読書。
『恋愛論 完全版』 橋本治
を読んだ。
けっこう前にスタンダールの『恋愛論』を読みましたが、
それとはまた違ってネイキッドなところのこころを扱った恋愛論です。
話の中心は、著者の初恋です。
それがまた、純真だなあと思った。
実は僕って「純粋」っていうのはあんまり好きではないし、
それにそれは今回のこの事象にたいしては違うと思って考えたら、
純真という言葉が出てきた。
それも、しおしおしたりもするんだけれど、
全体として「陽」に感じた。
読んでいて、これは僕は敬遠してきた領域だという自覚が出てきた。
わかるんですよ、わかるんだけれど、
社会通念上いけないことだとかなり早い段階で意識しちゃうんですよ。
そこを飛び越えちゃってるのが、
橋本さんの純真なところだと思いました。
愛とか恋愛とかの根っこの部分をじいっと見つめ、
それも早熟とさえいえる慧眼ぶりでわかってしまっていた著者。
ある意味それによって、恋愛意識が先鋭化しているのでは、とも疑った。
ある程度バカなほうがうまくいくというか。
でも、バカゆえにケンカ別れだとかするんですよね。
そして、わかっちゃっていても、恋愛感情のほうに重きをおく著者ですから、
そこらへんで硬直はしないようなんです。
感動して、それを自分で噛みしめて、
受けとめることができるひとが恋愛に向いているという。
感動してすぐそれを言葉にして書き留めたりしゃべったりするのは、
感動を受け止めきれていないということらしい。
加えて、恋愛には陶酔意識が必要だという。
これには覚えがあって、
ぼくは20歳頃に友達数人と大学の談話室みたいなところで話をしていて、
「俺は好きなひとに盲目的になれないんだよ」と言ったんだった。
陶酔できないからそうなる。
社会から外れることができなかったんだね、その頃は。
とまあ、序盤のあたりからの感想はこんなところなんですが、
やはり著者がさらけだしてくれた「恋愛体験」からみえるのは、
根本の恋愛感情なんです。
社会ってものをとっぱらって、
人間として裸の状態での「恋愛感情」がつぶさに見える。
そして、男が男を好きになる初恋が語られて、
たとえば、「男が男に恋する」という単調な字ずらだけをみるならば、
「えーー?!」と退く男は多いと思うのだけれど(ぼくだってそうだ)、
そこで壁を作らずに、とにかく話を聞いてみようという気で読むと、
男が男を好きになることだって妙なことじゃないってわかってくるんですよ。
「ああ、そうか、そういう形だってある」とわかるし、
案外、自然なんです。
ホモセクシャルだとかレズビアンだとか、LGBTって言われますけども、
本書を読むと、そんなマイノリティとして認識されて、
敬遠されがちなひとたちや意識が、
あたたかな隣人として身近に感じられるようになると思います。
そういう、誤解を解けるようなくだけた告白に本書はなっていて、
LGBTはまったく自分たちと違うひとなんかじゃない!って
わかり始めると思いますよ。
ぼくはけっこうおかまのひとって怖いんですよ。
なんの影響かわかりませんが、
なんか、気に入られると、
力ずくで好きなようにされそうなイメージを持ってしまって、
それでこわいのです。
でも、それって、女の子が男に対してもつ怖さと同じであるし、
実際に、そういう男もいるけれどやさしい男も大勢いるってことで、
それはおかまのひとにも通じることでしょう。
付録の三篇のエッセイも面白かったです。
橋本さんの本は数冊読みましたが、
やっぱりよい目を持っているなあという印象を今回も持ちました。
あと、著者が聞いた言葉ですが、こんなのがありました。
TVの仕事の話で、
「下手なヤツほど、セリフで理屈を言わせるんだ」って
ベテランの役者がいうのには、おおー!って思った。
理屈っぽい登場人物っていうのもいることはいるけどねー。
というわけで、ぜひぜひおすすめの本でした。
『恋愛論 完全版』 橋本治
を読んだ。
けっこう前にスタンダールの『恋愛論』を読みましたが、
それとはまた違ってネイキッドなところのこころを扱った恋愛論です。
話の中心は、著者の初恋です。
それがまた、純真だなあと思った。
実は僕って「純粋」っていうのはあんまり好きではないし、
それにそれは今回のこの事象にたいしては違うと思って考えたら、
純真という言葉が出てきた。
それも、しおしおしたりもするんだけれど、
全体として「陽」に感じた。
読んでいて、これは僕は敬遠してきた領域だという自覚が出てきた。
わかるんですよ、わかるんだけれど、
社会通念上いけないことだとかなり早い段階で意識しちゃうんですよ。
そこを飛び越えちゃってるのが、
橋本さんの純真なところだと思いました。
愛とか恋愛とかの根っこの部分をじいっと見つめ、
それも早熟とさえいえる慧眼ぶりでわかってしまっていた著者。
ある意味それによって、恋愛意識が先鋭化しているのでは、とも疑った。
ある程度バカなほうがうまくいくというか。
でも、バカゆえにケンカ別れだとかするんですよね。
そして、わかっちゃっていても、恋愛感情のほうに重きをおく著者ですから、
そこらへんで硬直はしないようなんです。
感動して、それを自分で噛みしめて、
受けとめることができるひとが恋愛に向いているという。
感動してすぐそれを言葉にして書き留めたりしゃべったりするのは、
感動を受け止めきれていないということらしい。
加えて、恋愛には陶酔意識が必要だという。
これには覚えがあって、
ぼくは20歳頃に友達数人と大学の談話室みたいなところで話をしていて、
「俺は好きなひとに盲目的になれないんだよ」と言ったんだった。
陶酔できないからそうなる。
社会から外れることができなかったんだね、その頃は。
とまあ、序盤のあたりからの感想はこんなところなんですが、
やはり著者がさらけだしてくれた「恋愛体験」からみえるのは、
根本の恋愛感情なんです。
社会ってものをとっぱらって、
人間として裸の状態での「恋愛感情」がつぶさに見える。
そして、男が男を好きになる初恋が語られて、
たとえば、「男が男に恋する」という単調な字ずらだけをみるならば、
「えーー?!」と退く男は多いと思うのだけれど(ぼくだってそうだ)、
そこで壁を作らずに、とにかく話を聞いてみようという気で読むと、
男が男を好きになることだって妙なことじゃないってわかってくるんですよ。
「ああ、そうか、そういう形だってある」とわかるし、
案外、自然なんです。
ホモセクシャルだとかレズビアンだとか、LGBTって言われますけども、
本書を読むと、そんなマイノリティとして認識されて、
敬遠されがちなひとたちや意識が、
あたたかな隣人として身近に感じられるようになると思います。
そういう、誤解を解けるようなくだけた告白に本書はなっていて、
LGBTはまったく自分たちと違うひとなんかじゃない!って
わかり始めると思いますよ。
ぼくはけっこうおかまのひとって怖いんですよ。
なんの影響かわかりませんが、
なんか、気に入られると、
力ずくで好きなようにされそうなイメージを持ってしまって、
それでこわいのです。
でも、それって、女の子が男に対してもつ怖さと同じであるし、
実際に、そういう男もいるけれどやさしい男も大勢いるってことで、
それはおかまのひとにも通じることでしょう。
付録の三篇のエッセイも面白かったです。
橋本さんの本は数冊読みましたが、
やっぱりよい目を持っているなあという印象を今回も持ちました。
あと、著者が聞いた言葉ですが、こんなのがありました。
TVの仕事の話で、
「下手なヤツほど、セリフで理屈を言わせるんだ」って
ベテランの役者がいうのには、おおー!って思った。
理屈っぽい登場人物っていうのもいることはいるけどねー。
というわけで、ぜひぜひおすすめの本でした。