新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私が知るアメリカを語ろう

2023-12-04 09:37:17 | コラム
私が20年以上も内側で体験してきたアメリカ:

久しぶりに元の同僚と交信して忘れかけていた「アメリカ」を思い出すようになったので、あらためて「私のアメリカ」を語ってみようと思う。

ドナルド・トランプ氏の考察:
元の同僚は「アメリカの政治が揺れているし、トランプ前大統領がもしも再選されれば」と危機感を表していた。それもそのはずで、彼と私の元の上司たちのようにアメリカの経済界を動かしている人たちがトランプ氏を支持しなかったし、我が友のYM氏(有名私立大学4校のビジネススクールの教員だった人物)が「自分の周囲にトランプ支持者など皆無だ」と言っていたように、アメリカの高等教育を受けている知識階級にはトランプ氏を支持する人は殆どいないのである。

ドナルド・トランプ氏は本来では民主党の地盤であった、彼自身がworking classと言ったような労働者階級(労働組合員)や、それ以下の階層の支持を取り込むことに成功していたのだ。その為には、トランプ氏は(私が再三指摘したことで)彼の支持層に語りかける時には、およそ知識階層が使うことなどあり得ない汚い言葉(swearwords)を使うことも辞さずに、彼ら解りやすい表現を用いていた。

トランプ大統領は彼ら労働者階級の職を危うくしかねない合法/非合法の移民たちを強硬な手段を用いても南アメリカに送還したし、国境の壁の建設を推進した。移民たちはアメリカの少数民族等の下層の者たちの職を奪い去っていく傾向があったので、あのロスアンジェルスでのアフリカ系アメリカ人対韓国人の騒動が起きていたのだ。

ここまでの説明ではトランプ氏支持派の実態は見えてこないと思うので、日本に住む我々にも見えていた実例を挙げておこう。それは、あのトランプ氏が扇動したとの疑いがかかっている国会議事堂乱入事件を起こした暴徒(なのだろう)の風体を見れば、少なくとも彼らが一流大学のビジネススクールでMBAを取得した集団ではないと解るのではないのか。労働者階級の者たちが主体だったのであろう。

私は我がW社本社に勤務する者たちがあのような出で立ちで出勤するのを見たことがないし、第一に彼らは刺青などしていない。だが、労働組合員の中には居るのを見て来た。トランプ氏はそういう階層の者たちが多い「ラストベルト」などと呼ばれている地域等での支持を固めていたのだったし、彼らのトランプ支持は未だ揺らいではいないのでないだろうか。

アメリカの労働組合:
我が国の労働組合とは違いすぎるのだと何度も取り上げて語ってきた。何処がどのように違うのかをもう一度語ってみよう。先ず、言えることは「会社と労働組合は法律的にも異なる存在である」点だ。異なる存在であるので、一旦組合側に加入すると組合員としての身分は法律で保証されているが、会社とは別組織であるので、そこから会社側に転籍することは先ず例外を除いてはあり得ないのである。

労働組合の一員となれば給与は時間給であり、仕事は最初の雑役等から徐々に年功で上の仕事に就くようになり、それに従って時間給も上がっていく仕組みだ。組合の採用は職能別組合であるのでそこに加入すれば、形としては各社の工場に勤務することになる。私が知る限りでは4年生の大学出身者が新卒で入ってくる組織ではない。語弊があるかも知れないが、知識階級の職場ではない。そこに着目したトランプ氏がworking classの支持を獲得して地盤としたのである。

別な見方をすれば、我が国のように新卒で入社して先ず工場に勤務して、生産現場を知ってから徐々に本社機構に上がって、多くの部門を経験していくというようなシステムではないのだ。労働組合員となれば生涯組合員のままなのである。だが、法律で保護されているから本社機構の社員のように、ある日突然“You are fired.“となる危険性はないのだ。

私はトランプ氏が従来の支持層を固め続けられるのかと、多く抱えた訴訟の結果がどう出るかだと思うのだが、彼は有罪となっても当選すれば服役先からの執務するだろうとまで言われている。バイデン大統領は果たしてトランプ氏の支持層であるworking classに食い込んでいくのかと思ってみている。バイデン大統領はswearwordsまで使う手段にまで出られるのだろうか。

治安の悪化:
商社筋からのニュースで「バイデン政権になってから対移民政策が前政権当時よりも緩和されたので、南アメリカに近いカリフォルニア州には非合法なのだろうHispanicが激増した」のだそうだ。だが、南アメリカに来たからと言って直ちに働き口が待っている訳でもないのが問題なのだそうだ。だから暴徒化する者も出るとかだ。

その為かあらぬか、サンフランシスコでは強盗が増えて多くの店舗が襲われるように治安が悪化したのだとか。聞き捨てならぬ話である。移民に対して強硬な政策で臨んできたトランプ氏と大いに異なるのが民主党政権なのだ。バイデン政権がこの種の問題に如何に対処するのかも、来るべき大統領選挙に大いに影響を及ぼすのではなかろうか。

私が20年以上も慣れ親しんだ全アメリカ中での好みの都市の一つだったサンフランシスコの治安が乱されてきたとは悲しい話だ。