12月12日 経済フロントライン
フィンテックとは
Finance(金融)×Technology(技術)
様々な金融サービスをIT技術を活用してより便利で身近なものにしていこうというものである。
いち早くフィンテックを取り入れた長崎のハウステンボス。
おみやげ購入時には支払い専用機で指紋を認証するだけ。
入園の際に指紋を登録してお金を預けていたのである。
指を置くだけで預けたお金から引き落とされ
ハウステンボス内で財布なしの買い物ができる。
「さっき買い物したときに小銭をバラバラ落としたけど
もう財布を出す必要なくてよかった。」
最新の指紋認証技術と決済を融合した新たなサービスである。
(ハウステンボス 経営企画室 高田幸太郎室長)
「通常はレジで並ぶケースもあるが
本当にスピーディに決済が済むので利便性は感じていただいている。」
メッセージアプリの会社が始めたのが手数料無料で送金できるサービスである。
利用者はコンビニなどでお金をアプリにチャージする。
送金したい相手に金額を指定して送ることが出来る。
受け取ったお金はネットショッピングに使ったり現金に変えたりできる。
相手の銀行口座を知らなくても立て替えてもらったお金を簡単に返すことが出来る。
いまフィンテック関連のビジネスは世界的に急拡大している。
日本のイギリス大使館で開かれたセミナー。
イギリスでは国を挙げてフィンテックを支援。
すでに1,000社以上が参入している。
(イギリス貿易投資総省 ショール・デービッドさん)
「イギリス政府はフィンテックを金融サービスの中心となる重要な産業だと位置づけている。」
この日は送金や資産管理を行うIT企業10社と日本企業の商談を行った。
(参加した大手IT企業)
「すごい刺激になりました。
日本とは全く違う観点で新しい企業が出てきていると感じる。」
日本政府もこうした動きに強い関心を示している。
(金融庁 総務企画局 神田潤一企画官)
「5年後10年後に日本の金融機関や金融サービスの競争力の低下
世界から取り残されてしまうのでは
そういう危機感が去年今年と非常に盛り上がって強く感じてきた。
金融庁が危機感をどう捉えて変わっていくか問われている。」
フィンテックは銀行の中核分野である融資の分野にまで及んでいる。
大手ネット通販会社アマゾンは自社のサイトで商品を販売する企業を対象に
5,000万円を上限に融資するサービスを始めている。
強みは迅速な融資。
カギを握るのはビッグデータである。
この会社ではサイトに出店している企業の売り上げや在庫、返品率、客の評価といった様々なデータが集まる。
こうしたデータをコンピューターで独自に解析し
事業者の経営状態を評価。
金額や金利まで自動で算出する。
企業から融資の相談がなくても自動的に融資が可能だと知らせる。
(アマゾン ジャパン セラーサービス事業本部 星健一事業本部長)
「人間が手を加えず100%自動で分析する。
販売事業者がどうしてもお金が必要だというときがあるけど
今回のスピーディーに即決できる融資は
販売事業者のビジネスの広がりを可能にする。」
このネット通販会社から5,000万円の融資を受けた大阪の企業。
社員は5人。
家電や家具などを安い価格で販売し売り上げを伸ばしている。
ちょうど事業を拡大したいと思っていた矢先に融資が可能だと通知が届いた。
「案内をもらった時点ですでに融資がOKが出てる状態なので
ものすごくスピーディー。」
申し込みからわずか2日で入金された。
これを元手に購入したのが冬に注文が急増する加湿空気清浄機。
1年前のモデルを安く大量に仕入れた。
(融資を受けた会社 GBFT 松本尚也社長)
「こういう最終処分物は商社やメーカーから
今かいますか?という話が多い。
ここまで待ってくださいとなったら商品がなくなってしまう。
話を受けたときにすぐ買える。
融資を有効に活用している。」
ネット通販会社アマゾンが始めた企業向け融資。
開始から約2年で1,000件以上にのぼる。
こうしたフィンテックの動きに銀行は危機感を強めている。
今年10月 三井住友銀行はフィンテックの専門部署を起ち上げた。
これまで見過ごしてきたニーズにITを使ってこたえることができないのか
徹底的に洗い出している。
(三井住友銀行 ITイノベーション推進部 竹田達哉さん)
「客がほしいと思うものをいち早く見つけ出して対応しないと
フィンテック企業に追い付けない。」
IT企業との提携にも積極的に乗り出している。
訪れたのは最先端の生体認証技術を持つ企業。
セキュリティーを高めつつ
フィンテック事業の強化を図ろうとしているのである。
(三井住友銀行 ITイノベーション推進部 中山知憲部長)
「自前主義だけでは客のニーズについていけない。
新技術を持っているベンチャー企業とのコラボレーションは必要。」