新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

我が政府は弱気に過ぎないか

2018-11-13 09:32:05 | コラム
未だに「論争と対立」を怖れているのか:

対アメリカというかトランプ大統領との折衝:

この度アジア4ヵ国を回る一環でペンス副大統領が来日された。ペンス氏は途中のアラスカので記者会見では“TAG”とは言わずに「日本では“Free trade agreement”の交渉をする」と明確に言っておられた。折角、安倍総理以下が知恵を絞って“Trade agreement on goods”だかと言われて国民を安心させようとした努力をアッサリと反故にしていたのだった。尤も、テレビでは音声は流れたが、字幕には“FTA”と言ったとは出なかったと思うが。

私は何も政府(や外務省辺りも含めて)は余りにも生真面目で穏やかすぎて、アメリカ人との交渉事では「論争と対立を怖れてはならない」という強気でも何でもない、彼らの間ではごく普通の交渉の仕方ができていないと思って悔しがっている。彼らを相手にしたならば感情的になることなく、飽くまでも自分の主張を貫く姿勢を見せて、落とし所を探るとか、妥協点を模索してはならないのである。それは、彼らの辞書には「落とし所」もなければ「妥協」も載っていないからだ。

私はトランプ大統領が我が国が保有する対アメリカの貿易黒字を「不当である(英語は fair か unfair となるが)」と主張していることは正確ではなく誤認識であるとすら考えている。だが、彼の支持層の物事の理解力の程度を考えれば、あのような一方的で連中にも理解できそうな表現を採るのは解らないでもない。だが、特に自動車の輸入を非難されるような場合には、我が方は正々堂々と“Sir. You are confusing yourself.”くらいは申し入れて良いと思っている。

私でさえ「トランプ大統領があのような高飛車な姿勢に出てこられるのが、相手側の譲歩を引き出す為の駆け引きであり常套手段である」と解っている。現にデトロイトでさえ日本車の輸入に関税を賦課して欲しいという請願はしていないと言うではないか。更に、トランプ大統領自身が「アメリカ製の車は日本市場では売れないだろうと自覚しておられる」と語る専門家もいるのである。

何度でも言うか、アメリカ人を相手にして「言われっぱなし」にしておけば「認めた」と看做されてしまうのだ。私はトランプ大統領を相手にして「論争と対立」を怖れている場合ではないと思っている。その程度の議論で決裂する安倍総理とトランプ氏の間柄ではないと思う。それにトランプ大統領が問題にしているのは、品物を売った買ったで生じる赤字である。貿易外収支は含まれていない。私はアメリカ側が国に対してGAFAが挙げている目に見えない利益を考えるべきだと主張して良いと思っている。

韓国大法院の徴用工問題についての不当な判決:
これに対する我が国の政府(矢張り外務省を含めたい)の対応は遺憾ながら余りにも手ぬるいと思って見ている。そこに早速DPRKが付け込んで声明の如きものを発表して我が国を真っ向から非難してきた。要するに「自分たちにも分け前を取る資格がある」と言いたいようだが、これも不当であるから無視することなく真正面から反論すべき事案であると思うのだ。理由は簡単で「黙っていれば、DPRKの正当性を認めたことになってしまいかねない」からだ。

確かに総理も、官房長官も、河野外相も韓国大法院の不当性を非難しておられた。駐日韓国大使も呼び出して抗議されたと報じられた。この判決について文在寅大統領が未だに沈黙を守っていると報じられている。だが、果たしてその姿勢が「我に利あらず、非がある」と自覚しての沈黙か否かは不明ではないのか。私はDPRK如きが声明を出したのならば、我が国の(何処が所管するのか知らぬが)世界に向けての広報担当の部署で公式に「韓国は条約違反であると共に自ら約束した事柄をも忘却している。それこそ、NY TIMESやワシントン・ポスト氏等に「韓国の不当性を謳う」広告を打っても良いではないか。

あの判決の対象となった4名は志願者であり徴用工ではなかった、補償は韓国の国内で実施されるべき事案である」とあらゆる手段で世界に向けて公表するのが当然だと思っている。さもなければ、またしても後手となって彼らにUN等の場で我が国を非難する材料に使われると危惧するものだ。

まさか、安倍内閣は文在寅大統領が動くのを待ってそれから交渉しようとか反撃に出ようとして待っているのではあるまいな。私は総理や官房長官等の記者会見での反抗や否定的声明では不十分であると懸念している。私にはそうすることが外交的に誤りか否かは解らないが「こちらから国交断絶という contingency plan まで懐に入れて、韓国に出向いて公式に『判決の不当性と条約違反であり、我が国は絶対に認めない』と申し入れても良いのではないか」とすら考えている。相手が情緒で動いてくるのだから、こちらは正攻法でいくべきではないのだろうか。