1月4日 編集手帳
ソ連のアフガニスタン侵攻で、
日本が1980年のモスクワ五輪ボイ コットを決めたとき、
柔道の山下泰裕さんは「一番大切な肉親を亡くしたような気持ち」だったと本紙の取材に振り返っている。
金メダルの最有力候補はモスク ワの観客席でライバルに励まされ、
<4年後>を向き、
ロス五輪で頂点に立った.
五輪の年に行われる米大統領選にもドラマがある。
8年前、
ヒラリー・クリン トン氏は民主党候補争い初戦のアイオワ州で3位に沈んだ。
大統領夫人や上院議員を経験した負け知らずのエリートは、
「極度に落ち込んだ」(回顧録『困難な選択』)という。
大本命と目されながらその後もオバマ氏に追いつけず、
候補の座を逃した。
今年も2月のアイオワからレースが始まる。
ウィルソン元英首相は 「1週間は政治においては長い時間だ」との言葉を残した。
再挑戦までの8年をクリントン氏はどんな思いで過ごしたか。
前回の敗戦で女性初の大統領という<最も固いガラスの天井>にヒビが入ったと語った。
喪失感を乗り越え、
国務長官としてオバマ大統領を支えた経験は、
天井をたたく力になるだろう。