◆一高まさかの延長サヨナラ負け②
いつの間にか、雨の市営球場に鳴り響く試合終了のサイレン。
それでも私は敗戦が信じられない。
スコアボードを見る。
雨にかすんでよく見えない。
盛一 1010000000 2
花泉 0101000001 3
千葉の背番号と重なり合って「1」がかすかに見えた。
「ほんとか一高が負けたの。嘘だろう。」
「信じられん。信じたくない。」
降り続く雨の中、泣きながら引きつる声で敗戦歌を謳う。
「俺が一高生として野球を見ることはもうないんだな。」
そう思ったら、また涙が流れた。
この敗戦が同年秋の優勝、翌年夏の決勝進出につながるのであった。
<完>
なお、佐藤泰久先輩より資料の協力を頂きました。ありがとうございました。