ここには重大な問題が潜んでいるのでは:
私は「もしも中国でこのまま13億余の膨大な数の国民の生活水準が上がり続けていけば、何も紙パルプだけではなく世界中のあらゆる産業で原料不足が生じるのも遠い先のことではない」と本気で懸念している。現に中国は資源小国でありながら紙と板紙の生産量が世界一で、個人消費量は世界の平均の60%見当でしかない。もしも遠からぬ将来に世界の平均値まで成長したら、紙パルプ産業界だけでも深刻な原料不足が生じかねないのだ。
中国には紙パだけではなく国全体の需要に見合うだけの木材資源がない。それかあらぬか、嘗て小平はウエアーハウザーを公式訪問して言った「私は木を買いに来たのではない。その育て方を教えて貰いに来た」と。問題点の所在を承知していたのだった。
現に中国の紙パルプ産業はパルプも古紙も大幅に輸入に依存し、中国が買いに出たかどうかで相場大きく変動し大袈裟に言えば世界市場の需給関係のバランスが変わるほどなのだ。古紙ではアメリカが世界最大の供給国でありながら、その中国が輸出する印刷用紙に対して高率の関税を賦課して輸入を阻んでいたりする。
私はこのような古い表現で恐縮だが「加工貿易」に依存している中国が、国内需要を大幅に上回る生産設備を拡張し続ければ、何も紙パルプ産業に限定されたことではなく、エネルギー源等を始めとして全世界市場から買い漁っていくことになるのは明らかだと見なしている。もしも中国が原材料確保に自信があれば、あれほどアフリカだの旧ソ連圏に石油等の確保の為に進出してこなかっただろうと考えている。
紙パルプ産業界だけを見ても、BRICsの一角を占めるブラジルではその豊富な木材資源を有効活用すべく、大型のパルプ工場を続々と新設しているが、その中には中国市場での需要増を当て込んでいる企業もある。このような新増設は明らかに1人当たりの年間紙・板紙消費量が世界平均に満たない諸国の需要の伸びを期待しているとしか考えられない。
中国のオーストラリアへの原料供給の依存度が高いのは事実だろうし、また中国からの移民の急増にオーストラリア政府が対策を講じ始めたと宮崎正弘氏はその新刊の本で指摘されていた。私が指摘したいことは、新興勢力での原料の需要が増大することは明らかだが、中国は既に諸国に先んじて手を打ってあるので、いざとなった時に非常に有利な地位を占めることが予測できる。
「風が吹けば桶屋が儲かる」式な論法で行けば、その際には、何も紙パルプ産業だけではなく世界的な原料獲得合戦と価格上昇という時代になるだろうということ。そこには食料も、水も供給不足に陥る危険性があるとの専門家の予測もある。文明の発展とICT化の進捗が持たすだろう事態を考えると、悲観論者の私は、何となく空恐ろしいものを感じさせられるのだ。
私は「もしも中国でこのまま13億余の膨大な数の国民の生活水準が上がり続けていけば、何も紙パルプだけではなく世界中のあらゆる産業で原料不足が生じるのも遠い先のことではない」と本気で懸念している。現に中国は資源小国でありながら紙と板紙の生産量が世界一で、個人消費量は世界の平均の60%見当でしかない。もしも遠からぬ将来に世界の平均値まで成長したら、紙パルプ産業界だけでも深刻な原料不足が生じかねないのだ。
中国には紙パだけではなく国全体の需要に見合うだけの木材資源がない。それかあらぬか、嘗て小平はウエアーハウザーを公式訪問して言った「私は木を買いに来たのではない。その育て方を教えて貰いに来た」と。問題点の所在を承知していたのだった。
現に中国の紙パルプ産業はパルプも古紙も大幅に輸入に依存し、中国が買いに出たかどうかで相場大きく変動し大袈裟に言えば世界市場の需給関係のバランスが変わるほどなのだ。古紙ではアメリカが世界最大の供給国でありながら、その中国が輸出する印刷用紙に対して高率の関税を賦課して輸入を阻んでいたりする。
私はこのような古い表現で恐縮だが「加工貿易」に依存している中国が、国内需要を大幅に上回る生産設備を拡張し続ければ、何も紙パルプ産業に限定されたことではなく、エネルギー源等を始めとして全世界市場から買い漁っていくことになるのは明らかだと見なしている。もしも中国が原材料確保に自信があれば、あれほどアフリカだの旧ソ連圏に石油等の確保の為に進出してこなかっただろうと考えている。
紙パルプ産業界だけを見ても、BRICsの一角を占めるブラジルではその豊富な木材資源を有効活用すべく、大型のパルプ工場を続々と新設しているが、その中には中国市場での需要増を当て込んでいる企業もある。このような新増設は明らかに1人当たりの年間紙・板紙消費量が世界平均に満たない諸国の需要の伸びを期待しているとしか考えられない。
中国のオーストラリアへの原料供給の依存度が高いのは事実だろうし、また中国からの移民の急増にオーストラリア政府が対策を講じ始めたと宮崎正弘氏はその新刊の本で指摘されていた。私が指摘したいことは、新興勢力での原料の需要が増大することは明らかだが、中国は既に諸国に先んじて手を打ってあるので、いざとなった時に非常に有利な地位を占めることが予測できる。
「風が吹けば桶屋が儲かる」式な論法で行けば、その際には、何も紙パルプ産業だけではなく世界的な原料獲得合戦と価格上昇という時代になるだろうということ。そこには食料も、水も供給不足に陥る危険性があるとの専門家の予測もある。文明の発展とICT化の進捗が持たすだろう事態を考えると、悲観論者の私は、何となく空恐ろしいものを感じさせられるのだ。