ロシアは累進課税を導入するべきか。近頃、専門家の間で議論が熱い話題となっている。現行の平坦な、つまり一律の税率から、勾配つきの、すな わち高所得者には高率の、低所得者には低率の税金を課すシステムに移行するべきか、という問題だ。
累進課税制が奏を功すれば国家予算は潤うことになる。し かし企業が申告の粉飾に走り、むしろ国庫に打撃となる恐れもある。
ロシアの所得税率は一律、13%となっている。累進課税制をとらないのはヨーロッパとしては珍しく、また税率もヨーロッパの最低基準となっている。ロシアを下回っているのはブルガリアの10%のみとなっている。
ロシアもかつては累進課税制をとっていた。それが廃止され、現行の一律税制に移行したのは、つい最近のことだ。
この間の事情について、投資会社ウラルシベリアキャピタルの、主任エコノミスト、アレクセイ・レヴャートフ氏は次のように語っている。
「累進課税は2000年代初頭、経済改革の流れの中で撤廃された。所得を影から明るみに引き出すことがその目的だった。
個人的には、それは正し かったと思う。そして今、累進課税の復活が必要だとも思われない。所得が再び影に隠れてしまう危険があるからだ。それに税制に対するあらゆる変更は、とりわけそれが新たな税負担を課す変更であれば、被課税者は不満を覚え、政府への支持率にも影響するのだ」
レヴャートフ氏の話しだ。
しかし累進課税導入推進派にも理屈がある。ロシアでは今、かつてない規模で社会格差が拡大している。国民の大部分が最低限の生活水準を辛うじて保って いる一方で、世界の長者番付にランクインする大富豪もいる。
政府統計にると、最も富裕な層と最も貧困な層の所得格差は平均16倍だ。
ある企業では役員の報酬が、社員の給料の65倍となっている。それでも両者が同じ額の税金を納めているのだ。こうした現状を不公平と嘆 く声は多くなっている。
こうした声を受けて、現実に累進課税の導入に向けて、行政立法府は動きつつある。ロシア議会下院国家会議は累進課税復活法案の作成に着手した。
手始めにロシア大統領の給与水準で税率高低が分けられる。現在ウラジーミル・プーチン氏の年俸は500万ルーブルで、これは日本円換算で1500万円ほどだ。。これより収入の多いロシア人には引き上げ税率が課せられる。
プーチン大統領自身は累進課税について、どのような立場なのだろうか。大統領はロシアへの累進課税の導入は避けられないと見ている。ただし導入は明日や 明後日という話ではないとも述べている。
具体的には、いつの日となるのだろうか。イーゴリ・シュワロフ副首相によると早くても2018年、すなわちプーチン氏の大統領一期目が終 了し、大統領選挙が行われた後のこととなる。それまでは副首相によれば、ロシアにおける所得税率は一律のままであるということだ。
11月15日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
累進課税制が奏を功すれば国家予算は潤うことになる。し かし企業が申告の粉飾に走り、むしろ国庫に打撃となる恐れもある。
ロシアの所得税率は一律、13%となっている。累進課税制をとらないのはヨーロッパとしては珍しく、また税率もヨーロッパの最低基準となっている。ロシアを下回っているのはブルガリアの10%のみとなっている。
ロシアもかつては累進課税制をとっていた。それが廃止され、現行の一律税制に移行したのは、つい最近のことだ。
この間の事情について、投資会社ウラルシベリアキャピタルの、主任エコノミスト、アレクセイ・レヴャートフ氏は次のように語っている。
「累進課税は2000年代初頭、経済改革の流れの中で撤廃された。所得を影から明るみに引き出すことがその目的だった。
個人的には、それは正し かったと思う。そして今、累進課税の復活が必要だとも思われない。所得が再び影に隠れてしまう危険があるからだ。それに税制に対するあらゆる変更は、とりわけそれが新たな税負担を課す変更であれば、被課税者は不満を覚え、政府への支持率にも影響するのだ」
レヴャートフ氏の話しだ。
しかし累進課税導入推進派にも理屈がある。ロシアでは今、かつてない規模で社会格差が拡大している。国民の大部分が最低限の生活水準を辛うじて保って いる一方で、世界の長者番付にランクインする大富豪もいる。
政府統計にると、最も富裕な層と最も貧困な層の所得格差は平均16倍だ。
ある企業では役員の報酬が、社員の給料の65倍となっている。それでも両者が同じ額の税金を納めているのだ。こうした現状を不公平と嘆 く声は多くなっている。
こうした声を受けて、現実に累進課税の導入に向けて、行政立法府は動きつつある。ロシア議会下院国家会議は累進課税復活法案の作成に着手した。
手始めにロシア大統領の給与水準で税率高低が分けられる。現在ウラジーミル・プーチン氏の年俸は500万ルーブルで、これは日本円換算で1500万円ほどだ。。これより収入の多いロシア人には引き上げ税率が課せられる。
プーチン大統領自身は累進課税について、どのような立場なのだろうか。大統領はロシアへの累進課税の導入は避けられないと見ている。ただし導入は明日や 明後日という話ではないとも述べている。
具体的には、いつの日となるのだろうか。イーゴリ・シュワロフ副首相によると早くても2018年、すなわちプーチン氏の大統領一期目が終 了し、大統領選挙が行われた後のこととなる。それまでは副首相によれば、ロシアにおける所得税率は一律のままであるということだ。
![]() | 消費税のカラクリ (講談社現代新書) |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
11月15日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル