Fish On The Boat

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『エッセンシャル思考』

2019-10-19 23:02:17 | 読書。
読書。
『エッセンシャル思考』 グレッグ・マキューン 高橋璃子 訳
を読んだ。

エッセンシャル思考とは、
「より少なく、しかしより良く」
をまずは信条として仕事や生活を進めていけば、
そういったシンプルな生き方こそが生産性を高め、
幸福な人生に繋がるものなのだとする考え方です。

人は、エッセンシャル思考か非エッセンシャル思考かに分けられる。
とはいえ、エッセンシャル思考の核を持ちながら
非エッセンシャル思考の行動を取る場合もあるし、
非エッセンシャル思考の核を持ちながら、
エッセンシャル思考の行動を取る場合もあります。
それを、どんどん、エッセンシャル思考ばかりを選択するようにしたらいい、
というのです。

本書を読んでみると、
僕自身はエッセンシャル思考の核を持ちながら、
非エッセンシャル思考の行動も取ってしまう事があるタイプだなあと自己診断しました。

エッセンシャル思考の人は、
仕事の戦略では、いろいろな方向に力を分散するのではなく、
「なにかひとつだけしかできないとしたら、何をするか?」を念頭に置き行動する。
そのために、明確な目標を置く。

<目的が明確でなければ、人を動かすことはできない。
目的もわからない仕事では、やる気も出ないからだ。
どれほど熱心にコミュニケーションやチームワークを教え込み、
360度評価で風通しのいい体制をつくろうとしても、
目的が明確でなければ、あがて問題が巣食い、はびこっていく。
・・・・・・・・・・・・・(中略)
目的が明確でないとき、人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費する。>
(P152-153)

目的が明確ではない組織はどうなるのか。
著者はこう分析しています。
パターン1として、「社内政治が蔓延」する。

<仕事のゴールが見えずどうすれば勝てるかわからないので、
「上司の歓心を買う」という不毛なゲームに逃げ込んでしまうのだ。
その結果、本来なら仕事に注ぐはずの時間とエネルギーは、
表面的な自己演出やご機嫌取りに費やされる。
不要なだけでなく有害で、生産性を著しく下げる行動だ。>
(P153-154)

これは会社という組織だけの話ではなくて、
組織であれ、個人であれ、当てはまりますね。
個人でいえば、他人の目ばかり気にして、いい車にのったりいい家に住んだり、
ということが目的化してしまうことを著者は述べています。
もっといえば、コミュニティや小さな町にもこのことは当てはまると思います。

パターン2として、「なんでも屋になる」が挙げられています。
明確な目的がないため、次のようなことになると書かれています。

<それぞれ目先の利益のために行動するようになる。
といっても悪気があるわけではないし、
個人レベルでは本当に重要な仕事をしているのかもしれない。
だが各自が別々の方向に進んでいたら、
チーム全体としてどこにもたどり着けない。
1歩進むたびに5歩下がるというありさまだ。
同じことは仕事以外にも当てはまる。
あまりに多くのことに少しずつ手を出していたら、
本質的なゴールにたどり着けない。
努力の方向性がバラバラで、成果が足し算されないからだ。
・・・・・・・・・(中略)
思想家のラルフ・ワルド・エマーソンもこう述べている。
「人と国を滅ぼすのは、作業としての仕事である。
すなわち、自分の主目的を離れ、あちらこちらに手を出すことである。」
(P154-155)

そのための解決策は、「本質目標」を定めることなのですが、
詳しくは本書をあたってください。

その他、「バッファ(緩衝)」「線引き」「編集」など、
いろいろな側面から、
エッセンシャル思考の実践についてわかりやすく説明されています。
なかなか本当にやるには難しそうなところもあるのですが、
きっと、みんなの理解があると、
みんながエッセンシャル思考を実践していけるという種類のものだと思うので、
広く世に広まっていったら、
日々がより楽しくなるだろうし、ストレスも減るだろうし、
生きやすくもなるんじゃないかなというイメージが湧きました。

2014年の全米ベストセラーということで、
ちょっと古くなってしまいましたが、
それでも十分、そして今後も通じること間違いない良書でした。


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