12月9日 キャッチ!
2国間クレジット制度とは
1国で達成した温室効果ガスの削減量を2国間で分け合う仕組みである。
日本が省エネ技術を途上国に提供し
その結果削減された排出量の一部を日本側の削減分として組み入れるというものである。
堅調な経済成長を続けるインドネシア。
それに伴い排出している二酸化炭素の量も世界12位となる年間約4億トンにのぼる。
日本の省エネ技術の導入による温室効果ガス削減の取り組みは
インドネシアもコンビニエンスストアで行われている。
店内で使われているのはLED照明。
センサーが店内の明るさを感知し
日中は照明の明るさを抑えることで使用する電力を節約している。
設置された7台のエアコンも店内の客の数に応じて風量を調整。
冷蔵庫の温度管理も徹底されている。
(店長)
「すべてのデータはこの装置を通じて本部に送信されています。」
冷蔵庫の温度は24時間体制で管理され
適温が保たれなくなると直ちに技術者が派遣される。
日本の大手コンビニエンスストアと共同で一昨年から行われているこの省エネ補助。
1店舗当たり年間33トンの温室効果ガスの削減が可能となり
実施している店舗はジャカルタを中心に12店舗に拡大している。
日本が国連に提案している「2国間クレジット」と呼ばれるこの制度
まず日本企業企業が持つ省エネ技術や製品などを途上国に提供する。
日本政府はその日本企業に対し実施にかかる費用の一部を補助。
省エネ技術の導入によって生まれた温室効果ガス削減量を途上国と分け合い
日本の削減実績として加算するという仕組みである。
日本企業としては日本の強みともいえる省エネ技術を輸出できる一方
受け入れる途上国側の企業としても業務効率の向上につなげることが出来る。
(店長)
「新技術によりコスト削減ができとても助かります。
小売業はコスト管理が大事ですから。」
インドネシアをはじめとする新興国では経済成長にともなってエネルギー事業が急増するなか
今後も成長を維持するためには省エネ技術の導入は不可欠となっている。
こうした事情を背景に日本と2国間クレジットの導入で合意した国は
この2年でアジアの他アフリカ 中南米の16カ国に広がった。
アジア モンゴル バングラデシュ モルディブ ベトナム ラオス インドネシア カンボジア
ミャンマー タイ
アフリカ エチオピア ケニア
中南米 メキシコ 地理 コスタリカ
その他 サウジアラビア パラオ
パリ近郊で行われたCOP21.
初日に演説した安倍総理大臣は2国間クレジットのさらなる普及に力を入れる考えを強調した。
(安倍首相)
「気候変動対策と経済成長を両立させるにカギは
革新的技術の開発だ。
日本は2国間クレジット制度などを駆使することで
途上国の負担を下げながら画期的な低炭素技術を普及させていく。」
一方インドネシアも温室効果ガス排出量を2040年までに29%削減する目標を提示した。
積極的に実施する方針の2国間クレジット制度は
エネルギーを大量に消費する工場でも利用作されている。
西ジャワ州の水産加工工場では日本製の急速冷凍装置を許年7月に導入。
モーターなどに施された最新の省エネ技術によって
冷凍庫の電力消費量が軽減されるうえに
以前は3~4時間かかっていた冷凍作業が現在では30分ほどで完了できるようになった。
年間約200トンの温室効果ガスが削減できる計算である。
(工場長)
「生産性は非常に高く
以前と比べ3倍の生産能力を得ることが出来ました。」
日本とインドネシアで進められている省エネプロジェクトは現在21件。
温室効果ガスの削減量の合計は年間約32万トンに達する計算である。
(インドネシア政府担当者)
「2国間クレジットは温室効果ガス削減に向けた投資となるだけでなく
我が国の企業への技術移転を可能にしてくれます。
多くの分野で2国間クレジットの導入を目指していきたいです。」
(環境省 国際企画官 水野勇史氏)
「日本の技術を生かして削減に貢献できるチャンスでもあるし
ユニークな仕組みで世界的にも注目を浴びているので
切り札の1つとして取り組んでいきたい。」
温室効果ガスの排出削減と途上国への省エネ技術の輸出を同時に達成しようという2国間クレジット制度。
日本の温暖化対策の切り札となるか注目される。