新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月30日 その2 アメリカの製造業の会社では新卒を定期採用しないのです

2016-07-30 19:37:25 | コラム
日米間の文化と思考体系の違い:

先ずお断りしておくべき事柄がありました。それは「私が語るアメリカの会社」とは、あくまでもアメリカに本拠を構えるアメリカ人の会社であり「日本何とかかんとか株式会社」や「何とかかんとかジャパン株式会社」ではないということです。これらの日本式法人では全てが日本文化の基準の下に設けられた企業であり、新卒を一斉に試験して採用し、育てていくシステムを採用しておられると思っております。大卒の新入社員でも先ず工場勤務を経験させると思っております。(因みに、ウエアーハウザーの日本事務所は「ウエアーハウザー・ジャパン」と名乗っていますが、この事務所は全面的にアメリカ本社の延長であり、日本式に運営されてはいなかった、言わば連絡事務所です。)

私が語っているアメリカの製造業の会社では新卒の採用などは絶対にあり得ないことです。と言うのは、金融・証券関係の会社では四年制大学の新卒を採用していると思っておりますから。製造業界ではそのような手間暇をかけて新卒者を育成はせずに、本社機構内や研究所には新規事業部門を設けた際や、業績の拡張や、リタイヤーした者か他社に転じた者乃至は退職させた者等が発生して空席が生じた場合に、そこを埋める即戦力となる者を、内部からの公募、社外からの引く抜き、その事業部に入社を希望して履歴書を本部長宛に送ってきた者たち、ヘッドハンティング等々の手段で選んで中途採用します。

その際には人事権も持つ事業本部長(=general manager)が面接して採用するか否かを決め、その際に給与(本給のみの年俸)、職務の内容、インセンティヴ等を話し合いで決めて採用します。即ち、我が国のように同学年で同期入社などはあり得ませんし、その与えられた仕事の内容次第で年俸も全く異なっているので、自分の給与を他人と比較する意味はないのです。勿論、能力と経験が基準で年功序列は余り加味されないでしょう。

その採用時に本部長と話し合って決めた年俸は、毎年一度本部長と一対一で見直しの機会があり、職務の内容(job description)を項目別に成績を検討し(その会社によって異なるでしょうが)5段階の評価をして、大幅昇給、少額の昇給、据え置き、減俸、馘首の何れかが決まります。その上で、翌年の職務内容も決めます。次年度分のjob descriptionは前年度よりも項目が増えていないことはあり得ないと思いますし、年度内に自主的に増やしていなかったようでは昇給は先ず望めないでしょう。

ここまでで忘れてはならないことは、アメリカ人の会社では物理的、精神的な仕事というか行動の基準は全て彼らの体格、身体能力、行動力(加えるにMBA等の学歴)を下に設定されていますから、我々(で悪ければ私)の体力では非常にきついというか過剰負担になるという厳然たる事実です。仕事の内容、言葉の問題等とは全く別なこういう障害を何の苦もなく飛び越えてみせねば、評価の対象にはなり得ないのです。そこでは英語が上手いとか話せることなどは評価される訳はないのは当然。それ以外にぶつかる高い壁は「文化と思考体系の違い」ですが、この違いが存在することは、当人が余程意識していない限り「何でそうなるの」という疑問に四六時中遭遇することになって苦しむでしょう。言うなれば「見えない壁」でしょう。

それだからこそ、私はプロ野球の選手たちは「ただ単に野球が上手いから俺は通用する」というだけの思い込みでアメリカに行くと、このような目に見える壁と見えない壁にぶつかって自滅する結果になる確率は高いと言うのです。誤解がないように言えば、その壁は彼らアメリカ人の選手たちが優れているために高いのではなく、単純に文化が異なるだけのことであることが多いのでありながら、相互の理解と認識不足で必要以上に高くて厚い壁にしてしまっただけのことでしょう。

自慢にもなにもなりませんが、私がその壁の存在に気が付き、その内容を分析して「ここがこう違う」という部内でのプリゼンテーションが出来るようになったのは、ウエアーハウザー入社後14年目でした。それを90分間のプリゼンテーションとして発表出来たのが、1990年でした。それほど、私はこの「日米間の文化の違い」を私なりに解明出来るまでに長期間を要したのでした。

更に申し上げておくべきことは「アメリカ側には巧みな日本語を操る人が著しく増えたとは言え、我が国との文化の違いの本質まで弁えている人は矢張り少数派だと申し上げて誤りではない」との点です。そうだからこそ、嘗てのクリントン政権のように高圧的に我が国は対米輸入(特に紙類)を増やすべきだと見当違いの押しつけて来たのだと、私は考えております。これはアメリカ側だけの失態ではなく、両国の首脳部の相互に違いの相違を認識する努力を欠いた失態だと断じたいのですが。もっとハッキリと言いたいことを言えば「日米間の企業社会も含めた文化の違い」は留学や会社員として海外に駐在しただけでは容易に知り得ないということです。

私は通算22年半もアメリカの大手紙パルプメーカーの社員として、彼らの文化と、思考体系と、言わば会社経営の哲学の下に対日輸出を担当して、その食い違いと行き違いに悩ませられた結果で「違いを認識し、克服の仕方」に行き着いたのです。「アメリカ(日本)の会社でも、我が国と同じように運営されているはずだ。だから、詳しく言わずとも我々の主張を理解するはずだ」などとは夢にも思い込んではならないのです。何しろ、相手国は文化とものの考え方が違うのですから。


7月29日には

2016-07-30 10:02:28 | コラム
¥850の鰻重を楽しんだ:

帰京後2日目。朝5時20分にPCの部屋から外を眺めれば、本当に暫くぶりの雲一つない青空が目の前に広がっていたのに感激。牛乳をかけたフルグラ、桃、トーストにdecafのコーヒーの朝食の後でブログを更新してから一休み。そして、これも暫くぶりのことで家内とともに9時19分のバスで高田馬場駅前の西武ビッグボックス内のジムに向かった。家内は未だ主治医を許可が出ていないので、ジムでの運動は出来ないのでシャワーと入浴のみなのは残念。

当方は何時も通りに20分間のストレッチから始めるのだが、近頃は(旧制)中学の蹴球部時代の練習前の体操に組み入れられていた片足立ちで足首を回す運動も試みている。これを柔らかなストレッチ用マットの上で展開するとなかなかバランスが取れないのだが、漸く何とかなるようになってきた。それから何人かの女性トレーナーさんに褒められたPUMAのハイカットの運動靴(カタカナ語を排斥するとこうなってしまう)を履いてウオーキング。何となく好調で、1 km歩き終わって時計を見れば1周=100 mを65秒の早さで歩いていたことになっていた。少し汗が出る程度の運動だ。

そこで一休みしてから、水分を補給してからエアロバイク。約13分間こぎ続けて2.4 kmを走破したことになり、30 キロカロリーのエネルギー消費した結果になった。私は病院でのリハビリと同じで負荷は2にしているが、多くの女性や高齢者でも5以上が普通のようだ。これで運動を終了してマッサージチェアに向かい、15分間もみほぐしてからシャワールームに。計量すれば約300 gの減量でやや少なめだった。同じ運動量でも最大400 gの日もある。

家内とは駅前のバス停で落ち合って11時37分のバスで、我が家の二停留所先の東京山手メデイカルセンター前に向かう。目的地は新宿サンパークホテルの「レストラン椿」で、狙いは¥850の鰻重だった。到着してみれば何と29日と土用の丑の日30日の二日間はランチは鰻重のみとなっていた。このホテルは我が家から徒歩5分程度と近いのだが、10年程前に東中野にアパートを持っているカリフォルニア州在住のSM氏が帰国した際に開拓してくれるまで、不覚にもその存在には全く気付いていなかった。

サンパークホテルは新宿駅の近くで靖国通り沿いにあるスーパーマーケット「三平ストア」のグループ企業で、椿から見下ろすところに大きな石灯籠や石が目立つ立派な日本庭園があるのが特徴。三平ストアが親会社であるためか豊富なランチメニューは皆お手頃価格で、近所にこれという食べ物屋がないことも手伝ってなかなかの繁盛振りである。この鰻重はその値段が示すように本格的なものではないようで、家内の見立てでもレトルト食品のようだ。

つい2~3ヶ月前までは鰻丼の形で提供されていたが、鰻重にすると全く見た目が異なって豪華になり、大久保通りにある牛丼店の鰻丼よりも遙かに本物感が味わえるのだ。しかも、小鉢、漬け物に味噌汁付きで、食後にはコーヒーかウーロン茶まで出てくるのでお買い得だ。昨日は味噌汁ではなくしじみ汁だったのは上出来で、大いに楽しめたし満足だった。因みに、鰻重はこの値段で常時提供されている。味は如何かとお尋ねか、そんな野暮は言わないものだ。