新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

MLB対NPBの野球に思う

2018-11-11 10:59:45 | コラム
興醒めの野球だった:

オールスターだったかと称してアメリカのMLBから選抜テイーム(=「寄せ集め」としても良いだろう)が来ているのは良いが、連日負けてばかりいる不始末。ここ最近は固い話題ばかりと上げてきたので、今回は少し肩の力を抜いてこの締まりがない野球でも論じてみようかと思うに至った。

先ほどのTBSの張本勲が仕切る「喝」の時間ではもう少しきついことを言うのかとも期待したが、元々MLBがお嫌いのような張本はサラッと流してしまったのは残念だった。私に言わせて貰えば、今回来ているMLBの選抜テイームには日頃から貶してきた「身体能力ショーと化したMLBの野球には見るべき要素が激減した」というような点さえ希薄なのだ。厳しく言えば「学がない連中の集まりだ」となる。

その辺りを敢えて再度説明しておけば「アメリカのMLB、NFL、NBAというプロスポーツのリーグに出ている選手たちは、恐らく1970年代まではアメリカ人が主体であり、プロの道を選ぶ連中は大学でベースボール、フットボール、バスケットボールを十分にこなしてきた上で、プロになる時にはどれを選ぼうかと考えているほど、3大スポーツで体を鍛え上げてあるし、理論にも精通しているのが当たり前だった。

ところが、MLBであれ何であれ外国人選手に門戸を開放すると、単一の競技しか経験してこなかった南アメリカの者たちがMLB等のプロのリーグに急増したのである。90年代から21世紀に入ってもMLBの試合を見た私は、細かい技術というかスキルの水準が低下し、基礎と理論を鍛え込まれていない南アメリカ勢が増えた結果で、恰も彼らの優れた身体能力を強調するだけの「ショー」の如きになってしまったと思ってしまった。簡単に言えば質の低下である。

単な例を挙げれば、昨夜の試合でもファーストにゴロが行った時にベースをカバーすべき投手が呆然としたのかどうかは知らないが、ピッチャース・マウンドのそばに立ち尽くしていてベースががら空きだった事態などは論外である。また、我が国から渡っていったイチロー君などな正確無比が本塁送球をして「レーザービーム」などと褒め称えられているが、概して現在のMLBの外野手の本塁送球は不正確だし、昨夜もほとんど暴投と言って良いような出鱈目な返球があった。これも質の低下である。

それと言うのも、何処かの週刊誌で既に貶されていたが「今回連れてこられた者たちには本当の意味で一本目を張っている者は例外的であり、アナウンサーたちが苦し紛れに『新人王候補』などと持ち上げているような二線級ばかり」なのである。MLBの中継を見ていれば解るが、まともにローテーションに入っている投手ならば当たり前のように150 km台の速球を投げるが、今回来ている投手たちにはその次元に達している者がいない。即ち、ここも二線級なのである。

それにも拘わらず、何のかんのと言って持ち上げているアナウンサー諸君も大変だろうが、解説者たちもさぞかし苦心しているだろうと察している。その程度の二線級から柳田が打った打ったと騒ぐが、彼は日本シリーズでは広島の大瀬良にインサイドを攻めまくられて凡退を続けていたのだ。思うに、MLB側はシーズンオフの物見遊山にやって来たのであって、十分なスカウテイングすら怠っていたのではないかと疑っている。

だが、今夜辺りは日本側との選抜の3試合目にはなるので、少しはスカウテイングの効果が出てきても良い頃だと思う。MLB側の誰かが「日本の投手は我々の弱点ばかりを責めてくる」と語っていたらしいが、その辺りが我が国とアメリカの野球の文化の相違点である。アメリかでは投手たちは「打てるものな打って見ろ」とばかりに自分が持つ最高の球種をこれでもかと投げ込み、打者の方は「何を抜かすか。俺が勝負して目に物見せてやる」と言って強振していくのだ。要するに「テイームの為、よりも個人が優先される」のがアメリカ文化である

投手が相手の弱点を集中的に狙って投げ込むというような姑息な手法は採らずに力一杯な下根で、打つ方も選球するなどという逃げを打たずに「勝負に徹して打ち返して、個人の力を誇示する」のがアメリカ式なのだ。それだから、連日あのような無味乾燥の野球になってしまうのだ。しかも、稲葉監督はアメリカ側の打者の力を何処まで読み切ったのかは知らないが、昨夜の先発の上沢を除いては二線級の投手ばかりでも勝ててしまったという具合だった。

という具合で、私なりの結論を言えば「誠に大味で、見所がない野球である」となるだろう。また「ここから先に何が関心がある点を見出すか」と問われれば、「散々恥をかいたMLB側が今夜から巻き返しに出てくる用意があるのかな」と答える辺りだ。あの連中は何をしに来たのかなと疑いたくなる興行だ。