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“ジャパン・アズ・ナンバーワン”34年後の日本は?

2013-09-12 07:00:00 | ビズ プラス
9月8日 NHK BIZ+SUNDAY


かつて日本が世界一と称えられた時代があった。
敗戦からの奇跡の復興、高度経済成長を経てアメリカに次ぐ経済大国となった日本。
その成功の秘密を分析した“Japan as No.1”は1979年に出版されベストセラーとなった。
著者はハーバード大学のエズラ・ヴォ―ゲルさん。
ヴォ―ゲルさんは現在83歳で今も現役の研究者である。
あれから34年
今の日本はアジアは彼の目にどう映っているのか。

(ハーバード大学名誉教授 エズラ・ヴォ―ゲルさん)
「日本経済は失敗したとか全然だめだという意見もある。
 私から見ると高度成長が終わっても日本人の平均的な生活は悪くない。
 経済学者は経済が発展していないと全然だめだと言う。
 しかし教育水準、犯罪の問題、長生きなどいろんな面で日本は悪くない。」
「ライシャワーさん(元駐日大使)が“ジャパン・アズ・ナンバーワン”は
 『アメリカ人は読むべきだが日本では禁ずべき』日本人が傲慢になると心配した。
 80年代 日本人はちょっと傲慢になった。
 89年のバブル崩壊後は傲慢という問題はなくなった。
 かえって謙遜して自分の国や生活を誇りに思う人が少なくなった。」
「社会構造やいろんなやり方、習慣、日本は非常にうまくやっている。
 西洋は日本から習うことが今でもあると思う。
 日本の持つ技術や品質管理などすごくうまく出来ている。
 アメリカは法律主義。
 良い面もあるがオーバーだ。
 それとアメリカの富裕層、社長が一般の社員よりも100倍くらいの収入を得るのはけしからん。」

ヴォ―ゲルさんは“ジャパン・アズ・ナンバーワン”は
日本を称賛するためではなくアメリカに向けた教訓として書いたと語る。
最新作では中国のかつての最高指導者 小平氏の生涯を描いた。
執筆に10年以上費やしたというこの力作は現地中国でも出版され60万部を超えるベストセラーになっている。

(ハーバード大学名誉教授 エズラ・ヴォ―ゲルさん)
「アメリカの社会はもう少しアジアを理解しなければいけない。
 今なにが一番理解すべきかと言えばやはり中国の発展。
 主なポイントは改革開放政策。
 その政策を指導した小平。
 その時代を理解すると現代の中国を理解できる。
 今の中国は小平が指導した改革開放政策が続いている。
 中国の根本的な考え方やどうしてそうなったのか。
 小平はどういう人だったかそれをアメリカ人に教えなければいけない。」

今回の本では中国の言論界でいまだにタブーになっている1989年の天安門事件を取り上げている。
民主化を求めて天安門広場に集まった学生たち。
小平氏や最高指導部は軍を導入して鎮圧。
中国では削除された記述が少なくないが中国現代史の悲劇が詳しい描写が認められた。

(ハーバード大学名誉教授 エズラ・ヴォ―ゲルさん)
「中国の指導者が天安門事件について話すのはちょっと危ない面もある。
 学生がまたデモを起こす心配がある。
 私の分析では習近平国家主席は天安門事件を国民に少し説明しようと
 中国共産党の宣伝部が出版を許すことがわかった。
 中国の学者よりも僕はチャンスをいただいた。」

1978年10月 日中平和友好条約が締結のため中国首脳として初めて来日した小平氏。
経済成長を遂げた日本に学ぼうと自動車工場や製鉄所などを積極的に視察した。
日本に対する理解を深めようという小平氏の考え方が日本と中国を近づけた。

(ハーバード大学名誉教授 エズラ・ヴォ―ゲルさん)
「日本と中国の関係はいま一番悪いです。
 中国人に聞けば9割くらい日本が嫌い。
 日本人に聞けば9割くらい中国が嫌い。
 そういうことは初めての事態だ。」
「小平氏が生きていたら彼は必ずもっと良い関係をつくる。
 日中関係はもっと平和的な道がある。
 日本の文化をもう少し中国の国民に与える。
 日本の映画、新聞を読む機会を与えると私は思う。
 それからもっと大胆に日中問題を解決するだろう。
 日本企業に例えると小平氏はオーナー会社の社長。
 今はサラリーマン上がりの指導者なんです。
 小平氏は本当に日本と良い関係を作った。
 いろいろな日本の指導者に会い日本は中国を助けた。
 そういうことを今の中国人は忘れている。」

(ハーバード大学名誉教授 エズラ・ヴォ―ゲルさん)
「日本経済成長のカギは大胆さ
 オーナー会社の松下、ソニー、ホンダ。トヨタはすごく良かった。
 大胆にいろんなことをやった。
 今のサラリーマン上がりの社長たちはあまり大胆なことはしない。
 日本企業がゆっくり考えているうちに韓国と中国は新しいことを速く実行する。
 それが今 世界で必要とされている競争力。
 日本ももう少し早い決断の方法を見つけなくてはいけない。」
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