3月1日には「ゼロックス・スーパーカップサッカー」と「ラグビー全日本選手権」の試合がほぼ同時間帯にテレビ中継された。これは珍しいことで、チャンネルを変えながら見ていた。そのために、サッカーでは後半に広島が0-2から同点に追いつく場面を見損なってしまった。
体格の違い:見終わっての感想は先ずこれだった。サッカー選手はラグビーと比較して著しく劣るように見える。悪い言い方をすれば、ラグビーの連中は昔よく言った「空気デブ」の如き感じで、サッカーはカマキリの如くに見えた。
実は最近のサッカー選手を目の前で見たことがないのだが、ラグビーは全日本代表が新宿のドゥ・スポーツにウエイト・トレーニングをしに来ていたので十分に観察してあった。だからその体格の良さは解っている。
だが、不思議なことに体格に優れた日本のラグビーは世界的には一流にほど遠く、細くスマートで一見ひ弱なサッカーはワールド・カップ本番で予選突破の実績がある。どうやら体格の問題ではないらしい。
ではあるが、サッカーの選手たちはもう少し身体を鍛えて簡単に当たり負けしないようにして貰いたいと切に願う。
試合の結果:ラグビーでは年齢は高いが体格と経験を活かした東芝が大学ラグビー日本一の早稲田を一蹴した形で終わった。サッカーは何とJリーグで2ちした広島が昨年度の二冠王、鹿島をPK戦で破ってしまった。
簡単な批評:ラグビーは世界に通用しない日本的ラグビーの争いだった。目を見張るような思い切った展開も大業をもなく、年功経験に対するに大学選手権を取るためにひたすら纏めてきた小技の争いと見た。解りやすく言えば「詰まらない」のだ。ここに来るまでに相当な苦労をして、練習を積んできたのだろうが、余りにも日本的すぎる。
近頃のラグビーは相手陣内に入ってPKのチャンスを得ても先ずゴールを狙って蹴らない。当方の好みではないタッチに蹴り出す戦法で飽くまでトライを取りに行く。一見勇壮だが、5ないし7点を優先する余り、3点を取ろうとしない。この現象をあるフットボールのオフェンス・コーチは「もう一度相手の陣内深く入れる自信がないので、3点ではなく5~7点狙いになるのだろう」と批判する。「自信があれば、今回は先ず3点取っておけばよい。何回でも攻め込んで7点取ろう」と考えるものだと言う。なるほど。だが、現実は3点を犠牲にする割合にはトライを取れないことが多い気がする。疑問がある作戦ではないか?世界の強豪国はどんな場所からでも躊躇わずに蹴って、あっさりと3点を取って帰っていく。自信とキック力の問題らしい。
サッカーは何故か何時見ても単独ティームの方が、いわば寄せ集めの日本代表よりも思想統一されていて纏まりがよい。同じクラブであれば当然だろうが。私は選抜ティームというものには昔から懐疑的だった。その昔、故・篠竹幹夫監督が全関東学生代表を下高井戸のグラウンドに集めて、日大フェニックスの二軍を相手に練習させていたものだった。そこで起きる現象は代表ティームが二軍に歯が立たないことである。監督は誇らしげに言う「1年365日同じ釜の飯を食う二軍が、寄せ集めよりも強いのは当然である」と。これと同じことがA代表にも当てはまるのではないか?
ところでサッカーの内容だが、目についた現象を2~3指摘するに止めたい。鹿島には所謂司令塔役の一人に本山がいる。彼は自分のティームではなるほど主役に近いが、全日本代表の常連ではない。上手いことは上手いのだが、小ぢんまりとしていて代表向きではないらしい。さらに、ここにはアナウンサー好みの、イタリヤ帰りの小笠原がいる。この人も上手いのは確かだが、気力というかやる気が前面に出てこないので見ていて面白くない。何時でも主役で良いのかなと遠慮しながらプレーしているようだ。全日本に抜擢された内田はここでも思い切ったところを見せない。全員上手くサッカーをやることに集中しているだけで、結局2ちの広島にPK戦で負けてしまった。結論を言えばティームとしての纏まりがあった分だけ迫力に欠けていた。それに、妙に神経質なレフェリーがイエローカードトレッドカードを乱発したのも興味を削ぐ一因だった。矢張り、小さく纏めないで走り回していたオシム監督式サッカーの戦法に緊張感があったということか。代表であれ何であれ、目立ってやろうという勢いの良い選手が少ない。偶には、野球の中田翔のように大口を叩く奴が出てきても良くはないか。と言っても、あの中田は品がなくて全く私の好みではない。