12月22日 おはよう日本
奈良県香芝市にあるJR五位堂駅。
ある動物によって電車の進行方向を切り替えるポイントが突然動かない状態に。
電車の遅れが繰り返し発生していた。
カメがポイントに挟まっていたのが原因である。
カメがポイントに挟まり電車が止まるトラブルは
JR西日本の管内で去年までの12年間に14件確認されている。
その半分が五位堂駅に集中していた。
挟まったカメは甲羅が割れ死んでいた。
線路の管理や補修を担当している板橋徹さん。
(JF西日本 近畿統括本部 保線担当 板橋徹さん)
「お客様にも迷惑をかける。
カメも挟まると甲羅が割れたりかわいそうなことになる。
悩みましたね。」
板橋さんたちはカメが線路の脇から入り込み挟まっているのではないかと考えた。
このため線路沿いのフェンスの隙間をふさぐ対策を取った。
しかしその後もトラブルは約10年続いた。
どんな対策を取れば効果があるのか。
カギを握る人物は兵庫県にいた。
神戸市にある須磨海浜水族園。
カメに囲まれた部屋の主に
去年の秋 板橋さんからの相談が寄せられた。
カメ研究の専門家である須磨海浜水族園の亀崎直樹さん。
板橋さんたちがとっていた対策を聞いた亀崎さん。
発想を変えるべきだと考えた。
カメが線路の脇からポイントに入るなら
カメはレールを乗り越えなければならない。
しかしレールの断面はT字型。
爪を引っ掛けることもできず
乗り越えるのは無理だというのである。
代わりに亀崎さんが侵入経路として指摘したのは踏切だった。
踏切はポイントの400m手前にある。
近くのため池から歩いてきたカメが踏切を渡る途中にレールとレールの間に落下。
そのまま歩き続けた結果
ポイントに挟まるのではないかと考えた。
ため池からポイントまでの距離は約700m。
離れているようにも感じるが
春から秋にかけて活動期を迎え産卵場所などを探すカメならば十分歩ける距離だと言う。
許年11月 亀崎さんたちが行った実験では
レールとレールの間に落ちたカメは想像したとうりポイントに挟まった。
(須磨海浜水族園 亀崎直樹さん)
「レールに沿って歩いてくる。
出たくても出られないから
そうするとポイントに挟まってしまう。
容易に想像できた。
確信ですね これはなんとかなるわと。」
長年 鉄道マンたちを悩ませてきたカメ問題の解決策となったのは
長さ3メートルの溝型の装置。
奥にはバケツを置き
落ちてきたカメを集められるようにしてある。
線路に溝を作り
ポイントに挟まる前にカメを安全の確保できるようになっている。
実験設備で試したところ
カメは狙いどうり次々と落ちてきた。
材料はホームセンターなどで揃えることができ
費用は1万円もかからない。
この4月に設置してからこれまでに保護されたカメは10匹。
電車の遅れも起きていない。
(JR西日本 近畿統括本部 保線担当 板橋徹さん)
「まさかの10匹捕まったということで相当効果があった。
専門家に相談してよかった。」
保護されたカメたちはいま亀崎さんのもとで暮らしている。
(須磨海浜水族園 亀崎直樹さん)
「カメの研究して何年たつかな。
35年くらいか。
初めて人に喜ばれた。
カメにも喜ばれた?
そやな あいつらあんまり喜ばん。
いや そんなことないか。」
カメの生態をとらえて開発されたこの装置。
JR西日本では今後設置個所を増やしていくことにしている。