新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月22日 その2 「働き方改革」の効果は

2020-03-22 14:20:40 | コラム
テレウワーキングでは実質的減給になるのでは:

私がアメリカの会社に移ったのは1972年だったから、もう48年という半世紀近くも前のことになってしまった。そのような昔の給与体系と、21世紀では態勢が変わっているのかも知れないが、当時は言わば組合側から会社側に移って役職が付いた時点で、時間外手当(残業料)は貰えなくなっていた。私の記憶は曖昧だし会社によって異なるようだったが、確か課長代理になった時点で時間外手当は貰えなくなったと思う。であるから、役職者となった時点では人によっては、実質的な減俸という事態が発生していたという記憶があった。

現代では電通の女性社員のお気の毒な例が生じて以降、安倍内閣は「働き方改革」を推し進めてこられた。この世には何事でも「コインの裏表」があるもので、勤務時間や残業時間の制限を設けた事による「コインの裏側」が出てきたという事例が幾つか報道されていた。そこに今回の新型コロナウイルスに対する感染防止策で、安倍総理からは企業にも自粛が要請され、「テレウワーキング」(言いたくはないが「テレワーク」は言葉の誤用だ)も実施され自宅勤務が増えたそうだし、一層の深刻化が懸念される景気対策も、あれこれと検討されつつあるようだ。

一般的に懸念されていることは「テレウワーキングによる会社員の実施的収入減であり、時間外手当が大幅に減ることによる手取りの減少」のようだ。私には良く解らないことは、会社側は自宅勤務にすることでその分を減俸にするのかという疑問と、時間外手当が減少するのは全社員ではなく、我々が往年自嘲的に称していた「ノンタイトル」の社員だけの問題はないのかという点だ。私が思うには「経営担当者たちは既に不況の色濃き現時点では、何とかしても給与を減らそうとしているのではないか」としか見えない。自分たちの至らなさの責任を社員に転嫁する気かという疑いだ。

しかも、その圏外にいる私には実行されているのかどうかも良く解らない「春闘」でも、トヨタ自動車ですらベースアップ?(労働組合員だった経験がない私には、未だにこれが何を意味するかが良く解っていない)を回避したという慎重さであるようだ。トヨタですらその有様では「昇給により可処分所得が増えて個人消費が云々」などという事態はあり得ないとしか思えないのだ。不況が来るからと言って緊縮するばかりが、経営担当者の務めではないと思うのだ。だが、こんな事を言っても無駄だろうと思わざるを得ない、近年の経営者の劣化ではないのか。

私が安倍総理と政府に心から望みたいことは「小出しの継ぎ足し方式の不況対策ではなく、規模を思い切って大きく採った施策を考えて欲しい」のである。国の規模と経済のスケールが違うとは申せ、トランプ大統領が対策として打ち出される金額は桁が違うようにしか思えない。願わくは「これをやってみたら効果が薄かったので、これならどうだろう」というような小出し/継ぎ足しの対策ではなく、どっしりと構えて、「エッつ。そこまでやるのですか」と国民が驚くような対策を打ち出していたければ良いのにと思っている。お願いしますよ。


新型コロナウイルスによる不況対策を考える

2020-03-22 10:39:35 | コラム
現金給付か減税か:

超後期高齢者としてはトランプ大統領が言われたような所得税減税が、最も望ましいと思っている。それと言うのは、なけなしの年金からあれほどの所得税を源泉徴収するのは、本当に怪しからんと常日頃から不満に思っていたからだ。実際の所、ここ2年ほどの間は非耐久消費財で必需品だと思っている、靴下も含めた下着を巣鴨とユニクロで、スニーカー某商社の大安売り会で買ったことと、医療費・薬品代以外にはお金は使っていないのだ。だから、4人か3人に1人とか言われている高齢者は一向に出費しないので、内需が盛り上がらない一因になっていると思っているのだ。

そこに、新型コロナウイルス(予想した通りで、マスコミも一般大衆も政治家も誰も彼も「コロナ」としか言わなくなった。またかと思われるだろうが言いたいことを言えば、これで通じてしまうのが怖い。“corona”だけではウイルスの意味にはならない)が襲ってきて、今やエコノミストも評論家も専門家も、もう既に始まっているとしか見えない大型不景気への対策を、あれやこれやと論じ始めている。その点では、昨程までフジテレビで放映していた橋下徹氏が主役のようだった討論会には非常に興味深いものがあった。

橋下氏は「消費税減税」をかなり強く要望するような姿勢で甘利明氏に迫ったが、甘利氏も然るもので何を言われても「何故出来ないか」を言葉巧みに述べるだけであり、何事でも決定権は総理にしかないと言って明言を避けていた。そこで、フジテレビは現金給付となった場合の使途を視聴者に問いかけた。答えは50%が生活費に回すで、娯楽と貯蓄がそれぞれ25%となっていた。これでは景気対策にはなっていないと思わせたし、麻生副総理の「10年前だったかの現金給付の時には、景気浮揚に25%以しか貢献しなかったと記憶する」との回顧談に符合してしまった。

そこで、エコノミストの市川氏は「現金給付は景気のこれ以上の悪化を食い止めることか、または景気浮揚を目指すのかを明確にしておく必要がある」と応じたが、調査の結果では「食い止め策でしかない」と早くも判明しまう結果だったのではないのか。橋下氏は「コロナ」発生以来、方々のテレビ局に登場されて、言わば「継ぎ足し方式ではなく思いきった大規模対策を講じるべし」との主張を繰り返してきた。だが、後手後手方式乃至は継ぎ足し方式しか考えられない政府と財務省には、一向に考慮して貰えないようだ。

虚しい気がするなと思わせられることを一つだけ挙げておく。それは、政府はフリーランス(何故ここではカタカナ語が出てくるのだろう)の人たちに無担婦・無利子の融資をと言っていた気がする。そこで早速区内の区役所に問い合わせてみた人が言うには「確かに融資はあると言われたが、最早何日か先までの予約で一杯だったし、整えねばならない書類だけでも面倒で複雑で半分以上諦めてしまう気分だ」との嘆き節を聞かせてくれた。橋下氏もこの手続きの面倒くささと融資までに要する長期間も問題を指摘していた。こんな事で景気対策と言えるのだろうかと思って聞いていた。