新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月20日 その2 パワーハラスメントの法制化

2018-11-20 15:15:27 | コラム
パワハラの法制化は19日のニュースに入れるべきだったか:

NHKの夜の9時のニュースで採り上げていた話題だった。私は多少以上の驚きを感じて聞いていた。簡単に言えば、政府はこの「パワハラ」なるものを規定して法律にしようと本気で検討中だということらしい。細かい内容を記憶していないが、そこには6項目の嫌がらせか虐めが規定されていた。要するに「上司は部下に対して必要以上に叱責し怒鳴るか侮辱するか、個人的なことにまで介入してはならない」と決めつけていこうとなっていた。いや「部下を(悪い)上司から守っていこう」という規定の如き感があった。

そこで、22年半を過ごしたアメリカの会社での経験を振り返ってみよう。何回も触れてきたが「私を含めて本部機構に属する社員は即戦力としてその能力と経験を評価して採用したのであるから、上司乃至は事業本部長が一々細かい仕事のやり方を指図したり指導したり、怒鳴りつけることは先ずないと思っていて良いだろう。現実には私は3回ほど注意されたことはあった。だが、決してハラスメントとなるような性質の注意ではなかった

一度目は広報担当社が同席して受けるべき某経済新聞社のインタービューを単独で受けて「ここだけは書くな」と指摘したところだけ書かれた時に、何処か取引先が英訳してアメリカに送った為に本部に知れ渡って直属の上司に「軽率だ」と叱責された。当然の報いだと承知して「二度度しません」と詫びて許しを乞うて終わった。二度目は副社長兼事業部長の面前で迂闊にも“swearword”を使ってしまった時だった。

直ちに別室に連れて行かれて「君が英語が達者なのは解っている。だが、外国人がそういう言葉を巧みに使うのは気味が悪い。言っておくが、我が社の社員足る者が上司を目の前にして使うとは許しがたい。今後は厳重に注意して立派な英語だけで話すように」と厳しく注意された。これはハラスメントではないのは明らかだ。「二度と使わない」と誓って終わった。問題は“swearword”とはそういう性質だと、アメリカの大手会社の常識となっているという点だろう。

三度目は少し込み入っていた。それは、私は副社長兼事業部長に問われるままに本部と工場のマネージャーのタイトルを持っている者の人物評を語った為に生じた事態だった。言ってみれば「何処何処の彼をどう見ているか」と尋ねられて馬鹿正直に欠点まで指摘しまったのだった。これはとんでもない誤りであって、副社長は私の評価をそのまま受け止めて欠点を指摘されたマネージャーの日本出張を一定期留保てしまったのだった。他にもほぼ格下げされてしまった者も出てしまった。私は自分が原因だったとは全く考えても見なかった。

すると当時の営業部長から二人だけの席の際に「気をつけろ。迂闊に副社長の問いかけに答えて人物評(換言すれば、横からの査定)をするな。今やお前は陰の人事部長だと皆から怖れられていると知れ。兎に角口を慎め」と、かなり厳しい顔で言われたのだった。これでもハラスメントには当たるまい。アメリカの会社組織での叱責乃至は忠告はこういう形でやってくるのだ。尤も、W社内には上司と1対1での査定の他に同僚からの査定を受けることができる仕組みになってはいるが、その際には正式に当人から書面で依頼が来る。これには「どう書けが良いのか」と非常に悩まされたものだった。

回顧談はこれくらいにして本論に戻そう。パワーハラスメントなるカタカナ語の事案が良くないことは十分に解る。だが、私には理解不能なことは「悪いのは上司だけであり、不出来な部下がハラスメントに遭うのはある程度仕方がないとしても、上司の好き嫌いやその日の機嫌や気分で怒鳴りつけたり、侮辱したりすることがあったら、上司はハラスメント犯にされてしまうのではないか」と思うのだ。「上司は辛いよ」物語にはならないかと危惧する。

要するに、部下は常に法律で守られていて、上司は何時も危険に曝されているように思えるのだ。これではアメリカの組合員と月給制の本社機構にいる者たちの“job security”の不安さと似ているかと思う。私は何でもかんでも「ハラスメント」にしてしまう論調には賛同しかねる。駄目な部下を叱ることができない制度や、監督やコーチが幾ら丁寧に教えても基本や技術やを習得しない部員をきつく指導(叱る)できない運動部ができることが良いことなのだろうか。

私は「要再検討」か「要細心の注意」の事案だと思うのだが。要するに「ハラスメント」なるカタカナ語で何でもかんでも括るなということ。“harass”とはOxfordには“[often passive]to annoy or worry ~ by putting pressure on them or saying or doing unpleasant things to them”とある。被害者を指す言葉のようだ。だから英語には「パワーハラスメント」なんて言う概念がない訳だ。


11月19日のニュース

2018-11-20 09:00:36 | コラム
興味あるニュースが多かった:

19日は夜の8時過ぎだったかに確か4チャンネルの画面の上部に「カルロース・ゴーン氏を検察庁が逮捕へ」と出て驚かされたが、各局は遅くまでこのニュースを追っていた。この件は色々な意味で興味深かったが、私は私の視点で昨日関心を持ったニュース(出来事)を追ってみようと思う。

*中国の第三列島線:
夜のフジテレビのPrime Newsの報道によれば「パプアニューギニアで開催されたAPECの会合では大国の主張が噛み合わず共同声明が出せずに終わった」そうである。議長が大国とは何処を指すのかを避けたのだが、何処の2ヵ国を指しているかは余りにも明らかで、2国は議場でも対立を一層際立てるような演説をして憚らなかった。私はアメリカのペンス副大統領が一切怯むことなく中国批判をされたのは大変結構なことだと思っている。何処かの局で指摘していたが「トランプ大統領が例のTwitterで中国の145項目が良かった」としているほぼ同時期に、ペンス副大統領は悪役を引き受けてAPECで中国批判を展開しているのが面白かった。

私の関心(寒心)は実はこういうところにはなかった。それは「中国が既に第三列島線と称する地域の島嶼というのか諸国に常套手段のインフラ等の投資を開始して借金漬けにする進出を開始しているという報道に寒気を感じていた。私は防衛学会のT教授や河添恵子さんの講演から中国の野望というか南シナ海から太平洋への進出の具合を伺っていたが、第三列島線即ちオーストラリアの東部にわたる各国にまで魔の手をあのような状態で伸ばしていたとは不勉強にして知らなかったのだった。

と言うよりも、私は習近平の横暴な野望は我が国の属国化に重点を置いていると思っていたのだった。中国は既に台湾と国交がある19ヵ国に断絶せよと迫ってもいるそうだ。勿論、アメリかではトランプ大統領以下はこの習近平体制下の野望というよりも政策的目論見をご承知だろうからこそ、関税賦課戦争に始まって中国叩きに出てきたのだと思うし、その成果に期待したいのである。私は中国の存在は我が国のみならず世界にとっても途轍もない悪となる危険性が高すぎると思っている。

*紙おむつの回収からリサイクル:
何処の局のニュースだったか失念したが、近年我が国の高齢化が進むにつれて紙おむつの需要と消費量が激増してその処理というか後始末に病院や老人ホーム等の諸施設が悩まされていると報じていた。それは排泄物で濡れるので重量が何倍にもなって取り扱いに悩まされるというのだった。そこまでは尤もなことだと思って聞いたが、目下計画されている事がその使用済み紙おむつを回収してリサイクルすることだと聞いて驚かされた。

先ずは屁理屈的に順番を追って考えて見よう。そのリサイクルの為には回収の専業者(既存の古紙回収業者組織が「はい、そうですか」と言って直ちに引き受ける余力があるのかという疑問から言うのだ)を組織せねばならないのかも知れない。次は回収した物を集める専用のヤードと選別の設備と選別の要員が必要ではないかと危惧する。恐らく回収して集積された物にはかなりの臭気があるだろう。その対策と汚染された箇所と再生可能部分をどのように仕分けして選別するかという大問題にぶつかるとお思う。また、再生不可能とされた廃棄物の処理方法は如何にするかも大きな課題となるだろう。

次に指摘しておきたいのが「紙おむつ」という名称が招いている誤解である。アメリかでは“diaper”か“paper diaper”と呼ばれていたと思うが、関係も関心も低い分野だったので確信はない。思うに、我が国では“paper diaper”の方に因んで「紙おむつ」としたのだと勝手に考えている。実はこれは誤りなので、実際に水分を吸収する部分に使われているのは「パルプ」であって未だ紙に仕上げられてはいないのである。紙にしてしまえば水分を簡単には吸収しなくなるのだ。

あれは「針葉樹(=softwood)という」優良な原木を使った未晒しのパルプを加工して毛羽立てて水分の吸収をよくした綿のようなものである。従って、製紙の原料としてはその部分を上手く選別・仕分けできれば、上質な紙の原料にはなると私は考えている。そこで問題となるのが「如何にして使用済み紙おむつを究極的に選別するか」と「回収→輸送→集荷→選別→リサイクルのコスト等々に要するコストとエネルギー」が採算が採れる線に達するかではないだろうか。それほど簡単な話ではないかと思う。

*カルロス・ゴーン氏問題:
事件の詳細は報道にお任せして良いと思うが、私が昨夜聞いた限りではPrime Newsのフジの報道部のデスク(?)の掘り下げが最も興味があった。彼は「司法取引があったのでは?」と疑って見せたし、所得を少額にする隠し方では所得税法違反に発展する可能性すらあるのではないかとは言ったが、国税当局が動いているという話は聞いていないと述べた。私はゴーン氏も源泉徴収票を貰って確定申告を為さるのかなと思って聞いた。その源泉徴収票が虚偽であれば問題かなとも考えていた。

私はゴーン氏は大変なやり手だと思っていたが、現れた当初から何の理屈も理論もなく「フランス人にしては胡散臭い顔だが」と感じていたが、ご出身はブラジルだった。アルファベット表記では Carlos Ghosn となるそうだが、Carlos は英語では Charlesに相当するはずだ。Carlos はスペイン語だと思っていたが、ポルトガル語でも使われていたようだ。何れにせよ、大きな事件で今後の成り行きを注目したい。