新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

9月8日 その2 「何物も彼の予定を妨げない」

2016-09-08 14:36:29 | コラム
アメリカの会社とは:

この"Nothing interferes his schedule."即ち、「何事であろうとも彼の予定を邪魔させない」と言われた人物、Waltはカリフォルニア州の州立大学(と言っても”University of California”は8~9校だかあって、中でも所謂「バークレー」が最高の評価)のバークレー以外の何処かのMBAでした。

アメリカの組織では事業部本部長の下に全部員が言わば横一線になっていて、偉さの順番はありませんし、年功序列も当然ありません。皆途中入社で年次もバラバラですから。我が国のような中間の管理職はいないのがほとんどです。建前は全員が直轄で副社長に直接に報告するなりレポートを提出するのですが、組織が巨大化すると面倒を見切れなくなるので何名かを選んでいくつかのグループを作り、そのグループ長経由での指揮命令となります。

ところがWaltの上にある突然スタンフォード大学のMBAで彼と同い年のものが入社して、彼のグループの長になってしまいました。彼は怒り狂って「あいつは親が金持ちだから大した頭でもないのにスタンフォードに行けたので、いきなり俺の上に来やがった。俺は親が貧乏で州立大学しか行ける金がなかったので、あいつの風下になってしまった」と、夜一杯飲みながら私にこぼしました。ご存じかと思いますが、スタンフォードのような私立では年間の学費は当時でも500万円はかかったでしょうが、州立ならば精々200万円以下だったでしょう。これがアメリカという国の社会の一面を表しています。

また、会社組織では事業部本部長(概ね副社長ですが)の直轄の部下になることが一種のステータスシンボルなのです。英語の表現では”I am with XYZ division of ABC company and report to so and so.”のように言って”report to”が誰の部下であるかを示します。その直接の上司が事業部本部長であれば”direct report”と呼ばれます。事業部本部長などは何時何処から転身してくるかは解らない世界ですから、その人物の信頼を得る”direct report”になることが力を見せることになります。

上記のWaltが怒り狂ったのは、いきなり副社長との中間に余所者が入ってプライドを傷つけられたことがあったからでしょう。そのような中間に介在するものを”middle layer”などと揶揄して言います。この中間にある者を如何に排除して”direct report”になるかの激しい競争も当然あります。「君はどうだったか」とお尋ねですか。外国人の私には大変苦しい道のりでした」とだけお答えします。


中国の野望の考察

2016-09-08 07:39:02 | コラム
アメリカを押しのけて世界の軍事・政治の最大の勢力となることでは:

これは中国に倣って「白髪三千丈」的な表現であるが、「全く外れてはいないと思っても良いか」と言えるところが恐ろしいのだ。正直なところでは「世界制覇を目指す」を題名にしようかとすら考えていた。

私は中国はそもそもそういう国かと思ってきたが、習近平政権誕生以来そう思わせるような行動と言動が一層顕著で露骨になってきた。彼よりも知的に見える顔付きの前任者たちはそこまで露骨ではなかったが、もしかすると習近平は前任者たちからそのような思想と政策を引き継ぎ、アメリカが8年間のオバマ政権下であそこまで弱体化したことを見て「機は熟した」と判断したのだろうと、私は考えている。

私はこれまでに何度もオバマ大統領の経験と知識の不足と優柔不断と判断力の欠如を批判してきた。換言すれば「大統領としての能力に疑問あり」かも知れない。それを見たロシアがプーチン大統領の下に息を吹き返し、北朝鮮の金一族に足下を見られ、中国には「オバマ政権下のアメリカ何するものぞ」と判断されてしまったのだ。しかも中国と軍事力・経済力の両面で対抗できて中国の暴走を止めるべき立場にあったはずのアメリカでは、次期大統領候補たちは内向きであり、就中トランプ氏は「アメリカファースト」を標榜するに至っては、習近平の野望に対する抑止力足るどころではあるまいと判断しても何の不思議もない。

中国が仲裁裁判所の決定を紙くずと罵ったのは寧ろ当たり前のことで、あれほど力を注いだG20の最中にスカボロ礁に浚渫船まで含めた自国の船を出してくる振る舞いなどは、彼らの南シナ海支配の布石を打ち続けるとの意図を明確に示しただけのことだと思ってみていた。尖閣諸島の我が国の領海に侵入し続けるのも「尖閣は自国の領土」との主張に基づいているだけで、彼らにとってみれば違法でも無法でもないことだろう。私は素人としては、尖閣に我が国の拠点でも設けて明らかに日本領土とでも示しておかない限り、何時の日か中国の漁民か何かが「自国の領土に上陸して何処が悪い」と足を踏み入れ実効的支配に踏み切ると危惧していた。

そこで中国の野望である。私は河添恵子氏の講演を聴いて以前から疑っていた「我が国の属国化乃至は占領」はあり得ると考えていた。だが、実態はその程度に止まらず、先ずは南と東シナ海を支配して海と空を押さえ込んで、我が国どころかアメリカと対峙して押さえ込んでいく辺りが最低線かと考えていた。中国問題の専門家や有識者は「中国の軍事力ではアメリカと真っ向から対峙できないことは承知しているだろうから、直接衝突には至るまい」と言う。

だが、私のような一般人は「中国はそれほど甘くはない」と恐れている。それは北朝鮮が何の為に、如何なる目的でアメリカまで届くと軍事専門家が言うミサイルやSLBMを発射してみせるのかを考えてみれば明白ではないのか。中国は世界で唯一の北朝鮮の後ろ盾の国だ。「援助してやるからミサイルや核弾頭の開発を進めて発射して見せよ。それがオバマで弱体化したアメリカに対する我が国の意思表示になるし、金君の立場も強化されるではないか」と指令したのではないかと疑っている。

私は北朝鮮は納得ずくで中国の代理業の役割を担っていると勝手に推理している。その北朝鮮にUNのSCで制裁強化などと言っても痛くも痒くもないのではないのか。アメリカでもそれくらいは既に読んでいると希望的にも思っている。だが、オバマ大統領では動きたくても抱えている重要案件が多過ぎて何処から手を付けるべきかの判断も出来ていないのではないのか。彼は寧ろ所謂”legacy”作りに忙しいだけではないのか。彼を二期も選んだアメリカ国民に反省して貰いたいものだ。いや、弱体化した共和党にも負うべき責任があるだろう。

私は中国は当面は南と東シナ海の制空権と制海権を勝手に確保して、通行料を支払わない国(例えば我が国?)等の通行を許さぬ態勢を三箇所の埋め立て軍事基地を使って確立する政策だろうと思っている。昨夜のPrime Newsでも桜井よし子さんは「中国はスカボロ礁の埋め立てはやるでしょう」と指摘された。私はそれを聞いて思い出したことがあった。それはW社の本部に全く自分の思う通りにしか仕事をせず、副社長の命令すら無視する男がいた。彼を評した秘書さんが"Nothing interferes his schedule."と言った。

「何物も彼の予定を妨げない」はそのまま中国に当てはまるのではないのか。そこまでやる計画ならば、沖縄や尖閣の奪取などは彼らにとっては大事の前の小事に過ぎないかと危惧するものだ。沖縄県の翁長知事はその大きな歯車の中の小さな歯車のまたその歯の一つ程度だろう。

ASEANの会議の内容を漏れ承っても中国を相手に孤軍奮闘しておられるのが安倍総理だけだと私は思っている。その総理を独裁者だの暴走だのと左巻きの連中が批判するが見当違いにもならない笑い話だ。彼らリベラル派や左寄りの連中は嬉々として中国の属国になることを目指しているのだろうよ。桜井よし子さんのように警鐘を鳴らす人が少数派であってはならない事態に至っているのだと思う。