2014年11月、イタリアはサルデーニャ島の カリニャーノ・デル・スルチス保護協会(Consorzio Carignano del Sulcis)の主催により、来日生産者を囲む「サルデーニャワインの夕べ」が都内で開催されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/cd/829f538cf25e7a71846ca952f873cffa.jpg)
来日した Consorzio Carignano del Sulcis の生産者
サルデーニャ島 は、地中海に浮かぶイタリアの島で、人口は約150万人に対して、羊の数は300万頭!羊の乳から作られるペコリーノチーズは、島を代表する産物のひとつです。
ビールも島の特産品で、島の中で生産、消費されているそうです。
サルデーニャは、島であるがゆえに外敵からの侵攻が多く、支配者が次々と変わるという歴史を繰り返してきました。地域によって方言がたくさんあるそうですが、そうした外部との接触の影響もあるのでしょうか。
サルディーニャ島がイタリアのサルデーニャ州となったのは、1861年のイタリア統一の時。
統一の前は、トリノ(ピエモンテ州)を首都とするサヴォイア家が支配するサルデーニャ王国であったこともあり、ピエモンテのブドウ品種が現在のサルデーニャ島でたくさん見られます。
ということで、今回の主役はもちろんワインですが、
ブドウ品種は、赤ワインをつくる黒ブドウで、スチルス地域の カリニャーノ・デル・スルチス![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/xmas_winebottle.gif)
スルチスは島の南端西側の地域 で、島の中でも最も地質年代が古い土壌が見られます。
内陸部は山々がそびえ立ち、海に向うにつれて、なだらかな丘陵地帯となり、白い砂浜の海岸地帯へと変化していきます。
スルチスの気候は、地中海性気候となります。
春と夏は高温で、秋は穏やかな気候となり、冬は変化に富み、雨は秋と冬に見られます。
この砂地土壌に根付くブドウが、イタリア古代品種 “カリニャーノ・デル・スルチス” です。
カリニャーノ・デル・スルチスは、接ぎ木をしない自根“ピエーデ・フランコ” で育てられます。
株を土中に埋めて取り木をするフンドゥ・クロッカウという古い方法で繁殖させ、150年の樹齢に達する樹もあるとか。
自根のブドウ樹は乾燥に耐えることができ、高樹齢の樹はフェノール類の熟成で素晴らしい結果をもたらします。
また、ここでは、支柱のないブドウ樹の仕立て“アルベレッロ仕立て”が見られます。
アルベレッロ仕立ては、夏季のストレス(水分、日射など)にうまく対応できるため、日差しが強くて乾燥した地域でよく見られます。
スルチスのブドウ畑の写真を見ると、樹は低めにコンパクトに仕立てられています。
沿岸部は風が強くて乾燥する場所が多いようですから、コンパクトなアルベレッロが最適なのでしょう。
接ぎ木をしない自根“ピエーデ・フランコ”、 支柱のない“アルベレッロ仕立て” が、カリニャーノ・デル・スルチスの二大特徴といえます。
カリニャーノ・デル・スルチスからつくられるワインは、香り、ボディ、アルコール度において力強いストラクチュアを持ち、熟成とともに繊細さも増す、といわれます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/24/0929f7d1b2bf71903c4aab47e8a78630.jpg)
左)BARRUA 2011 Agricola Punica (IGT Isola dei Nuraghi)
右)TERRE BRUNE 2010 Santandi (DOC Carignano del Sulcis Superiore)
BARRUA(バッルア) はスルチス地域の古い畑の名前で、石灰質と砂、石灰岩の混ざった、この地域独特の褐色土の土壌で栽培されています。
TERRE BRUNE(テッレ・ブルーネ) は、スルチス南部の歴史ある畑で栽培され、土壌は砂と石灰岩からなる水はけのよい中粒土です。
バッルア2011 は、カリニャーノ85%、カベルネなどのボルドー品種15%のブレンドで、フレンチオークのバリックで16-18カ月熟成させたフルボディタイプ。アルコール度数は14.5%。
洗練された味わいのワインで、フィネスが漂います。国際市場でも人気となるはず。
2002年創業の、新しい生産者です。
テッレ・ブルーネ2010 は、カリニャーノ95%、タンニンの甘いブドウ品種ボヴァレッドゥ5%のブレンドで、フレンチオークのバリックで16-18カ月熟成。アルコール15%。
緻密に凝縮された、しなやかなボディの持ち主。きめ細かくスムースで、酸もキレイでデリケート。
1960年創業、200の組合員がいる協同組合です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/5d/c8191de0cc2b0eff470977a0c18d6f4b.jpg)
BUIO BUIO 2011 Cantina Mesa (DOC Carignano del Sulcis)
ブイオ・ブイオ はカリニャーノ100%のワインです。
畑は砂質、粘土―白亜質土壌で、岩や片岩の特性のある中粒土。収量を抑えたワインづくりをしているということで、キレイな凝縮感があり、気品、フィネスを感じさせます。これもバリック樽で熟成し、最低4カ月の瓶熟を経てリリース。アルコール14%。
2004年創業、年間75万本を生産する家族経営のワイナリーで、そのほとんどがカリニャーノ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/c6/4b095e2c7bc3f0e5f4ed7010daf8ad74.jpg)
左)IS ARENAS 2009 Sardus Pater (DOC Carignano del Sulcis Reserva)
右)TUPEI 2011 Cantina di Calasetta (DOC Carignano del Sulcis)
この2つのワインのブドウ畑は、スルチス地域とつながっている サンタンティオーコ島 にあります。
サンタンティオーコ島でつくられたカリニャーノも、カリニャーノ・デル・スルチスのワインになります。
自根、アルベレッロ仕立てという特徴ももちろん同じです。
700haのブドウ畑があり、300の生産者がいます。
なんと、サルディーニャのワインの7割がサンタンティオーコ島で生まれるとか。
イズ・アレーナス はカリニャーノ100%。
砂地土壌、雨が少ない土地で、収量を制限してつくられます。
バリック樽で10カ月熟成後、瓶熟6カ月を経て出荷されます。アルコール14%。
溌剌とした果実味がありますが、まろみのある丸いワインで、熟成の甘みがあり、飲み頃の入り口にある状態だと思います。
実はこのワイン、イタリアのワイン評価誌「ガンベロ・ロッソ」で4年連続3グラス(最高評価)を獲得しているそうですよ。価格を聞きましたが、日本円では28000円くらいだとか。お値段もいいですね。
トゥペイ もカリニャーノ100%で、丘の麓の砂地土壌の畑で栽培されています。
一部をバリック樽(古樽)で6カ月熟成させ、最低3カ月の瓶熟を経てリリースされます。
アルコール13.5%と、今回のワインの中では軽めです。
口にすると、ハーブ、スパイスの独特の風味があります。果実味はしっかりしていますが、タンニンはそれほど多くなく、しなやかでスーッと入ってきます。料理に合わせやすいタイプで、オススメはレバーのムース。バルサミコ酢との相性も良さそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/silver.gif)
サルデーニャのワインは個人的には非常に興味があり、ここでも何回か紹介してきましたが、ひとつの地域のひとつの品種にフォーカスして飲むのは初めての機会でした。
地域やブドウの特徴を掘り下げて飲むことができ、ますますサルデーニャへの興味が深まりました。
機会があれば、いつかスルチスにも行ってみたいですね。
素晴らしいプレゼンテーションを見せてくれた、カリニャーノ・デル・スルチス保護協会の皆さんに拍手を送りたいと思います。
また、この貴重な機会をアレンジしてくださった事務局ソロイタリアの皆様にもお礼申し上げます。
カリニャーノ・デル・スルチス保護協会
http://www.consorziovinocarignano.it/?language=en
Facebook https://www.facebook.com/consorziovinocarignano
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来日した Consorzio Carignano del Sulcis の生産者
サルデーニャ島 は、地中海に浮かぶイタリアの島で、人口は約150万人に対して、羊の数は300万頭!羊の乳から作られるペコリーノチーズは、島を代表する産物のひとつです。
ビールも島の特産品で、島の中で生産、消費されているそうです。
サルデーニャは、島であるがゆえに外敵からの侵攻が多く、支配者が次々と変わるという歴史を繰り返してきました。地域によって方言がたくさんあるそうですが、そうした外部との接触の影響もあるのでしょうか。
サルディーニャ島がイタリアのサルデーニャ州となったのは、1861年のイタリア統一の時。
統一の前は、トリノ(ピエモンテ州)を首都とするサヴォイア家が支配するサルデーニャ王国であったこともあり、ピエモンテのブドウ品種が現在のサルデーニャ島でたくさん見られます。
ということで、今回の主役はもちろんワインですが、
ブドウ品種は、赤ワインをつくる黒ブドウで、スチルス地域の カリニャーノ・デル・スルチス
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/xmas_winebottle.gif)
スルチスは島の南端西側の地域 で、島の中でも最も地質年代が古い土壌が見られます。
内陸部は山々がそびえ立ち、海に向うにつれて、なだらかな丘陵地帯となり、白い砂浜の海岸地帯へと変化していきます。
スルチスの気候は、地中海性気候となります。
春と夏は高温で、秋は穏やかな気候となり、冬は変化に富み、雨は秋と冬に見られます。
この砂地土壌に根付くブドウが、イタリア古代品種 “カリニャーノ・デル・スルチス” です。
カリニャーノ・デル・スルチスは、接ぎ木をしない自根“ピエーデ・フランコ” で育てられます。
株を土中に埋めて取り木をするフンドゥ・クロッカウという古い方法で繁殖させ、150年の樹齢に達する樹もあるとか。
自根のブドウ樹は乾燥に耐えることができ、高樹齢の樹はフェノール類の熟成で素晴らしい結果をもたらします。
また、ここでは、支柱のないブドウ樹の仕立て“アルベレッロ仕立て”が見られます。
アルベレッロ仕立ては、夏季のストレス(水分、日射など)にうまく対応できるため、日差しが強くて乾燥した地域でよく見られます。
スルチスのブドウ畑の写真を見ると、樹は低めにコンパクトに仕立てられています。
沿岸部は風が強くて乾燥する場所が多いようですから、コンパクトなアルベレッロが最適なのでしょう。
接ぎ木をしない自根“ピエーデ・フランコ”、 支柱のない“アルベレッロ仕立て” が、カリニャーノ・デル・スルチスの二大特徴といえます。
カリニャーノ・デル・スルチスからつくられるワインは、香り、ボディ、アルコール度において力強いストラクチュアを持ち、熟成とともに繊細さも増す、といわれます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/24/0929f7d1b2bf71903c4aab47e8a78630.jpg)
左)BARRUA 2011 Agricola Punica (IGT Isola dei Nuraghi)
右)TERRE BRUNE 2010 Santandi (DOC Carignano del Sulcis Superiore)
BARRUA(バッルア) はスルチス地域の古い畑の名前で、石灰質と砂、石灰岩の混ざった、この地域独特の褐色土の土壌で栽培されています。
TERRE BRUNE(テッレ・ブルーネ) は、スルチス南部の歴史ある畑で栽培され、土壌は砂と石灰岩からなる水はけのよい中粒土です。
バッルア2011 は、カリニャーノ85%、カベルネなどのボルドー品種15%のブレンドで、フレンチオークのバリックで16-18カ月熟成させたフルボディタイプ。アルコール度数は14.5%。
洗練された味わいのワインで、フィネスが漂います。国際市場でも人気となるはず。
2002年創業の、新しい生産者です。
テッレ・ブルーネ2010 は、カリニャーノ95%、タンニンの甘いブドウ品種ボヴァレッドゥ5%のブレンドで、フレンチオークのバリックで16-18カ月熟成。アルコール15%。
緻密に凝縮された、しなやかなボディの持ち主。きめ細かくスムースで、酸もキレイでデリケート。
1960年創業、200の組合員がいる協同組合です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/5d/c8191de0cc2b0eff470977a0c18d6f4b.jpg)
BUIO BUIO 2011 Cantina Mesa (DOC Carignano del Sulcis)
ブイオ・ブイオ はカリニャーノ100%のワインです。
畑は砂質、粘土―白亜質土壌で、岩や片岩の特性のある中粒土。収量を抑えたワインづくりをしているということで、キレイな凝縮感があり、気品、フィネスを感じさせます。これもバリック樽で熟成し、最低4カ月の瓶熟を経てリリース。アルコール14%。
2004年創業、年間75万本を生産する家族経営のワイナリーで、そのほとんどがカリニャーノ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/c6/4b095e2c7bc3f0e5f4ed7010daf8ad74.jpg)
左)IS ARENAS 2009 Sardus Pater (DOC Carignano del Sulcis Reserva)
右)TUPEI 2011 Cantina di Calasetta (DOC Carignano del Sulcis)
この2つのワインのブドウ畑は、スルチス地域とつながっている サンタンティオーコ島 にあります。
サンタンティオーコ島でつくられたカリニャーノも、カリニャーノ・デル・スルチスのワインになります。
自根、アルベレッロ仕立てという特徴ももちろん同じです。
700haのブドウ畑があり、300の生産者がいます。
なんと、サルディーニャのワインの7割がサンタンティオーコ島で生まれるとか。
イズ・アレーナス はカリニャーノ100%。
砂地土壌、雨が少ない土地で、収量を制限してつくられます。
バリック樽で10カ月熟成後、瓶熟6カ月を経て出荷されます。アルコール14%。
溌剌とした果実味がありますが、まろみのある丸いワインで、熟成の甘みがあり、飲み頃の入り口にある状態だと思います。
実はこのワイン、イタリアのワイン評価誌「ガンベロ・ロッソ」で4年連続3グラス(最高評価)を獲得しているそうですよ。価格を聞きましたが、日本円では28000円くらいだとか。お値段もいいですね。
トゥペイ もカリニャーノ100%で、丘の麓の砂地土壌の畑で栽培されています。
一部をバリック樽(古樽)で6カ月熟成させ、最低3カ月の瓶熟を経てリリースされます。
アルコール13.5%と、今回のワインの中では軽めです。
口にすると、ハーブ、スパイスの独特の風味があります。果実味はしっかりしていますが、タンニンはそれほど多くなく、しなやかでスーッと入ってきます。料理に合わせやすいタイプで、オススメはレバーのムース。バルサミコ酢との相性も良さそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/xmas_wine.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/silver.gif)
サルデーニャのワインは個人的には非常に興味があり、ここでも何回か紹介してきましたが、ひとつの地域のひとつの品種にフォーカスして飲むのは初めての機会でした。
地域やブドウの特徴を掘り下げて飲むことができ、ますますサルデーニャへの興味が深まりました。
機会があれば、いつかスルチスにも行ってみたいですね。
素晴らしいプレゼンテーションを見せてくれた、カリニャーノ・デル・スルチス保護協会の皆さんに拍手を送りたいと思います。
また、この貴重な機会をアレンジしてくださった事務局ソロイタリアの皆様にもお礼申し上げます。
カリニャーノ・デル・スルチス保護協会
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