Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『疾走 上下』

2008-03-16 16:18:38 | 読書。
読書。
「疾走 上下」 重松清
を読んだ。

この物語は、「僕」などの一人称や「彼」などの三人称ではなく、
「おまえ」という二人称で語られる珍しい形式でした。
読んでいてなれなかったんだけど、「おまえ」というように
語られることで、ぐっと主人公の気持ちや行動なんかを突きつけられる
感じがしました。そして内容もどんどん重くなっていく。悲惨です。
物語のなかにも出てくるんだけど、「運命」に翻弄されるんですよねぇ。
この読後感もなかなか落ちさせられるものでしたよ。ははは…。
重松清という人は、本当にその登場人物の知的レベルや年齢に合わせて
思考や会話を繰り広げているなぁという印象を受けました。
妙に大人びた思考や会話をしないぶん、小説のキレみたいなのが幾分
失われるかもしれないけど、そのへん丁寧に現実感をもたせようと
しているんじゃないかと思わせられます。子どもがいうことは子どもがいうように。
大人がいうことは大人がいうように。そのへんの切り替えというか、
キャラクターの多様さにすごいなぁと思わせられました。
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