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残る人種偏見 米社会はいま

2013-09-04 08:00:02 | 報道/ニュース
8月29日 おはよう日本

人種差別撤廃を訴えたアメリカのキング牧師。
ちょうど50年前多くの人々の心に残る演説を行った。
私には夢がある
いつか子どもたちが肌の色ではなく
人格で評価される国に住むという夢だ

全米から25万人が集まったというこの有名な演説はその撤廃に大きな役割を果たしたと評価されている。
その同じ場所でオバマ大統領が演説し人種間の富の格差は縮まるどころか広がっていると述べ
経済格差の解消が重要だという認識を示した。
演説から50年に合わせてワシントンで行われた記念式典。
カーター元大統領やクリントン元大統領も参加した。
(アメリカ オバマ大統領)
「先人の歩みで地方議会や米議会が変わりホワイトハウスにまで変化がもたらされた。」
「黒人の失業率は白人の約2倍のままだ。
 富の格差は縮まるどころが広がっている。」
このように述べ経済格差の解消が重要だという認識を示した。
オバマ大統領が演説でこう述べたのは今なお残る人種に対する偏見が背景にある。
こうした中いまアメリカで警察官のある行為が問題になっている。

車に両手をつく2人の黒人。
ポケットの中も調べられる。
路上で不審だと感じた人を立ち止まらせて身体検査をする“ストップ アンド フリスク”。
これが人種差別ではないかと大きな問題になっている。
ニューヨークの警察は去年1年間で53万回“ストップ アンド フリスク”を行ったが
その84%は黒人とヒスパニックが対象だった。
連邦地方裁判所は8月12日 そのやり方が人種差別だと認定。
人種に基づいて職務質問の対象を決める暗黙のルールが存在する
と指摘し憲法違反だという判決を下したのである。
訴訟に加わったニコラス・パートさん(25)はこれまで10回近く“ストップ アンド フリスク”を受けた。
自宅を出た直後に警察官に呼び止められたこともあったという。
(ニコラス・パートさん)
「ちょうどこのあたりだった。
 メールを打っているところでいきなり現われ
 壁に手を付けるよう言われ身体検査をされ財布や携帯を調べられた。」
警察官からの説明はほとんどなく抵抗もしていないのに手錠をかけられた。
さらにパトカーの中に押し込まれ犯罪者扱いだったと言う。
(ニコラス・パートさん)
「救いようのない気持ちになった。
 怒りがこみ上げたし屈辱的だった。」
一方 ニューヨーク市は“ストップ アンド フリスク”の実施で犯罪件数を激減させてきたと主張。
裁判所の判決を不服として控訴した。
(ニューヨーク市 ブルームバーグ市長)
「裁判官は犯罪の現実を知らない。
 犯罪が起きる場所で職務質問するだけで
 不幸なことにそこには貧しいマイノリティが多いだけだ。」

こうしたなか新たな動きも出ている。
メガネにカメラが備わっていてボタンを押すと視界に映っているすべてが記録できる。
このカメラ付きのメガネは映像に加えて音声も鮮明に記録できる。
(警察官の声)
「なぜ呼び止められたか分かりますか。
 あの交差点は赤信号で右折してはだめですよ。」
アリゾナ州では去年10月から一部の警察官が試験的にカメラ付きメガネを装着しパトロールしている。
この取り組みを始めたところ警察官に対する苦情が3分の1に減ったという。
(メサ市警察 ミルステッド本部長)
「カメラの装着で警官はよりしっかりと対応するようになった。
 記録をとっていることでどんなふうに話すか注意するようになった。」
しかし識者の間では
カメラの導入は人種差別をなくすことにならない
という指摘も出ている。
(シンクタンク研究員 ヘザー・マクドナルドさん)
「問題は呼び止めた後の対応ではなくなぜその人を呼びとめたかだ。
 警察官が何を考慮し呼び止めたかまで
 カメラが記録できるとは思えない。」

さまざまな人種が暮らすアメリカ。
人種に対する偏見をどう無くしていくのか。
その模索が今も続いている。



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