Fish On The Boat

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『絶滅した奇妙な動物』

2019-10-21 00:35:50 | 読書。
読書。
『絶滅した奇妙な動物』 川崎悟司
を読んだ。

爆発的に多様な種類の生物が誕生した
5億年前のカンブリア紀から現代までに絶滅した
興味深い生体構造をした生きものを113種、紹介するイラスト図巻。

紹介されている生物が現代に近づいてくると、
まだ現代に生きている生きものに形状が近かったりし、
眺めていてファンタジー感くらいの感覚を受けるくらいなのですが、
何億年前だとか、何千年前だとかの生きもののイラストを眺めると、
まったくそこに可愛げを感じず、
人間がそもそも持っている感覚であるバイオフィリア(自然、生きものを好む性向)
が働かず、バイオフォビア(自然、生きものを嫌がる性向)のほうが発動します。
獰猛で凶暴で、知性を感じないというか、
まったく話し合えそうにない感じが怖いんだと思います。

しかし、恐竜にせよ、絶滅した魚類にせよ、
化石から、その生物がどうやって獲物をとらえていたかだとか、
生活していたかだとか、歩き方もそうですが、
いろいろな事実や仮説を導き出しているのはすごいなあと思いました。
古生物学者たちっていうのがいて、
いろいろ考えたり分析したりして、
この生きものはこういう生活をしていた、と判定してきた。

また、現代が含まれる第四紀では、
人間による絶滅がほぼ絶滅の理由になっている。
これまで地球生命は、7割から9割の種が死に絶える現象を5度、
つまり5度の大絶滅(ビッグファイブ)を経験してきているそうですが、
それはどれも気候が原因だったり隕石が原因だったりするようなんです。
けれども、現代の、
6度目の大絶滅とも呼べる生命種の大きな減少傾向は
前述のとおり、人類が原因。
きわめて異質な大量絶滅期に入っている、と著者は述べていました。

これこそが人類の傲慢なところだよなあ、
とこういうことを知ったときには、重く感じますよねえ。

恐竜の幼生くらいならペロリと呑みこんでいたと推測される大きなカエルだとか、
13メートルを超える大蛇だとか、
体重が一トンのネズミだとか、
そういうのも出てきます。
実際に存在していたのだと考えると、
世界を認識する脳の部分が揺さぶられるような感じがしておもしろいです。


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