Fish On The Boat

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『まちづくりの仕事ガイドブック』

2019-12-28 14:41:17 | 読書。
読書。
『まちづくりの仕事ガイドブック』 饗庭伸 小泉瑛一 山崎亮 編著
を読んだ。

大げさな言い方かもしれないですが、
「まちづくりの仕事」であるものを、
全方位から集めたガイドブックである、
と言えると思いました。

20年くらい前に村上龍さんが、
『13歳からのハローワーク』という、
世の様々な仕事を収録・解説したガイドブックを世に出されて、
ベストセラーになりましたが、
本書はまちづくりの仕事にだけ焦点を当てて、
当事者たちに自分の仕事を紹介してもらうという体裁で編まれています。

だいたい、見開き2ページでの仕事解説なので、
ちょっと浅く感じるような、
もっと長く読んで詳しく知りたいような気がしてきますが、
読んでいるうちに、
これはいろいろな角度からまちづくりをする仕事を知る
よいきっかけをつくる本だなあ、と捉えられるようになり、
楽しむように読めました。

執筆者には、熱い人もいれば、冷静な人もいるといった感じです。
なかには、専門外の建築の分野等、
興味は無くても自分とあまり接点が無かった分野に飛び込んで、
その業界ならではの言葉や文法を覚えてきた、という人もいます。
なるほど、そうだよなあ、と共感に似た尊敬の念を覚えますよね。
言葉を知ることで、知らなかった概念を知ることができる。
そういう考え方や捉え方、角度、視点があったのか、と知って、
それが身に付けば考えが多様になりそうです。

また、「まちづくり」にはまず「ひとづくり」である、
と僕自身で考えるところがあるのですが、
地方の町に優秀な人を誘致することもそうだし、
人とのつながりをつくっていき、お互い高めあう事もそうだし、
っていうようなことを述べている方もいらっしゃって、
素直に同意するとともに、
その流れがあってよかったなあと嬉しくもなりました。
まだ細い流れであっても、それがあると喜んじゃいますよね。

大学生くらいが読むと一番いいのでしょうけれど、
なかなか理解するのは大変かもしれないです。

建築や都市計画などのハード面での仕事が多かったです。
でも、割合は少なくても、人との繋がりや福祉などのソフト面の重要さも
しっかり書いてあります。

正解がこうだっていうものがないことが顕著で、
それぞれが前線に立って試行錯誤し、
切り開いて生み出していくことが求められる。
エキサイティングだし、不安だし、っていうぐらぐら揺れる中で、
でもきっと楽しく仕事ができるだろうなあ、と
読んでいて思いました。


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