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ポーランド 若者流出対策に“所得税ゼロ”

2019-08-30 07:00:00 | 報道/ニュース

8月10日 NHK「おはよう日本」


(与党「法と正義」カチンスキ党首)
「働く若者たちを救うために
 26歳未満は所得税を免除する。」
8月1日
ポーランドで施行された新たな法律。
26歳未満の若者を対象に
所得税を一切免除するというものである。
若者からは歓迎する声が。
「私たち若者にとっていい話。
 お金も増える。」
「大学のために貯金もできるし
 車だって買えるかもしれない。」
かつては社会主義体制下にあったポーランド。
20014年にEUに加盟して以降
経済成長を続けてきた。
しかし賃金水準はEU加盟国の平均の4割にもとどかない。
ポーランド人は国境を越えた人の行き来が自由なEU域内であればどの国でも働くことができる。
首都ワルシャワのバスターミナルでは
連日
ドイツやオランダへ渡る若者たちの姿が見られる。
より高い賃金を求めて若者を中心にこの15年で人口の4%近くが国を去ったと言われている。
特に深刻な問題になっているのが高学歴の人材流出。
大手建設会社では計画や設計を担う大卒のエンジニアが確保できていない。
今後10年で毎年100人の雇用を目指しているが達成の見通しが立たず
顧客からの発注も断らざるを得ないケースもあるという。
(大手建設会社 広報)
「高い教育を受けた人材を探すのは難しい。
 彼らがいたらもっと入札して
 事業を拡大できるのだが。」
若い人材の流出を食い止めたい政府は
減税の対象を平均所得の1,4倍にあたる比較的所得の高い層まで含めた。
さらに26歳までに設定することで大学卒業直後の若者を国内に引き留めるのが狙いである。
(スキバ財務次官)
「EU加盟の最も深刻な負の側面は
 ドイツやフランスなどに若者が流出してしまったことです。
 若者の経済活動を促進し
 ポーランドを選んでもらうのが狙いです。」
海外転職を狙う若者からは冷静な見方も。
コンサルティング会社でアナリストとして働くミチョレクさんはその1人である。
新婚生活を送るミチョレクさん夫婦。
この減税措置で夫婦合わせて年間で給与の1,3月分がそのまま家計に上乗せされる計算である。
国内にとどまるのも悪くないと思い始めたミチョレクさん。
しかし妻は国外で働きたいと言う。
「例えばドイツでいい仕事があったとして
 今回の法律は影響すると思う?」
「何かが変わるかって?」
「そう。」
「僕たちには影響ないかもな。
「外国で仕事の成長も将来性も望めるんだから
 税が免除されていくらかお金が手元に戻ったからって
 私たちだっていい仕事の話があればかまわず外国に行くでしょう?」
(コンサルティング会社勤務 ミチョレクさん)
「僕タイは国外に転職したいと思えば転職します。
 やっぱり外国なら2~3倍の給料はもらえるので
 免除される金額は比べものにならない。」
経済の専門家も
政府は多様な政策をとる必要があると指摘している。
(経済アナリスト)
「ポーランドが他の国の生活環境の水準にまでたどり着いていないことが課題。
 税制改革はその対策の1つに過ぎず
 経済成長策・家族への生活支援などが必要。」
EU内の格差が生んだポーランドの人材流出。
政府の苦肉の対策もどこまで効果が広がるのか
見極めが必要と言えそうである。







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