福島県で行われた児童健康診断の結果、26人に甲状腺ガンが見つかった。このほか、33人の児童にも悪性腫瘍の前段階と疑わしい症状が認められている。
今回の検診は福島県で原発事故当時、18歳以下だった児童全員、36万人を対象に行われている。専門家たちは現時点ではガンの発病と、原発から漏れ出した、あるいは別の理由で漏れた放射線の影響との因果関係を確定できずにいるが、いずれにせよ福島県で甲状腺ガンを患う児童の数は、ここ半年で6倍にも増えたという統計が出ている。
県民健康管理調査検討委員会のホシホクト座長は記者会見で、この統計数値にコメントしたなかで、現時点で甲状腺ガンが原発事故の影響で明らかに増えているわけではないと理解していると述べた。児童の甲状腺ガンは原発事故後、最初の数時間に放出される放射性ヨードが体内に入り込むことによって、その罹患リスクが高まる。
小児対放射線保護学研基礎センターのアーラ・シピャギナ医学博士は、VORからのインタビューに答えたなかで、チェルノブイリ原発事故の経験から、照射を受けてから小児ガンが発病するまで数年は掛かることはよくあるとして、次のように語っている。
「チェルノブイリで放出された放射性ヨードの量は多く、子どもの甲状腺はそれをまともに受けてしまった。これに関して入念な調査が行われ、専門家たちが現地へと向かいました。この事故が起きるまで現地の子どもは、こんな入念な診断を受けたことはなかった。検査の結果1987年以来、罹患例はあらゆる子どもの間で急激に増えた。これはガンに限らなかった。放射能汚染領域に住んでいた子どもの間で、甲状腺ガンの罹患が増えはじめたのは、事故後、5年から7年が経ってのことだ。
チェルノブイリ後の状況を機械的に福島に置き換えることはできません。というのも事故の条件も性格も全く違うからです。ですが日本でもこの事故が起きるまでは、子どもの健康状態はここまで入念にチェックされていなかったのではないでしょうか」
医学博士の話だ。
まさに小児甲状腺ガンは、チェルノブイリ事故後の住民の健康に、放射能が与えた信憑性のある影響として、世界保健機関や、国際原子力機関が唯一認めた症例だった。
それでもこの見解に、世界中の医師たちが同意を示したわけではない。他に放射能と関連した健康へのリスクは、どんなものがあるのだろうか。
VORは小児対放射線保護学研基礎センターの、アーラ・シピャギナ医学博士に再びマイクを向けた。
「放射性物質が直撃することで腫瘍が出来たり、甲状腺異常が発生する以外にも、遺伝病や異常、染色体異常などのリスクがかなり高まります。
こうしたリスクグループのなかには、事故当時胎内にいて被爆した児童も入ります。このグループの児童は病気に頻繁にかかりやすくなる傾向があります。日本ではこの問題はまだ駆け出しの段階です。この先、胎内被爆の児童がたくさん生まれてくるでしょう。ですから細胞遺伝学的な調査を行うことがとても重要なのです。これは大きな人口を対象に行うのは非常に困難です。ですが福島県の子どもたちには、医療関係者の集中した注意が向けられるべきです」
医学博士の話だ。
日本では事故当時、福島第1原発ゾーンに暮らしていた児童の長期的な検診を行うための、特別プログラムが現在準備されている。
同様のプログラムはチェルノブイリ原発事故後、ロシア、ウクライナ、ベラルーシでも立てられた。プログラムは事故後27年が経過した今でも、事故当時の世代、その次世代、そして第3世代を対象に続けられている。
11月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
今回の検診は福島県で原発事故当時、18歳以下だった児童全員、36万人を対象に行われている。専門家たちは現時点ではガンの発病と、原発から漏れ出した、あるいは別の理由で漏れた放射線の影響との因果関係を確定できずにいるが、いずれにせよ福島県で甲状腺ガンを患う児童の数は、ここ半年で6倍にも増えたという統計が出ている。
県民健康管理調査検討委員会のホシホクト座長は記者会見で、この統計数値にコメントしたなかで、現時点で甲状腺ガンが原発事故の影響で明らかに増えているわけではないと理解していると述べた。児童の甲状腺ガンは原発事故後、最初の数時間に放出される放射性ヨードが体内に入り込むことによって、その罹患リスクが高まる。
小児対放射線保護学研基礎センターのアーラ・シピャギナ医学博士は、VORからのインタビューに答えたなかで、チェルノブイリ原発事故の経験から、照射を受けてから小児ガンが発病するまで数年は掛かることはよくあるとして、次のように語っている。
「チェルノブイリで放出された放射性ヨードの量は多く、子どもの甲状腺はそれをまともに受けてしまった。これに関して入念な調査が行われ、専門家たちが現地へと向かいました。この事故が起きるまで現地の子どもは、こんな入念な診断を受けたことはなかった。検査の結果1987年以来、罹患例はあらゆる子どもの間で急激に増えた。これはガンに限らなかった。放射能汚染領域に住んでいた子どもの間で、甲状腺ガンの罹患が増えはじめたのは、事故後、5年から7年が経ってのことだ。
チェルノブイリ後の状況を機械的に福島に置き換えることはできません。というのも事故の条件も性格も全く違うからです。ですが日本でもこの事故が起きるまでは、子どもの健康状態はここまで入念にチェックされていなかったのではないでしょうか」
医学博士の話だ。
まさに小児甲状腺ガンは、チェルノブイリ事故後の住民の健康に、放射能が与えた信憑性のある影響として、世界保健機関や、国際原子力機関が唯一認めた症例だった。
それでもこの見解に、世界中の医師たちが同意を示したわけではない。他に放射能と関連した健康へのリスクは、どんなものがあるのだろうか。
VORは小児対放射線保護学研基礎センターの、アーラ・シピャギナ医学博士に再びマイクを向けた。
「放射性物質が直撃することで腫瘍が出来たり、甲状腺異常が発生する以外にも、遺伝病や異常、染色体異常などのリスクがかなり高まります。
こうしたリスクグループのなかには、事故当時胎内にいて被爆した児童も入ります。このグループの児童は病気に頻繁にかかりやすくなる傾向があります。日本ではこの問題はまだ駆け出しの段階です。この先、胎内被爆の児童がたくさん生まれてくるでしょう。ですから細胞遺伝学的な調査を行うことがとても重要なのです。これは大きな人口を対象に行うのは非常に困難です。ですが福島県の子どもたちには、医療関係者の集中した注意が向けられるべきです」
医学博士の話だ。
日本では事故当時、福島第1原発ゾーンに暮らしていた児童の長期的な検診を行うための、特別プログラムが現在準備されている。
同様のプログラムはチェルノブイリ原発事故後、ロシア、ウクライナ、ベラルーシでも立てられた。プログラムは事故後27年が経過した今でも、事故当時の世代、その次世代、そして第3世代を対象に続けられている。
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11月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル