新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アメリカの資本主義とは #2

2008-03-18 04:14:07 | 200803

ファンドとは:<o:p></o:p>


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導入部:<o:p></o:p>


アメリカにおけるファンドの力というか何をしている存在かは、我が国で新聞やテレビに依存しているだけでは理解しきれないことがあると思う。彼らは単に株式や企業の売買をするだけではない存在であり、乗っ取り屋でもなかった。その点を述べていきたい。<o:p></o:p>


なお、念のために申し上げて置くが、ファンドには投資だけではなく、ペンション・ファンド(Pension Fund)もあれば、政府系ファンド(Sovereign Wealth Fund)もあるのだ。<o:p></o:p>


具体論に入る前に、アメリカで、実際に、自分で聞いた話から入っていこう。そしてそのために、自分の旅行記から引用する。<o:p></o:p>


以下は20079月に7年振りにアメリカを”Pleasure trip”で訪れた際の旅行記からの抜粋である。業界以外の方には馴染みがない社名出てくるが、暫時ご辛抱賜りたい。<o:p></o:p>


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「ファンドの影響:<o:p></o:p>


近頃アメリカの産業界では業界再編成(≠リストラ)の動きが多く且つまた激しい。紙パルプ産業とてもその例外たり得ない様子だ。今回の旅の目的はそういったことを「口角泡を飛ばして」多くの知り合いの人たちと議論しようというものではない。因みに、古き良き時代は本社でも工場でも十分に語り合った。だが、そこは仕事熱心な人たちとの出会いである。その種の話題は決して全面的には避けて通れなかったし、私も結局は質問してしまう羽目に陥った。ここでは固有名詞を出すことが余り適切とは思えないので、一般論風にするが、なる程と思う話が聞けた。<o:p></o:p>


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紙パルプ業界では:<o:p></o:p>


つい先頃のボイジー・キャスケードのいわば会社二分割もあるが、一昨年以来インターナショナル・ペーパー、ジョージア・パシフィック、ミードウエストベイコ、ウエアーハウザー等々と、リストラには枚挙に暇がない。中には折角買収した会社をバラ売りしたり、コア事業と思わせた部門を売却したり、トップ・クオータイル(Top quartile)を超えた市場占有率を保持している事業を売却したりという具合で、誠に厳しい経営姿勢を見せている(と見える)。それだけ紙パルプを取り巻く経営環境が悪化していると言えるだろうし、森林産業の分野でも住宅着工とサブプライムの破綻を言うまでもなく不調を極めて、紙パルプの経営に悪影響を与えている。<o:p></o:p>


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実態は:<o:p></o:p>


ところが、有識者と言っても良いだろう人の解説によると、「リストラは必ずしも原料・エネルギー等のコストの急騰や、製造設備の老朽化や、グローバル化による新興勢力との競争の激化や、紙・印刷媒体の衰退等々によって行われているのではない」のだそうである。<o:p></o:p>


すなわち、すでに広く知れ渡っているミードウエストヴェイコがその歴史と伝統に輝くコート紙部門を投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメント(Cerberus Capital Management)に売却してニューページとして新発足させたように、大手紙パルプメーカーの株式を大量に取得したファンドが大株主として、「物言う株主」として登場してきた結果であるという。因みにサーベラス=Cerberusとはギリシャ神話の「地獄の番犬」で、頭が三つで尾が蛇である。<o:p></o:p>


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ファンドの発言力:<o:p></o:p>


具体的には株主としてその会社の各部門の成績を仔細に検討して、不採算と知れば厳しい改善を要求してくるのだと説明された。さらに「ファンド」には投資ファンドだけではなく、例えばカリフォルニア等の大きな人口を抱える州のペンション・ファンドは運用する金額も大きく、それ故にかなり厳しい要求を経営者側に突きつけてくるのだそうだ。それに対処する結果として、経営のコアとしている事業部門と雖もリストラの対象とせざるを得ないこともあると認識しておけ-と解説された。<o:p></o:p>


実はこの話は時間をかけて詳細に聞いたのではない。ではあっても、そこまで聞かされて初めて「何故アメリカの紙パルプ産業界では理解に苦しむようなコア事業部門の売却や分離独立が行われてきたか」が解った次第である。必ずしも経営担当者、アメリカの経営形態では単に職業として担当しているだけでの感がある人が多いからこう言うのだが、の決定ではなかったのだと知った。<o:p></o:p>


 実際に23の大手メーカーの経営姿勢に理解できない点があった。敢えて例を挙げれば、インターナショナル・ペーパーが世界市場の40%以上を保持しながら、その包装容器事業部門の一部を、如何に経営体質転換計画の一環とはいえ、あっさりと処分したか等は、私の理解を超越していた。この流れはすでに我が国にも現れているのではないか?<o:p></o:p>


 リストラの背景には複雑な事情が多々あるだろうが、このようなファンドの存在もあったとは、浅学非才な身には想像が及ばなかった。矢張りアメリカに来れば高齢化しても勉強になるものだと有り難く承ってきた次第。」<o:p></o:p>


 次回以降にもアメリカのM&Aの実態と、ファンドが何をするかを述べていく予定である。<o:p></o:p>


参考資料:紙業タイムス誌、0710月―2<o:p></o:p>


続く)<o:p></o:p>