新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2018年の世界の紙・板紙の統計

2020-03-23 12:09:00 | コラム
上位175ヶ国の合計ではマイナス成長だった:

紙パルプ産業界の調査機関であるアメリカのRISIから、2018年の世界の紙・板紙の諸統計が発表された。20年3月の今頃になって2018年の統計の発表かと思われる向きもあるかと危惧するが、これは容易ならざる作業で、例年今頃出てくるものであり、私はリタイア後もこの統計の発表を待ちわびているのだ。

私にとって寧ろ意外だったのは「上位175ヶ国の合計は4億1,972万トンと対前年比△0.4%だったこと」か。それは、先進工業国ではICT化の大波に揉まれて印刷媒体の衰退が続いているので、紙類の需要が漸減するのは止むを得ないと思っていたからだ。だが、新興国の成長ではそのマイナス成長を補えなかったようだったのだ。

生産量の上位10ヶ国を挙げていけば、中国が第1位だったことは変わらなかったが生産量は1億996万トンと対前年比△5.0%のマイナス成長だったのだ。RISIは中国の人口を13億8,468千万人としていた。2位はアメリカで7,206万トンで対前年比△0.3%となっており、人口は3億2,925万人となっていた。3位が我が国で2,607万トン。4位はドイツで2,267万トンで対前年比△1.0%、5位がインドで1,521万トンで対前年比+12.9%、6位がインドネシアの1,247万トンで対前年比+5.3%、7位は韓国で1,153万トンで対前年比△0.5%、8位はブラジルの1,055万トンで対前年比△0.3%、9位にはフィンランドが来て1,054万トンで対前年比+2.6%、10位はカナダで1,018万トンで対前年比+1.5%となっていた。

因みに、11以下はスウエーデン、イタリア、ロシア、フランス、スペイン、メキシコ、タイ、オーストリア、ポーランド、トルコとなっており、台湾が21位で、UKは22位となっていた。

次は、私が個人的に最も興味がある、各国の人口1人当たりの消費量である。嘗てはこの値がその国の文化・文明の発展の度合いのバロメーターとされていた。だが、世界的なICT化というかデイジタル化の発展と普及により、今や先進国ほどその値が減少する傾向にあるのだ。更に、世界最大の生産国となった中国では恐らく世界の何処の国よりもICT化が進んでいるようなので、この数値は意外なほど低いのだ。

ここでの第1位は引き続きベルギーで293.3 kgで対前年比△3.7%、2位は3位から上昇してきたドイツで245.8 kgで対前年比△2.6%、3位には2位から下がったスロベニアで245.1 kgで対前年比△6.5%、4位には前年同様にオーストリアが入って236.4 kgで対前年比+0.2%、5位がアメリカで214.6 kgで対前年比△0.4%、6位が我が国で201.8 kgで対前年比△3.6%、7位が韓国で193.5 kgながら前回の8位から上昇したが対前年比△0.4%、8位はフィンランドで187.1 kgで対前年比△5.5%、9位はオランダで178.9 kgで対前年比△2.1%だったが、前年の10位からは上昇、10位はニュージーランドで178.1 kgで対前年比△5.0%と順位を一つ落としていた。

11位以下はイタリア、台湾、チェコ、ポーランド、デンマーク、スウエーデン、カナダ、オーストラリア、スイス、となっていた。世界最大の生産国である中国は79.5 kgと対前年比では成長していたが、アメリカの37%で、我が国との比較でも39%に止まっていたし、30位のハンガリーの102.3 kgにも及ばなかった。要するに、この他国との差をどう考えるかだろうと思う。因みに、全世界の平均は56 kgであり、175ヶ国中でこの数値を上回っていたのは54ヶ国に過ぎなかった。問題はこれからも紙・板紙の需要は減少が続くのかということ。

参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 20年3月23日号


私の密かなつぶやき

2020-03-23 07:28:35 | コラム
トランプ大統領は「安倍総理が決める」と言われたが:

元JOC参事の春日良一氏は繰り返して「オリンピック憲章には中止も延期もない」とあると言われていた。私はその発言は「全てを決めるのはIOCである」という啓蒙的(なのだろう)な指摘だと思って聞いていた。但し、春日氏は「憲章を委員の3分の2の同意を得れば改正出来るので、延期も中止も可能」とも指摘しておられた。他にこのような発言をする専門家もいないので、春日氏が言っておられたことが正しいのだろうと信じるしかないように思える。即ち、安倍総理には何らの決定権はないということになるのではないだろうか。

私のつぶやきは「IOCも春日氏もトランプ大統領に訂正をお願いする気でもあるのかな」ということだ。だが、事態は延期の方向にあるかのような報道だ。ではあっても、IOCの態度は曖昧なままだ。それでも「アスリートファースト」なのだろうか。