1月6日 おはよう日本
世界から注目されている
ノルウェーで活躍するバレリーナ 西野麻衣子さん。
麻衣子さんは現在ノルウェーでダンサーの最高ランクであるプリンシパルとして活躍している。
注目される理由はそれだけではない。
1児の母であること。
ノルウェー人の夫と結婚し
2年前に長男を出産。
出産とともに引退するケースが多いバレエ界で
今なお現役のプリンシパルであり続ける数少ないダンサーなのである。
その活躍はドキュメンタリー映画となり
2月に日本でも公開される。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「パワーアップした“ママプリンシパル”として活躍したい。」
西野麻衣子さんは大阪出身の35歳。
プリンシパルの称号を与えられるダンサーはバレエ人口の1%以下。
さらにその中で出産後も現役で活躍するダンサーは世界でもほんの一握りである。
母となった今もなぜプリンシパルであり続けられるのか。
本場ヨーロッパの中でも斬新な演出で人気を誇るノルウェー国立バレエ団。
麻衣子さんはここで10年間プリンシパルを務めている。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「練習大好き。
筋肉痛になったときに“生きてる”感じがする。
これがあるからいい舞台ができる。」
バレエを始めたのは6歳のとき。
当時から夢は世界で活躍するバレリーナだった。
中学卒業と同時に海外にバレエ留学。
両親はそのために家まで売って費用を工面したという。
バレエ団のオーディションを受け続け
19歳のときノルウェー国立バレエ団に合格。
麻衣子さんのプロとしての挑戦が始まった。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「まだまだだった。
プロになっただけではもの足りない。
主役のダンサーになってやっと恩返しができると思っていた。」
毎日9時間の練習を欠かさずにこなした麻衣子さん。
舞台にも練習にも絶対に妥協はしなかった。
(イングリット・ロレンツェン総監督)
「麻衣子は自分に厳しくひたむきに取り組むダンサー。
自分に大きなプレッシャーをかけていると思う。」
その努力が実を結んだのは入団から6年後。
25歳で東洋人初のプリンシパルに抜擢された。
麻衣子さんは夫と息子の3人でオスロに暮らしている。
朝8時息子アイリフ君(2)の保育園の見送りから1日が始まる。
妊娠がわかったとき喜びと同時に大きな不安にも襲われた。
(西野麻衣子さん)
「“麻衣子はもういい”とバレエ団からあきらめられたらどうしよう。」
ドキュメンタリー映画の中でも麻衣子さんの迷いと葛藤を追い
舞台復帰までの奮闘を描いている。
(「Maikoふたたびの白鳥」ハピネット・ミモザフィルムズ)
(イングリット・ロレンツェン総監督)
「出番を待つダンサーが他に大勢いる。
あなたの産休は彼らにとってチャンスよ。」
(バレエ団の同僚)
「後悔しない?
舞台復帰すれば間違いなく小さなお子さんと過ごす時間が削られる。」
悩み末に出した答え。
それはどちらにも全力投球だった。
出産後すぐにアイリフ君の横でストレッチを開始。
出産でゆがった骨盤や衰えた体力を取り戻すため
一から全身の肉体改造を始めた。
こうした麻衣子さんを支えてくれたのが夫のニコライさん(41)である。
バレエ団で舞台装置を担当しているが
積極的に休みを取ってアイリフ君の面倒を見ている。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「限られた時間の中でどれだけ自分をプッシュできるか。
愛する人がいてくれたからこそ舞台復帰できた。
プリンシパルなので
戻るべき場所がある。
舞台。」
常に全力投球の麻衣子さんが肩の荷を降ろせる場所が大阪にある。
年に1度は必ず帰る大阪の自宅。
母親の衣津栄さんは
自身も工場で働きながら子育てをしていた。
今も夢を追いかける麻衣子さんの一番の理解者である。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「家事をするのがたまにしんどい。
でもしなかったらご飯は出てこないし。
どうやってメニュー作っとった?」
(衣津栄さん)
「電車の中や仕事をしながら今晩のおかず何にしようかなと。
お母さんは普通のサラリーマン。
麻衣子はやっぱり全然違うやん。
麻衣子が日本人のままたちにきっとエールになると思う。」
帰国するたび習っていたバレエ教室を訪れる麻衣子さん。
後輩たちに必ず伝えていることがある。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「ここまで頑張ってきたのは好きだからやろ。
時間を無駄にしてほしくない。
お母さんお父さんにもらった時間を賢く頭を使って
後悔してほしくない。」
現役を引退するまでプリンシパルであり続けたい。
母となった自分にしかできない表現を極めることが新たな目標である。
(ノルウェー国立バレエ団 西野麻衣子さん)
「妊娠する前の作品wママになって踊りたい。
ママになった私はどうこの役を踊るだろう。
この役をどう勉強するのか興味がある。
これからどんどんチャレンジしていきたい。」
麻衣子さんの映画は現地ノルウェーの先行試写会で1,000人のスタンディングオベーションがあった。
日本では2月に劇場公開される。