出来事が自分の身に起こるとは。

そこへ、側近のTとHを連れたMが現れた。

勉強も運動も出来、ルックスが垢抜けていて先生からも好かれている女王様のM。

中学生と間違われるほど身長が高く抜群の運動神経を誇るT。

家柄が良く勉強の出来るH。

わたしなんかほっとけばいいのに。

「校庭に来いよ」とすごまれ、靴がないと言うと

自分たちが隠したんだから出せばいいのに、なぜかTがおんぶして校庭まで連れて行かれた。

間抜けな感じ。

校庭でやっと靴を返され、Mと向き合った。

抵抗する気はなかった。

ちょっと殴ったら気が済むんでしょ、と思っていた。

家でも母親にぶたれることはよくあったし、同級生風情に殴られる事なんて大したことないと思った。

なのに、Mの平手が頬を打った瞬間、秒速で頭に血が上った。

痛さを感じるのと相手に飛びかかるのはほぼ同時だった。

彼女らより10cmくらい小さかったわたしだけど、

運動神経の鈍いわたしだけど、自分でびっくりするほど俊敏だった。

気がついたらTに馬乗りになっていた。

そうは言っても相手は3人、多勢に無勢・・・

わたしピ~ンチ!

そこへなぜか、クラスの男子のリーダーRと暴れん坊Kがやってきた。

「1人に3人は卑怯だろ!」

え、Rってそういう正義キャラじゃないのに。

どちらかというとTとRは男女のリーダーとして仲が良かったと思う。

わたしは密かにRを好きだったけど。

Kはと言えば、先生もクラスメートも巻き込んで教室中をしっちゃかめっちゃかにする暴れん坊。

決してわたしと仲がいいとは言えない。

何しに来たの、この人たち。

そのうち、クラスメートの男子が他にもわらわらやって来て男子同士で大騒ぎを始め

収拾がつかなくなり、よく分からないけどこの隙に・・・としらけた気持ちで帰ってきた。

家に帰るまで頬が熱く、じんじんして(親に見られたら面倒なことになる)と思ったが

気付かなかったのか、さほど赤みは出ていなかったのか、親には何も言われなかった。

それにしてもあんな大騒ぎしてたのに、先生は気付かなかったのだろうか。

学校というのは本当に、死角の多い場所だし見る気がなければ何も見えない場所だ。

そして子供は学校でのもめ事を親にはひた隠しにする。

親にそんなこと知られるのは恥だと思う。

ましてわたしの親は「どうしたの?」とか「なにがあったの?」

などと心配するのでは無く

「いじめられてんの?情けない」とか

「あんたが悪いんでしょ」

というタイプの親だったので、何があっても知られたくないとわたしは思っていた。

だから今、「サバイバー」というのは大げさかも知れないけど

無事に大人になれたことも、誰かに助けを求めることが出来る人間になれたことも

本当に、ラッキーだったと思うのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする