新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

9月10日 その2 タガログ語(=Tagalog)

2016-09-10 17:14:20 | コラム
フィリピンのDuterte大統領とTagalog:

念のため申し上げておくと「タガログ語」(=Tagalog)はフィリピンの公用語である。その中でも英語のSwearwordのように悪い言葉があり、その中でも最悪なのがドウテルテ大統領(Rodrigo Duterte)がオバマ大統領を罵った時に使われた”putang Ina Mo”だったと、興味半分に調べ終わった。ドウテルテ大統領は「この言葉は一般に報道されたような激しいものではなく、フィリピン人として普通な語法だ」と言っているとか。だが、我々というか私には妥当だったかか否かを推し量ることなど出来るはずもない。

余談だが、フィリピンには1970年に一度しか行ったことがないので、僅かに覚えているタガログ語は「マガンダングウマガポー」が午前中の挨拶で、午後は「マガンダングハポンポー」となることの他に「マブーハイ」が「万歳」だったかで、「マリブー」は芳しくない言葉だと覚えただけに終わった。何もこの言葉を知らなくとも英語は公用語だから、十分に話が出来る。

しかも、ドウテルテ大統領はオバマ大統領の件に懲りていないようであり、今度はUNの潘基文事務総長をもこの言葉を使って「能なし」と罵ったと報じられていた。もう少し自制心が働かなかったのかとは思う。だが、言っては良くないと承知で言ったのだったならば、ドウテルテ大統領はただ単に事実を言っただけではなかったのだろうか。だがしかし、この世では本当のことを言ってはならないものだという常識があの大統領には欠落していたのだろうと疑う。

アメリカの会社とは

2016-09-10 11:48:02 | コラム
我が国の会社との違い:

ここ何回かアメリカの会社の人事制度等の分析をしてきたので、ここであらためてアメリカの会社とは如何なるものかを纏めてみようと思う。矢張り文化比較論の範疇に入ると思う。例によって順序不同である。

(1)採用:
基本的に製造業では我が国のように大学の新卒を定期採用しない。但し、金融・証券業界で大量の新卒を採用するようだ。各事業部の運営状態に従って増員乃至は欠員を埋める時に、即戦力となる者を随時事業部長の判断で採用する。その際の給与等の条件は、その中途入社を希望してくる者の経歴・実力・要求と事業部長の判断で異なってくる。従って、我が国のような同学年で同期入社の社員など存在しないと思っていて誤りではあるまい。採用する時点で「職務内容記述書」で担当する職務の内容が決まる。

(2)査定:
年に一度、その年を振り返って採用した権限を持つ者、即ち事業部長と相対で評価と回顧の面談がある。その評価は5段階であり、最高の評価となれば大幅に昇給するが、翌年の担当分野が拡大され背負う責任も重くなってくる。ここが難しい点で無理をして好成績を挙げると翌年なると息切れしてしまうことが往々にしてある。真ん中の評価となれば昇給しないと思っていて良いだろう。最低の場合は解雇があり、アメリカでは社会通念として解雇をあっさりと受け入れて辞めていくと聞いたことがある。この面談では翌年に為すべきことが決められるのだが、自分も参加して決めることなので、不成績だった際に弁明の余地はない。

(3)休暇:
有給休暇は先ずほとんどの者が消化すると思っていて良いだろう。この辺りが我が国との大きな違いである。だが、その実態は決して羨むべきようなものではないと認識願いたい。それは「我が国の組織とは異なって、各人がそれぞれ他の誰とも重複することがない分野の仕事を担当しているのだから、いくら長期間休暇を取ろうとも他の部員や同僚に一切迷惑も何もかからないのだ。自分が休暇で不在だった場合の仕事は誰も手を付ける訳に行かないので、いや危険を冒してまで他人の担当分野に手を出す者はいないし、大体からして他人の仕事を代行する為の給与など貰っていない世界なのだ。

即ち、休暇が明けて復帰した時に消化しなければならない仕事の膨大な山が残っており、大変な負担になるのだ。秘書がいるのではないのかと尋ねる方もおられるが、秘書さんはボスの仕事の代行をする取り決めにはなっていないし、英語で言う”I am not paid for that.”で、その分の給与など貰っていないのだ。しかも、ハワイに行ったのなんのと聞こえるが、ホテルに宿泊できれば良い方で、中には賃貸のアパートを借りて自炊する家族がいることを忘れてはならない。彼らの休暇はそれほど優雅ものではないとお考え願いたい。

日本などに駐在する者には(今でもそういう制度があるか否かを確認していないが)「ホーム・リーヴ」と言って会社の費用で国に帰るか何処か他の場所に1ヶ月間行っていられる有給休暇が与えられる。この制度をエンジョイしていた駐在の日系人に聞いたことだが「最初の1週間は仕事が気になって仕方がない。2週目に入ると少し落ち着いて遊べるようになり、3週目には完全に寛いで休暇を満喫する状態になるのだそうだ。そして、不思議なことに4週目になると早く任地に帰って仕事がしたくてたまらない気分になる」のだそうだ。

(4)General manager:
事業部本部長とでも訳しておくと良いと思う。この地位に就けば大統領並の権限が与えられ、事業部の隅から隅までの全責任を負って運営することになる。それは営業、販売、製造、人事、総務、経理、福利厚生等々の全てを掌握し管理・運営せねばならないということ。それに見合う年俸を取れるが、もしもそれに見合わない程度の実績であれば、いともあっさり解任されるのが普通だ。その地位を評して万年事務員が言った「あいつは好きこのんであの地位に就いたのだが、年俸は増えてもリスクが大きすぎる。朝は6時でも7時でも出勤せねばならず、帰宅できるのも20時や21時は不思議ではない。俺は年俸は低いが普通の時間に出勤して定時に帰れるだけで十分幸せ」と言った。

(5)株主:
我が国とは比較にならないほど偉い存在だと思う。株主総会で株主に向かって議長であるCEOが”Your company”と表現するのが当たり前のようだと聞かされていた。何時だったか株主でもない私は偶々本社出張中に本社ビル内で開催された総会に出席したことがあった。不思議なことに誰でも参加できるようになっていた。議長だったCEOのジョージは開会の辞で確かに”your company”と言って切り出した。

今回は取り敢えずこのくらいのしておきたい。何れ機会があればまた触れてみたい話題である。