8月24日 編集手帳
8月は流れ星の季節である。
ペルセウス座流星群を見た方もあろう。
3回はおろか、
1回の願い事も唱え終わらぬうちに、
夜空に消えていく。
一瞬のきらめきは、
いつまでも記憶に残る。
その人を、
作家の五木寛之さんは「流れ星」にたとえた。
日本の歌謡史に光って消えた、と。
藤圭子さんが62歳で死去した。
自殺か、
とも報じられている。
「がんばれ」と励ましてくれる友はありがたいが、
愚痴を言い合う友が恋しいときもある。
歌も同じで、
「上を向いて歩こう」と肩を優しく叩たたいてくれる歌に感謝しつつ、
「どう咲きゃいいのさ、この私」の嘆き節に慰めてほしい夜もある。
藤さんの“怨歌(えんか)”がそうだったろう。
何処どこで生きてもひとり花
何処で生きてもいつか散る…
(詞・石坂まさを、曲・猪俣公章、
『女のブルース』)。
一緒にうつむき、
涙で酒を割ってくれた藤さんの歌を止血剤にして、
心の傷を癒やした人は多かろう。
〈星一つ命燃えつゝ流れけり〉(高浜虚子)。
聴き手の孤独と不幸に歌で寄り添ったその人にさえ、
人生の穏やかな秋を天は許してくれない。
生きるとはむずかしいものである。
8月は流れ星の季節である。
ペルセウス座流星群を見た方もあろう。
3回はおろか、
1回の願い事も唱え終わらぬうちに、
夜空に消えていく。
一瞬のきらめきは、
いつまでも記憶に残る。
その人を、
作家の五木寛之さんは「流れ星」にたとえた。
日本の歌謡史に光って消えた、と。
藤圭子さんが62歳で死去した。
自殺か、
とも報じられている。
「がんばれ」と励ましてくれる友はありがたいが、
愚痴を言い合う友が恋しいときもある。
歌も同じで、
「上を向いて歩こう」と肩を優しく叩たたいてくれる歌に感謝しつつ、
「どう咲きゃいいのさ、この私」の嘆き節に慰めてほしい夜もある。
藤さんの“怨歌(えんか)”がそうだったろう。
何処どこで生きてもひとり花
何処で生きてもいつか散る…
(詞・石坂まさを、曲・猪俣公章、
『女のブルース』)。
一緒にうつむき、
涙で酒を割ってくれた藤さんの歌を止血剤にして、
心の傷を癒やした人は多かろう。
〈星一つ命燃えつゝ流れけり〉(高浜虚子)。
聴き手の孤独と不幸に歌で寄り添ったその人にさえ、
人生の穏やかな秋を天は許してくれない。
生きるとはむずかしいものである。