9月24日 NHK海外ネットワーク
ベルリンの街に登場した選挙向けの巨大な看板。
注目はメルケル首相お決まりの手のポーズ。
演説の場でも首脳会談でも先日完成した蝋人形もこのポーズである。
ヨーロッパ各国が信用不安で大きな打撃を抱えるなか
ドイツは自動車など輸出産業を中心に好調な経済を維持。
一人勝ちと言われてきた。
その立役者メルケル首相はいまやヨーロッパの名手とまで言われている。
(ドイツ メルケル首相)
「我々はヨーロッパ案手の礎で成長の原動力だ。」
9月7日にフランクフルトで行われた労働者の抗議デモ。
低賃金で生活が苦しいのはメルケル政権のせいだと訴えた。
(デモ参加者)
「給料が安すぎてこれでは暮らしていけない。」
企業の競争力を高めようとメルケル政権は前政権に続いて両道市場の規制緩和を推進。
低賃金の非正規雇用が認められるようになった。
企業はコストを抑えようと派遣労働者やアルバイトを積極的に採用するようになり
失業率は大幅に改善。
この7月は5,3%とドイツ統一以来最も低く抑えることができた。
しかしその陰で多くの人が低賃金での労働を余儀なくされている。
ベルリンに住むミヒャエル・ザーベさんは非正規雇用の仕事を転々としている。
今は高齢者に昼食を届ける仕事をしている。
一か月の収入は多くても400ユーロ(約5万円)。
月に6万円近くの生活保護を受け食費を切り詰めて何とか生活している。
少しでも収入が多い仕事を探しているが年齢制限などもあって転職はままならず
今の生活を抜け出せる見通しは立っていない。
(ミヒャエル・ザーベさん)
「この収入ではとても生活していけない。」
ザーベさんのように働きながら生活保護を受けている人はドイツ全体で130万人にのぼると試算されている。
高まる国民の不満を背景に中道左派の社会民主党などの野党は
社会格差の是正を最重要テーマに据えてきた。
ドイツではすべての業種に共通する最低賃金制度は無い。
野党はこれが低賃金の労働者を生み出す原因だとしている。
今月行なわれた与野党の首相候補によるテレビ討論。
社会民主党の首相候補シュタインブリュック氏は最低賃金制度の必要性を訴えた。
(社会民主党 シュタインブリュック氏)
「全職種共通の最低賃金導入で人々の収入が増え購買力も高まる。
社会格差の解消だけでなく経済的側面からも合理的だ。」
これに対し保守系与党のメルケル首相は
すべての職種共通の最低賃金制度は中小企業の経営にとって負担になると反論。
最低賃金は“ケースバイケース”で決めることだと主張した。
(メルケル首相)
「最低賃金は政府が決めるのではなく労使間交渉で決めるべきだ。」
社会格差の問題に加えてドイツで課題となっているのが脱原発にかかるコスト。
福島第一原発の事故をきっかけに2020年までにすべての原発の運転停止を決めたドイツ。
原発に代わり再生可能エネルギーの利用を広げるため電気料金にコストが上乗せされることになった。
そのコストは伝記を利用する企業や一般家庭が負担する。
メルケル政権は国際競争力に影響が出ないよう大企業の負担を軽くする優遇措置を取り入れた。
一方で一般家庭については優遇措置がなく脱原発によって電気料金の負担が大幅に増えている。
ベルリン市内のアパートに家族3人で済むクローナ―さん。
先月の値上げで電気料金は1年前よりも20%以上高くなった。
こまめな節電で少しでも節約しようとしている。
(クローナーさん)
「大企業が優遇措置を受けていることには怒りを感じている。
消費者の負担はますます大きくなっているのに。」
野党は大企業を優先させるメルケル政権の政治姿勢が国民の生活を圧迫していると批判してきた。
(緑の党 ゲーリングエッカート氏)
「再生可能エネルギーを増やしているから電気料金が高騰しているわけではない。
悪いのは大企業への優遇措置だ。
やめるべきだ。」
メルケル首相率いる与党としては
選挙で第一党となりメルケル首相の続投は間違いないと自信を深めている。
だがただちに安定した政権を築けるかどうかはわからない。
連立与党の2党で過半数を確保できるかは微妙な状況だからである。
過半数の布石を得られなければメルケル首相は野党と連立交渉を進める必要がある。
社会格差の問題への対応や
ギリシャなど財政難に陥っている国々の支援の在り方をめぐって大きな隔たりがあるなか
協議が難航する可能性もあり予断を許さない情勢である。
メルケル首相がどの政党と連立を組むかによって政策が変わってる。
現在の保守政権が維持すれば対ヨーロッパ政策に大きな変化はないとみられる。
単一通貨ユーロを守りつつも国内の世論に配慮してギリシャなどの財政支援には腰の重い状況が続く。
一方 野党との連立政権となればヨーロッパ各国とより強調する方向に向かう可能性がある。
野党側はギリシャなどへの支援をより積極的に行うよう求めているからである。
ただドイツでは自分たちの税金が他国の支援に使われることへの不満が根強くある。
メルケル首相はヨーロッパ最大の経済大国として積極的な貢献を求める国際社会と
雇用対策などを優先させるよう訴える国内世論とのバランスをどうとるのか
難しいかじ取りを迫られる。
ベルリンの街に登場した選挙向けの巨大な看板。
注目はメルケル首相お決まりの手のポーズ。
演説の場でも首脳会談でも先日完成した蝋人形もこのポーズである。
ヨーロッパ各国が信用不安で大きな打撃を抱えるなか
ドイツは自動車など輸出産業を中心に好調な経済を維持。
一人勝ちと言われてきた。
その立役者メルケル首相はいまやヨーロッパの名手とまで言われている。
(ドイツ メルケル首相)
「我々はヨーロッパ案手の礎で成長の原動力だ。」
9月7日にフランクフルトで行われた労働者の抗議デモ。
低賃金で生活が苦しいのはメルケル政権のせいだと訴えた。
(デモ参加者)
「給料が安すぎてこれでは暮らしていけない。」
企業の競争力を高めようとメルケル政権は前政権に続いて両道市場の規制緩和を推進。
低賃金の非正規雇用が認められるようになった。
企業はコストを抑えようと派遣労働者やアルバイトを積極的に採用するようになり
失業率は大幅に改善。
この7月は5,3%とドイツ統一以来最も低く抑えることができた。
しかしその陰で多くの人が低賃金での労働を余儀なくされている。
ベルリンに住むミヒャエル・ザーベさんは非正規雇用の仕事を転々としている。
今は高齢者に昼食を届ける仕事をしている。
一か月の収入は多くても400ユーロ(約5万円)。
月に6万円近くの生活保護を受け食費を切り詰めて何とか生活している。
少しでも収入が多い仕事を探しているが年齢制限などもあって転職はままならず
今の生活を抜け出せる見通しは立っていない。
(ミヒャエル・ザーベさん)
「この収入ではとても生活していけない。」
ザーベさんのように働きながら生活保護を受けている人はドイツ全体で130万人にのぼると試算されている。
高まる国民の不満を背景に中道左派の社会民主党などの野党は
社会格差の是正を最重要テーマに据えてきた。
ドイツではすべての業種に共通する最低賃金制度は無い。
野党はこれが低賃金の労働者を生み出す原因だとしている。
今月行なわれた与野党の首相候補によるテレビ討論。
社会民主党の首相候補シュタインブリュック氏は最低賃金制度の必要性を訴えた。
(社会民主党 シュタインブリュック氏)
「全職種共通の最低賃金導入で人々の収入が増え購買力も高まる。
社会格差の解消だけでなく経済的側面からも合理的だ。」
これに対し保守系与党のメルケル首相は
すべての職種共通の最低賃金制度は中小企業の経営にとって負担になると反論。
最低賃金は“ケースバイケース”で決めることだと主張した。
(メルケル首相)
「最低賃金は政府が決めるのではなく労使間交渉で決めるべきだ。」
社会格差の問題に加えてドイツで課題となっているのが脱原発にかかるコスト。
福島第一原発の事故をきっかけに2020年までにすべての原発の運転停止を決めたドイツ。
原発に代わり再生可能エネルギーの利用を広げるため電気料金にコストが上乗せされることになった。
そのコストは伝記を利用する企業や一般家庭が負担する。
メルケル政権は国際競争力に影響が出ないよう大企業の負担を軽くする優遇措置を取り入れた。
一方で一般家庭については優遇措置がなく脱原発によって電気料金の負担が大幅に増えている。
ベルリン市内のアパートに家族3人で済むクローナ―さん。
先月の値上げで電気料金は1年前よりも20%以上高くなった。
こまめな節電で少しでも節約しようとしている。
(クローナーさん)
「大企業が優遇措置を受けていることには怒りを感じている。
消費者の負担はますます大きくなっているのに。」
野党は大企業を優先させるメルケル政権の政治姿勢が国民の生活を圧迫していると批判してきた。
(緑の党 ゲーリングエッカート氏)
「再生可能エネルギーを増やしているから電気料金が高騰しているわけではない。
悪いのは大企業への優遇措置だ。
やめるべきだ。」
メルケル首相率いる与党としては
選挙で第一党となりメルケル首相の続投は間違いないと自信を深めている。
だがただちに安定した政権を築けるかどうかはわからない。
連立与党の2党で過半数を確保できるかは微妙な状況だからである。
過半数の布石を得られなければメルケル首相は野党と連立交渉を進める必要がある。
社会格差の問題への対応や
ギリシャなど財政難に陥っている国々の支援の在り方をめぐって大きな隔たりがあるなか
協議が難航する可能性もあり予断を許さない情勢である。
メルケル首相がどの政党と連立を組むかによって政策が変わってる。
現在の保守政権が維持すれば対ヨーロッパ政策に大きな変化はないとみられる。
単一通貨ユーロを守りつつも国内の世論に配慮してギリシャなどの財政支援には腰の重い状況が続く。
一方 野党との連立政権となればヨーロッパ各国とより強調する方向に向かう可能性がある。
野党側はギリシャなどへの支援をより積極的に行うよう求めているからである。
ただドイツでは自分たちの税金が他国の支援に使われることへの不満が根強くある。
メルケル首相はヨーロッパ最大の経済大国として積極的な貢献を求める国際社会と
雇用対策などを優先させるよう訴える国内世論とのバランスをどうとるのか
難しいかじ取りを迫られる。