新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

軽減税率案に思う

2015-09-10 07:20:27 | コラム
財務官僚は現実に疎くないか:

先日、公明党が執着した軽減税率の「マイナンバーカードを新たに設置する端末を通して云々」との還付実施案が発表されたのを聞いて、私は「財務官僚は自身が消費者であるはずにも拘わらず、余りにも市場の現実を知らない。AHOか!」と思った。更に昨9日にはテレ朝のモーニングバードなる朝8時からの番組では、上記以外に私が欠陥だと感じたことを総ざらいして、この案を元総務官僚だったゲストを招いて否定して見せた。

するとどうだろう、財務省はこの軽減税率還付案を消費税率の10%への引き上げと同時には実施しない延期案を出し、更に還付額の上限の引き上げまでを言いだした。これではAHO振りは増幅しただけだと私は笑いたくなった。

私があの実施案は上手く行く訳がないと感じた理由は、街頭インタビューなどで言わせていた「カードを落とすか失う危険性」であるとか「毎日持ち歩く煩わしさ」等ではなかった。こんなことは三歳の児童でも解ることだ。私が直ちに思ったことは「如何にして全国に何千軒何万軒あるか知らない食品製造・販売・卸業者や大・中・小の小売業者の店頭にどのような手段か手法で、現存するキャッシュレジスター以外二その新端末を設置するというのか」だった。

それとも「既に何らかの真ソフトが開発されていて、既存のキャッシュレジスターに載せる方法でも開発済みか」と問い掛けたくなった。しかし、店頭にある端末には一体どれほどの数のメーカーが拘わっているのかを思うと、それは非現実的だと思わずにはいられなかった。キャッシュレジスターの製造業者は一時的に潤うかも知れないが、販売店の負担は大きいだろう。

また街を歩けば解ることだが、未だに小規模な店かそれ以下の個人営業の販売業者では、バラ銭で商いしICTかとは無縁の世界で暮らしている者はいくらでもいる。また、昼前後に都内の大きな事務街を歩けば移動式で自動車内で調理して弁当等を売り歩いている者はいくらでもいる。横浜の中華街に行けば店頭で肉まんを一個から現金で売っている業者などいくらでもいる。ここのイスラム通りにはKebabを掴み銭で売っているトルコ人がいる。

そういう小売業者や個人が全国にどれほどいるかを財務省が国税と共同で把握しているのかも知れないが、全国津々浦々の各店や個人に端末製造業者かその販売店が納入し据え付けて操作法を指導し、代金の回収までして歩けというのかと思った。しかも、脱サラして田舎暮らしをして自営業で食堂などを営んでいる人の暮らす山奥まで行カされる業者の経費は誰が負担するのかも疑問だ。

また、テレビ等ででは「小規模以下の個人営業の者が新端末の経費の負担に耐えられるのか」との疑問が出ると、官庁が一部を負担する案があるという。すると即刻「それは税金の無駄遣いではないか」とゲストが叫んだ。「何をやろうというのか」と嘲笑した。もうこの辺までで十分だろう。本心で「Koreatownの商店を経営する連中は消費税をチャンと払っているのか」という疑問すらあるのに、新端末か」とも言いたかったのだが。イヤ言ってしまった。

私は話がここまで来れば、安倍内閣も自民党も軽減税率に固執する公明党に現実を学ばせる必要もあるかと思うが、財務省に繁雑な事務処理手続きを民間に押し付けようとする愚案を撤回させ、アメリカ式の完全に分離されたような方式を考えるか、いっそ全部10%で取って、年末にでも期末にでも各世帯の年収に応じて、どれほどの手間がかかるか知らないが何段階かの還付金にでもしたらどうかと言いたくなった。

市場の現実を無視した案を出した財務省も国税もそれくらいは働けという意味だが、如何なものだろう。