新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

止まるところを知らない新型コロナウイルスの影響

2020-03-15 15:08:28 | コラム
オリンピックへの影響だけか:

経済的な問題:

我が国のマスコミも専門家の方々も早くから「インバウンド」(“inbound“には何処の国からでも「来訪する人たち」という意味はない。立派なカタカナ語である)に与える大きな影響を恐れていたし、現実にその好ましからぬ結果は出てしまっているし、最早押し止めようもない。だが、トランプ大統領は非常事態宣言の前に、ヨーロッパの諸国からの入国を制限され、更に継ぎ足しでUKとアイルランドもそのリストに加えられた。世界ではアメリカだけでなく方々で入国禁止乃至は制限の措置が採られている。

ここで考えねばならないことは、既にイタリアのように完全封鎖に近い状態になれば、観光立国に近いような国では訪れる外国人が落としてくれる収入は全く期待出来ないのだから、我が国とは比較にならないほどの経済的且つ財政的な苦境に立ち至ることは明らかではないか。アメリカもその例外たり得ないのではないか。ニューヨークは一大観光都市だし、その他にも東西両海岸に数多くの観光名所(”tourist attraction“)があるではないか。これは由々しき事態となるだろうから、トランプ大統領は5.4兆円を投じるとの声明を出されたのだろう。

私は観光客からの収入が激減することは各国にとって重大なことだろうが、今後生じるであろう経済的な損失の規模は、途方もないものになってしまうだろうと考えている。しかも、その経済的な打撃を押さえる前に為されなければならないことは、肉眼では見えない「新型コロナウイルス制圧」なのである。そのウイルスに対する最大の防御が外出の制限であり濃厚接触の回避であれば、ジッと家の中に籠もっているしかないのかということになる。誰かが「それでは誰もお金を使わななくなり、国内消費がGDPの60%も依存している我が国では大不況になる」との懸念を示していた。

私は世界最大の経済大国であるアメリカが、何とかしてリーマンショック以来の不況に陥らないように食い止めて貰わないと、残る世界の各国は何とも打てる手がなくなるのではないかと考えている。但し、私が見るアメリカの難しさは、疫学や医学等の知識を備え十分な備えになる保険を持っているだろう階層は、既に3.2億を超えたの人口の中の5%以下でしかない点だ。言いたいことは「嘗ては少数民族と言われたアフリカ系、ヒスパニック、アジア系等々が間もなく多数派になってしまうのである。彼らの多くは保険もなく英語も良く解らない移民が占めている」という点だ。

問題点は「そういう人たちが如何にしてウイルスの感染から身を守って行けるかであり、保険無しに満足な治療を受けられるのか」ではないのだろうか。その上に、時将に大統領選挙の年であり、報道されているように多くの州で民主党の大会が催され、多数の支持者が一堂に会するという濃厚接触が起こっている危険性があるのだ。中止した州もあったと報じられているが、今後如何にして感染者が出ないようにするかだろう。だが、民主党の従来の支持者はプーアホワイト以下の少数民族に加えて、労働者階層が多かったのだ。

少数民族と言うか、移民が多いという点ではヨーロッパの諸国はアメリカ以上に既にこの問題で悩んできている。ある専門家は「イタリアは中国と組んで(組むように持ちかけられて?)一帯一路の一員となったので、多くの中国人が流入した模様で、この度の新型コロナウイルスの感染を招いた」と指摘していた。私はテドロス事務局長が「今や感染の中心はヨーロッパに移った」と指摘した背景には「移民」という問題があったと思えるのだ。即ち、移民が極端に少ない我が国は感染者が少ないのだとも言える気がしてならない。ここにはPCR検査数が少ないという議論は措く。

東京オリンピック
次に影響が出るのはもう避けられない所にまで立ち至ったとしか見えない「東京オリンピック」がある。森組織委員会長や小池都知事や橋本担当大臣が如何に否定しても「延期か中止」を回避するのが難しくなってきたと思わせる出来事が多過ぎる。ここでも「開催する7月下旬が来る前にウイルスを制圧しておくのは最低の前提条件になる」ようだ。それよりも何よりも、問題は肝心要の「バッハIOC会長が「WHOの”advice“に従う」と述べてしまったことだ。今やまともな判断力を備えた人が、テドロス事務局長如きが言うことを信じるかだが、WHOの事務局長は権威者なのである。

私は以前に「JOCからでも東京都からでも直ちにIOC(ってスイスにあるのだったか)に飛んでいって開催かまたはまたは万が一にも中止などした場合に我が国が被るだろう経済的損失をオリンピック憲章を改正してでもIOCがカバーする交渉をすべきだ」と指摘したが、誰も動いた気配なく最古参の委員がウオールストリートジャーナルのインタビューに答えて失言?をしただけだ。その気になれば、未だ外国には飛べるのではないのか。ホリエモンとやらはレバノンに行ってゴーン氏と会っていたではないか!

オリンピックについては言っておきたいことは「開催する、開催する」とか「中止はあり得ない」と言いたいのは解るが、最悪の場合に如何なる手を打つかという、私が永年言い続けてきた”continency plan“の表明が一向にないのだ。「やる、やる」とばかり言っていて代案がないのでは将に「玉砕戦法」ではないのか。もしも来年まで延ばされたら、今年の夏に絞って練習を積んできた選手たちのことくらい考えてあるのか。例えば男子のマラソンの3人は来年まで状態を維持出来るのか。他の種目でも同様で、延期の場合の選手選考法など考えてあるのかと問いかけたい

結び
何もオリンピック関連のことだけではないが、事態を見極めて恐れることなく、あるいは恐れるべき事は十分に恐れて、落ち着いてこの難しい事態対応すべきではないのか。唯々頭を下げて突進するだけではなく、第2か第3の対処法を考えた上で態勢を整えて事に当たるべきではないのか。もう事態は「継ぎ足し方式」では「後手」に回るだけだと認識してかかるべきだ。