「昔の学校は、もっとゆったりしていた」
と、教職経験の長い人は、よく言います。
保護者のみなさんの中学時代も、そうだったのではないでしょうか。
事実、私が教職についた頃の学校は、もっとゆったりと時間が流れていたように思います。
土曜日も午前中は授業がありました。昼には学年教職員と外で昼食をとり、午後からは部活だけやっていればよかった。
しかしいまや、わが国の教員の時間外勤務の時間は、OECD諸国の中でも、際立って長くなっています。
箕面市、本校も例外ではありません。教育課題が山積し、教員に課せられる業務量は増大しました。
また、社会的にみても、「経済原理」がさまざまな分野に影響を与えています。
教育の分野にも浸透しています。最小の投資で最大の効果を上げる。
社会全体に余裕がなくなり、他者に攻撃的な人が増えてくる。おおらかさが失われ、悲鳴をあげる人が増えてくる。
「のりしろ」はいらない。無駄である、自由競争を煽り、仕事の効率を上げなさいと、学校にもPDCAサイクルを持ち込み、データを重視する。
しかし、こと教育に関しては、遅効性を考慮しないと回らない。どこかで無理が出てくる。
経験を積んだ教師なら、経験則でPDCAサイクルを体得している。
あの状況で、あの生徒に対して、あの指導をしたから、いまこのような子どもの成長につながっている。
しかも、その成長は時間が経過しないと見えないこともある。
これが教育である。教師と生徒・保護者間の信頼関係を基盤に、子どもへのかかわりがあり、その見守りの中で子どもが伸びる。
学校を民間企業と同様に見なし、効果を発揮しているかどうかで、学校の価値を効果検証する仕組みが改まらない限り、本当の意味での子どもの幸せ、教員の充実感はない。
このように危惧します。