日暮しの種 

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君は君で大好きだけれど

2013-09-14 07:00:00 | 編集手帳
9月7日 編集手帳

古今亭志ん生さんに川柳がある。
〈干物では秋刀さん 魚まは鰺あじにかなわない〉。
味の好みは人それぞれで異論もあろうが、
なるほど、
とうなずく。

「干物では」と限定しているところをみると、
塩焼きではサンマが魚類の王様であることを認めているのだろう。
夕暮れの訪れが日に日に早くなるにつれて、
頭と尾が皿からはみ出しそうなのを柚子ゆずと大根おろしで食べるその味が恋しい季節である。

一句にちょっと似せて言えば、
サンマ漁だというのに、
水揚げでサンマはイワシにかなわない…。
北海道の海に異変が起きているという。

サンマが来ない。
全国有数の“サンマ漁港”釧路港では約4週間で22トンの水揚げしかなかった。
イワシは1日で30トンを超えた日もある。
海水温の上昇が影響しているらしいが、
空の竜巻といい、
海のサンマ不漁といい、
異変つづきは少々気味が悪い。

イワシを昔の符丁で「むらさき」という。
味がアユ(アイ=藍)よりも濃い、
と。
イワシの相場はサンマよりも安く、
漁をする人の青ざめた顔色も濃いようである。
サンマ漁船の網にかかるイワシに罪はないけれど。
君は君で大好きだけれど。
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