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“個性”で集客 水族館プロデューサー

2013-09-10 08:11:49 | ビズ プラス
9月1日 BIZ+SUNDAY

東京池袋のビルの屋上にあるサンシャイン水族館は
2年前のリニューアルオープン以来来場者が急増。
以前の3倍を超える年間約200万人が訪れる。
リニューアルを手掛けたのが水族館プロデューサー 中村元さん(57)。
高層ビルの谷間に出現したオアシスをイメージしたと言う。
(水族館プロデューサー 中村元さん)
「ここには海は無いけど客はたくさんいる。
 このビルだけでも何千人といる。
 オアシスがあればみんな集まってくるしみんな喜んでくれると思った。
 この水族館を都会のオアシスにしよう。
 ビルの上なので“天空のオアシス”という名前を付けた。」
天空のオアシス。
中村さんはユニークな展示にこだわった。
屋外のスペースには客の頭上にドーナツ型の水槽を設置し
泳いでいるアシカがまるで空を飛んでいるかのように見える。
限られたスペースを有効活用した中央が前面に張り出した扇形の大水槽。
無数のクラゲが漂うトンネル型の巨大水槽は水中を散歩しているような気分が味わえる。
大学でマーケティングを学んだあと故郷の水族館に就職した中村さん。
魚に関する知識の少なさに悩みながら働くうちある思いを抱いた。
客の目当ては魚ではないのかもしれない。
(水族館プロデューサー 中村元さん)
「客は別段 魚の詳しいことを知りたいわけじゃないことに気がついた。
 客を見ているとそんなに水槽を見ない。
 魚に対してめちゃくちゃ興味があるわけでもない。
 人々が何を求めるかというと
 癒し感 清涼感 浮遊感
 さまざまなものを得られると思う。
 それらのことが得られる非日常感をすごく簡単に見つけられるのが水族館だと思う。」
客は魚ではなく非日常を求めてやってくる。
思わぬ気付きが転機となった。
12年前に独立。
個性的で魅力的な水族館を次々とプロデュースしてきた。
中村さんはいま北海道にある小さな水族館のリニューアルを手掛けている。
鮭の生態を詳しく紹介した館内。
訪れる人は年々減少している。
中村さんはこの水族館に北海道の大自然を再現しようと考えている。
やってきたのは水族館の近くの支笏湖。
火山の噴火が作り出した荒々しい湖底の風景。
中村さんはこの風景を水槽に取り入れたいと考えている。
支笏湖から流れ出す千歳川でも展示のヒントとなる景色を見つけた。
(水族館プロデューサー 中村元さん)
「この場所ってすごく水草がきれい。
 魚よりも水草のある景観とそこにいる魚。
 他の水族館とは違う支笏湖の神秘を表す水槽。
 北海道の水中を表す水族館としてすごく際立つと思う。」
その地域にしかない独特の自然。
中村さんはそれこそが水族館の個性であり多くの客を引き付ける魅力になると考えている。
(水族館プロデューサー 中村元さん)
「出来るだけたくさんの客に見てもらうことがすごく大切なこと。
 客に見せることができない水族館は生き物を飼う資格がないと思っている。
 できるだけたくさんの客に来てもらって見てもらう。
 興味を持ってもらう。
 好奇心を持ってもらう。
 そういう水族館にしなくてはいけない。
 それが一番僕の大切なところ。」
コメント

世界は生きるに値する所、美しいものが必ずある所

2013-09-10 07:00:00 | 編集手帳
9月3日 編集手帳

中島みゆきさんの『この空を飛べたら』にある。
ああ人は昔々 鳥だったのかもしれないね
こんなにもこんなにも空が恋しい…。
その人の作品を見るたびに、
翼があった昔々の記憶を手繰ってきた。

『風の谷のナウシカ』といい、
『魔女の宅急便』といい、
宮崎アニメで誰しも忘れがたいのは空を飛ぶ場面だろう。
風をはらんで一緒に飛ばせてもらう“次の空”はもう望めないらしい。

宮崎駿はやお監督(72)が最新作『風立ちぬ』を最後に引退するという。
夜の闇の深さ。
灯ともしびの胸にしみる温かさ。
青空の広さ。
悩みながら成長する人のいとおしさ…。
思い出す作品、
場面は、
人それぞれだろう。

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、
すべての宮崎作品に流れる作者の心を語ったことがある。
「世界は生きるに値する所で、美しいものが必ずある所だ」と。
昔々に戻らずとも、
心の翼はいつでも持てる。
そう教えてくれたのがあの空を飛ぶ場面であったかも知れない。

夜の床でお母さんのお伽噺とぎばなしを聞く幼い子供は、
お話が終わっても、
「もっと」とせがむ。
いい歳としをして
監督にぐずってみたい幼児の心境である。
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